サイディングスプリング彗星(C/2013 A1)は、2013年1月3日にオーストラリアのサイディングスプリング天文台で地球近傍天体探索用に使用されている50cmシュミットカメラを使ってうさぎ座方向を撮影した画像に、18.6等の天体として写っているのを発見されました。
発見当初の観測からこの彗星の軌道を計算したところ、2014年10月19日(日本時間20日未明)に火星に衝突する可能性があることがわかりました。しかし、その後の継続した観測によりさらに精密に軌道を計算した結果、彗星本体が火星に衝突することはないものの、およそ14万kmまで接近することがわかりました。2014年9月12日にアメリカNASAのジェット推進研究所(JPL)が計算した軌道によると、最接近するのは世界時2014年10月19日18時28分(日本時間20日午前3時28分)で、最近で137,141km〜最遠で140,392kmの距離まで接近するとのことです。これは、月と地球の平均距離384,400kmより近く、まさに大接近と言えます。 |
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2014年9月18日のサイディングスプリング彗星(C/2013 A1)
サイディングスプリング天文台51cmF4.4反射望遠鏡
Manos Kardasis氏撮影
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宇宙から見たサイディングスプリング彗星(C/2013 A1)と火星の大接近の様子
彗星と火星は正面衝突に近い形でニアミスします
この様子は、地球上からも観測することができます。火星と彗星はこのころ、日本からは夕方の南西の空のいて座付近に見えています。彗星は現在9等程度で見えていて、この後も同じくらいの明るさを維持すると考えられていますので、天体望遠鏡を使えば十分見える明るさです。火星に接近したときに、彗星本体や火星に何らかの変化が起こる可能性もあります。是非注目して観測してみてください。
2014年10月11日〜31日の火星とサイディングスプリング彗星(C/2013 A1)の動き
日本での午後7時ごろの南西の空の様子
火星と彗星の位置は2日ごとにプロットしています
10月19日の最接近の前後、地球上からも多数の観測者が火星と彗星に眼を向けていましたが、現在のところ、今回の接近では火星にも彗星にも大きく目立った変化は起こらなかったようです。
一方で、すでに地球から火星に到達している探査機から、今回の彗星の接近の様子を撮影した画像が届き始めています。アメリカNASAのジェット推進研究所とカリフォルニア工科大学が共同で送り込んだ火星偵察機Mars Reconnaissance Orbiter (MRO)に搭載された高解像科学実験器High Resolution Imaging Science Experiment (HiRISE)によって、彗星が火星に再接近したときの画像を得ることに成功しました。
(右画像 Copyright NASA/JPL-Caltech/University of Arizona クリックするとJPLのプレスリリースにリンクします。)
この画像の撮影時の彗星と探査機との距離は約138,000kmで、この距離でのHiRiSEの1ピクセルあたりの大きさは約138mになるのですが、得られたデータを解析すると、彗星の核と思われる部分はわずか2〜3ピクセル分(300〜500m程度)しかなく、地上からの観測でこれまで考えられていた大きさ(1km程度)よりもずっと小さいことを示しています。
まだ初期段階の画像のため、詳しい解析はこれから行われるところなのですが、謎の多い彗星の正体を知る上で、今回の火星接近は貴重なデータを得ることができたようです。
天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、右の座標を入力すると自動導入ができます。
●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。
●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラへの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押して、上の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。
●Sky-Watcher SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。
●NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。
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サイディングスプリング彗星(C/2013 A1)の座標
(日本時間19時)
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日付 |
赤経(R.A.) |
赤緯(Dec.) |
10/11 |
17h39m.7 |
-30゜21' |
10/12 |
17h39m.3 |
-29゜37' |
10/13 |
17h38m.9 |
-28゜54' |
10/14 |
17h38m.6 |
-28゜13' |
10/15 |
17h38m.3 |
-27゜33' |
10/16 |
17h38m.1 |
-26゜54' |
10/17 |
17h37m.9 |
-26゜16' |
10/18 |
17h37m.7 |
-25゜39' |
10/19 |
17h37m.6 |
-25゜03' |
10/20 |
17h37m.5 |
-24゜28' |
10/21 |
17h37m.4 |
-23゜54' |
10/22 |
17h37m.4 |
-23゜21' |
10/23 |
17h37m.4 |
-22゜49' |
10/24 |
17h37m.4 |
-22゜17' |
10/25 |
17h37m.4 |
-21゜47' |
10/26 |
17h37m.4 |
-21゜17' |
10/27 |
17h37m.5 |
-20゜48' |
10/28 |
17h37m.6 |
-20゜19' |
10/29 |
17h37m.7 |
-19゜51' |
10/30 |
17h37m.8 |
-19゜24' |
10/31 |
17h38m.0 |
-18゜57' |
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サイディングスプリング彗星(C/2013 A1)軌道要素
近日点通過 = 2014/10/25.30228(TT)
近日点距離 = 1.3987144 AU
近日点引数 = 2.42318
昇交点黄経 = 300.97644 (2000.0)
軌道傾斜角 = 129.04285
離心率 = 1.0004503
(Ephemeris from M.P.E.C. 2014-S34 Culculated by G. V. Williams )
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