●月食はどうしておこるの?
月食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。
有名なところでは、「日食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があり、最近日本で見られた現象では、西日本などの一部で昨年1月15日に見られました。今回の月食の15日前の6月2日にも、北日本などの一部でわずかに欠ける部分日食が見られます。
一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こり、日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こることになります。
なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の反対側を通過するときに月食が起こります。ですから、月食は必ず満月の日に起こります。また、月食の中でも「皆既月食」と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。
前回日本で見られた月食は昨年12月21日で、約半年ぶりとなります。
2011年6月16日(木)の月食の主な現象の時刻(日本時間)
半影食のはじまり
2時24分
本影食のはじまり
3時22分
食の最大(170.5%)
5時12分
本影食のおわり
7時02分
半影食のおわり
8時02分
●今回の月食について
今回の月食は、日本からは16日未明の西の空に見える月が地球の影に隠され始め、地球の影に一部または全部を隠された月が、西の空に沈む様子をみることができます。
今回の月食の起こる時間は上の表の通りです。右の画像は大阪での月の欠け方のシミュレーション画像です。他の地方でも、時間と欠けかたはおなじように見られます。
但し、神奈川・山梨・長野・新潟より東の地域では、皆既食(月が地球の影にすべて入る)になる前に月没を迎えてしまいます。
逆に、関西より西の地方では、より高いところで皆既食となり、月没までの時間も長くなります。上の表の右に各地での月没の時刻を書いてありますので、参考にしてください。
●どこで、どうやって見える?
今回の月食は、月が西の空に沈みながら起こる現象ですので、なるべく長く月食を見るためには、西の空が地平線近くまで開けた場所で観測すると良いでしょう。木立の少ない山の上や海岸はもちろん、南西側に大きく開けたマンションのベランダなどからも見ることができるはずです。
また、満月ごろの月は、大口径の望遠鏡で見ると非常にまぶしいため、ムーングラスを使って減光すると、長時間継続して観測することができます。各望遠鏡のオプションとして用意されていますので、この機会に是非お求めください。
●太陽・地球・月の位置を立体的に感じるチャンス!
今回の月食は、皆既食にかかる時間帯に西の空に沈んでいくので、太陽・地球・月の位置関係を実際に目で見て体験することができるはずです。東の空から昇ってくる太陽からの光が、私たちの立っている地球に遮られ、その影が月に投影されている様子を、是非立体的にご自身の目で確かめてみてください。宇宙で起きている現象がどれだけスケールが大きなことか、そして偶然が重なって月食が起きていることを実感できるのではないかと思います。
双眼鏡や望遠鏡を使って見たときの月食の見え方のシミュレーション
FZ-750GFP等7倍クラスの双眼鏡で見た場合
ポルタA80Mf等、50倍の望遠鏡で見た場合
●各商品は十分な在庫をご用意しておりますが、月食当日が近づきますとご注文が殺到し、ご希望日にお届けできない場合もございます。ご注文はお早めにお申し込みください。
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