星空案内はこちらのページと一緒にお読みください

 ゆううつな曇り空が続いた梅雨も終わり、いよいよ夏本番!。この夏は例年より少し早めの梅雨明けとなり、7月後半からとてもよい天気が続いていますね。毎日毎日暑い日が続いていますが、真夏の太陽が照りつける昼間とは打って変わって、涼しくなった夜の空には、美しい星たちが待っています。

 この夏、太陽が沈んだ後の西の空には、たくさんの惑星が集合しています。右の画像は、東京での8月13日の太陽が沈んだ30分後の西の空のシミュレーション画像です(東京以外の場所でもほぼ同じように見えます)。最も目だって見えるのが宵の明星金星、その近くに火星土星、そして少し低いところに水星もみえています。さらに、8月13日にはそこに三日月も加わって、夕焼け空をにぎやかに彩っているはずです。東の空に21:00前に昇ってくる木星を加えると、日月火水木金土のすべての星が見えることになります(笑)。

 8月上旬から中旬の間は、ほぼこの空と同じ位置関係で各惑星が見えています。水星は地平線に近いため、見つけにくいかもしれませんが、他の惑星は金星を目印にすれば、肉眼でも簡単に見つけることができるはずです。

 一方、この様子を宇宙から見てみると、下の図のような位置関係になります。一見、夜空に張り付いているように見える惑星たちも、たまたま、地球からの見かけ上同じ方向に見えているだけで、私たちの地球と同じように太陽の周りを回っています。今月の地球から各惑星までの距離は、金星と水星は光の早さで約6分・火星までは16分・土星までは80分です。

 太陽系の惑星たちは、それでも比較的近いところにある星たちですが、他の恒星や星雲星団はもっともっと遠いところからその輝きを私たちの目に届けているわけです。


8月13日の日没30分後の東の空の様子


8月13日の太陽系の惑星の位置

???? この惑星たちの中で、最も明るく目立っているのが金星です。天体望遠鏡で見てみると、右の写真のように月のように欠けている様子がわかります。現在地球を後ろから追いかけてきているところなので、日に日に大きくなり、太陽に照らされている部分の形も変わっていきます。

 金星や水星のように、地球より内側をまわる惑星のことを内惑星といいます。内惑星は、地球と太陽との位置関係により、大きさと明るさが大きく変化します。その様子はこちらのページで解説しています。内惑星は地球からの見かけ上、太陽に近いところに見えることが多く、夕方と明け方のわずかな時間しか見ることができない非常に見つけにくい惑星です。

 金星より少し高い空に、不気味に赤く光る火星は、1月28日に地球に最接近したあと、少しずつ遠ざかっています。

 火星とほぼ同じ高さに少し明るめに見えている土星は、望遠鏡で見ると、右の画像のようにくるっとドーナツ状の輪が取り巻いている様子を見ることができます。土星は30年の周期で太陽の周りを周っていますが、その半分の15年おきに、地球からの見かけ上その輪が見えなくなるときがあります。最近では昨年8月に起こりました。これは、土星の輪がとても薄いために起こる現象です。


Meade LX200-25で撮影した火星


20cmクラスの望遠鏡で見た土星
デジタルカメラで撮影

 この惑星たちが西の空に沈み、夕焼けが終わる午後9時ごろの星空のようすを見ると、西の空にはまだ春の星座が見えています。西の空でいちばん目だってい見えるのは、オレンジ色に輝くうしかい座アークトゥルス(34光年)です。アークトゥルスからさらに高いところに目を向けると、先月のこのコーナーで紹介した球状星団M13があるヘルクレス座や、その南に見えるへびつかい座が、少しおとなしめに輝いているのをみることができます。 このへびつかい座の南に、赤く輝く一等星が見つかるはずです。この星がさそり座アンタレス(550光年)です。さそり座には、2002年6月のこのコーナーで紹介した散開星団M6・M7があります。

 街中の夜空ではなかなか見ることができませんが、夏休みに都会から離れた山の上や海辺などで夜空を見上げると、夏の大三角を貫いて南の地平線にむかって、淡い光の帯を見ることができます。これが「天の川」です。実際に見たことが無いという方も多いと思いますが、夏の天の川は他の季節に比べて濃くはっきりと見えます。アウトドアやキャンプなどで昼間体を動かした後、食後のひとときに是非機会を作って夜空を見上げてみてください。

 その天の川が特に濃く明るく見えるのが、さそり座のM6やM7がのある方向。ちょうど今の時期の真夜中ごろに真南の空に見えてきます。この方角が、私達の天の川銀河の中心の方向になります。私達の地球がある太陽系は、天の川銀河の中心から少し離れたところにあります。このため、中心方向を見ると、明るい天の川を見ることができるのです。特に、この付近を双眼鏡を使って見てみると、天の川が小さな星の集まりであることがわかります。


こと座の惑星状星雲M57のシミュレーション画像
80倍くらいの倍率で見るとこのように見えます
比較的明るく見つけやすい星雲で、小望遠鏡から十分楽しめます

望遠鏡での導入方法はこちら

 さそり座から、天の川に沿ってさらに空の高いところに目を移すと、明るく輝く白い3つの一等星で作る大きな三角形を見つけることができます。こと座ベガ(25光年)・わし座のアルタイル(17光年)・はくちょう座デネブ(2000光年)で作られる「夏の大三角」です。中国から伝わった七夕伝説の「織り姫」「彦星」は、それぞれベガとアルタイルだと言われています。

 その夏の大三角のひとつ、こと座の中には、M57と呼ばれる星雲があります。地球からの2150光年の距離にあり、今から約2000万年前に中心にある星が星の一生を終え、放出されたガスがリング状に広がっていく過程が見えているのです。中心にはこれからガスを放出しきって死んで行くであろう白色わい星も見ることができます。

 この種の、小さく円形に広がった星雲のことを、惑星のように見えることから「惑星状星雲」と呼んでいます。このM57は、その中でも比較的明るい星雲で、8cmクラスの望遠鏡でも簡単に見ることができます。50倍くらいからその形をとらえることができるようになり、100倍くらいでタバコの煙のわっかのようなかわいい姿をみることができます。

 もうひとつ、M57から少し離れた夏の大三角のほぼまん中、はくちょう座のくちばしにあたるところに、アルビレオという星があります。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも出てくる名前で、肉眼ではひとつの星に見えますが、望遠鏡で見ると2つの色の異なる星が寄り添って、とてもきれいな二重星です。地球から380光年の距離にあって、30万年という長い周期でゆっくりとまわりあっている星です。

 このアルビレオのすぐ近くにあるこぎつね座という星座の中にには、2005年8月のこのページで紹介したM27と呼ばれる星雲もあります。


はくちょう座β星アルビレオのシミュレーション画像
50倍くらいで見るとこのように見えます
色の対比のとてもきれいな二重星です

望遠鏡での導入方法はこちら

 さらに、視線を東の空をに向けると、地平線近くから金色に輝く明るい星が昇ってくるのが見えます。この星が木星です。木星までの距離は光の速さで約40分かかりますが、木星は太陽系最大の惑星で、その直径は地球の11倍もあるため、望遠鏡でも表面の模様が良く見えるます。木星をはじめとした太陽系の天体の大きさが解る図がこちらのページにあります。

 木星を望遠鏡で見ると、本体にある縞模様や、まわりをまわるガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星を見ることができます。これは、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で木星を見たときに発見した衛星で、イオエウロパガニメデカリストという名前が付けられています。木星は、その明るさと大きさから大神ゼウスのローマ神話での呼び名ユピテル(Jupiter=英語でジュピター)と呼ばれており、そこをまわる衛星には、ゼウスに仕えていたニンフなどの名前が付けられているのです。

Meade LX200-25で見た木星
デジタルビデオカメラで撮影

 水星や金星・火星・木星・土星は、そのまわりの星座の星々と毎日少しずつ位置関係を変えています。その様子を毎日スケッチしていくと、私たちの地球やこれらの惑星が、太陽のまわりをまわっていることが理解できるようになります。15世紀ポーランドの天文学者コペルニクスがはじめて唱えた地動説以後、世界中の天文学者が現在まで宇宙を見つめ続けて、現在も様々な角度から研究が進められています。そして2006年には、冥王星が惑星から除外されました。その太陽系宇宙の変遷をこちらのページにまとめています。

 このページで紹介している星雲星団や惑星の模様・土星の輪などは、口径7cmクラスの望遠鏡から見ることができるようになります。当社オンラインショッピングで紹介している望遠鏡も、最も小さなもので口径7cmですから、充分見ることができます。是非あなたの目で確かめてください!。

 そしてもう一つ、この夏注目の天文現象として忘れてはいけないのが8月13日未明(12日の夜)に見られることが予想されているペルセウス座流星群があります。


今年のペルセウス座流星群の見える状況
クリックすると拡大します
8月13日午前3時ごろの北東の空の様子

 今年のペルセウス座流星群は、月の影響がまったく無くたいへん良い条件で見ることができます

 流星群を見るときには、なるべく近くに建物や高い山や森などの無い開けた場所で、まわりに街灯やネオンサインなどが少ない空の暗い場所を選んでください。また、流星は双眼鏡や望遠鏡を使ってみるものではなく、皆さんの目で空を見上げて見つけるものです。グラウンドシートなどを広げて、寝ころがって空をぼーっとながめているのが、もっとも流れ星を見つけやすい方法です。

 是非この夏は、天の川が見えるほど星空のきれいなところに出かけてみませんか?。都会よりもっとたくさんの流れ星を見ることができるはずです。そして、流星だけではなく、是非他の星たちも楽しんで見てくださいね。そんなときに、当社オンラインショッピングおすすめラインナップで取りそろえた双眼鏡や望遠鏡を使えば、きっと楽しい夜の一時を過ごすことができるでしょう!。

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