アメリカMeade社の2001年モデルとして発売されたLXD-55シリーズは、安価で大口径が得られる望遠鏡として世界中の天文マニア等に愛用されていますが、その後継機種として各部を改良したLXD-75シリーズが新発売になりました。

　日本で発売されるのは、口径15cmと20cmのシュミット・ニュートン式反射望遠鏡を搭載し、天体自動導入コンピュータ「オートスター」を標準装備したLXD-75 LXD-75 SN-6AT(15cm) とSN-8AT(20cm)（写真右）の２種類です。

LXD-75　SN-8ECセット全景
オプションのポータブルバッテリ付

●大口径ながらシンプルな鏡筒部

　日本で発売になっているLXD-75シリーズには、15cmシュミットニュートン式(LXD75 SN-6AT)と20cmシュミットニュートン式(LXD75 SN-8AT)の２タイプの反射望遠鏡が搭載されています。ニュートン式反射望遠鏡は、光を集める凹面鏡と、光軸を筒外に曲げる平面鏡の組み合わせによる最もシンプルな光学系です。シュミットニュートン式は、これをベースにMeadeが創業時から手がけてきたシュミットカセグレン式反射望遠鏡のノウハウから作られたシュミット補正板を鏡筒の対物側に装備し、短焦点ながら非常にシャープで周辺部までフラットな像を得ることができます。

　シュミット補正板には、Meadeが新開発したUHTC（Ultra Hi-Transfer Coating 超高透過性コーティング)が施されており、従来のコーティングに比べて約30%透過効率がUPしました。これにより、従来よりコントラストが高い像を得ることができるようになりました。

　接眼部は２インチサイズのアイピースも使用できるしっかりしたドロチューブが装備されています。オプションのRF2 30mmでは、実視界はなんと3度の広視界となります。プレアデス星団（すばる）やアンドロメダ大銀河などの大きく広がった対象でも、全体をすっぽりと見ることができます。大口径の明るい像と広い視界は、星雲星団を見るには最適です！。

20cmモデル(LXD75 SN-8AT)鏡筒の対物側
UHTC仕様の補正板の中央に斜鏡を取り付け
主鏡には光軸調整用センターマーカー付

●シュミットニュートン式の補正板は、シュミットカセグレン式のLXシリーズ同様夜露の影響を受けやすく、また、シュミットカセグレンに比べて内部の機密性も高くないため、補正板の内側が曇ることもあります。実際の使用では巻きつけフードの使用をおすすめします。

●付属のオートスターを接続して天体自動導入を行う場合、極軸望遠鏡を利用した１スターアライメントと、極軸望遠鏡を使用しなくても使用できる２スターアライメントの選択が可能。

●鏡筒の重量も重く、バランスウェイトなどもあるため、LX90-20などに比べて消費電力が大きく、乾電池での使用はあまりおすすめしません。実際の使用ではなるべく別のバッテリをご用意下さい。

●汎用性の高いドイツ型赤道儀

　Meade LXD-75シリーズの最大の特徴は、その架台にあります。Meadeのベストセラー商品であるシュミットカセグレン望遠鏡のLX90-20やLX200GPSシリーズでは、フォーク型経緯台の架台に天体自動導入装置を搭載したシンプルな構成で、設置組立の簡単さから多くの方に好評をいただいています。その天体自動導入技術を、昔ながらのドイツ型赤道儀に搭載したのが、このLXD-75シリーズです。

　ドイツ型赤道儀の利点は、鏡筒を自由に交換できる点にあります。鏡筒取付部は、ビクセンＧＰシリーズなどで使用されているアリガタ・アリミゾ台座になっており、標準で搭載された望遠鏡以外にも、各メーカーから発売されている鏡筒を搭載することができるます。眼視観測用や写真撮影用・あるいは星雲星団用・惑星用など使用目的に応じて望遠鏡を交換して使用することができます。

●2軸モータードライブを標準装備

　地球が自転することにより、私たちからの見かけ上、星が空を移動していくことを「日周運動」といいます。赤道儀は、この日周運動に合せて望遠鏡を回転させることにより、星を簡単に追尾することができるようにした架台です。LXD-75シリーズは、日周運動で移動する星を自動的に追尾するモーターを標準で装備しています。

●簡単操作　抜群の導入精度の天体自動導入コンピュータ「オートスター」

　天体望遠鏡を使う上で最も難しい操作が、目標の天体を視野に入れる作業です。LXD75シリーズには、ETXシリーズ・LX90-20で使われている「#497オートスター」(写真左)を標準で装備。初めて望遠鏡を使う方でも、簡単に目標の天体を視野の中に入れることができます。
　LXD-75シリーズでのセットは、北極星を極軸望遠鏡に導入し、望遠鏡をホームポジションに合せるだけ。建物や山などで北極星が見えない場所では、だいたいの北の方角に向けるだけでもＯＫ！。あとは、オートスターが自動的にいま見えている星の中から２つの星を選んで、その近くまで移動します。そして、その星を視野の中心に入れてEnterキーを押せば、オートスターはいま見えるすべての星の位置を自動的に計算してしまいます。あとは、内蔵された30,223個の天体データを呼び出してGotoキーを押すだけで、自動的に天体を視野に入れてくれます。
　もちろん、パソコンとの連動もＯＫ！。パソコンの画面上の天体をクリックするだけで、その天体を視野の中に導入することができます。また、インターネットから必要なソフトウェアをダウンロードすることにより、将来データベースやファームウェアをバージョンアップすることも可能になっています。

●オートスターの表示は、すべて英語になります。取扱説明書は日本語のものをご用意します。

●天体写真撮影にも最適な大口径・短焦点

　LXD-75に標準搭載されている反射望遠鏡は、天体写真撮影にも最適です。大口径で焦点距離が短く明るいため、淡く暗い対象の多い星雲星団の撮影も、短い露出時間で撮影できるため大変有利です。一眼レフカメラ用のカメラマウントを取りつけるためのアダプタも標準で付属しています。

　また、ドイツ型赤道儀の利点を生かして、オプションを同架することにより、より高精度で長時間のガイド撮影をすることもできます。眼視観測では見ることができない遠い銀河の姿も、長時間露出の天体写真で浮かび上がらせることができるのです。

●LXD-75シリーズ単体の追尾では、標準搭載の鏡筒の直焦点撮影には精度が不足します。ガイドスコープを使用したマニュアルガイドか、オートガイダーを併用することをおすすめします。

●安心の国内保証

　当社にて販売しているLXD-75シリーズは、日本国内の正規輸入代理店による製品検査を受けた製品で、１年間のメーカー保証がつきますので安心してお使いいただけます。