7月にはいり、関東から西の地方では真夏のような猛暑が続いています。夜明けの空のLINEAR彗星(C/2001A2)も注目されていますが、宵の南の空にひときわ明るく輝いている火星も、今年の夏に見頃となる天体です。

 7月10日ごろの星空のようすを見ると、宵の空には高いところに北斗七星が整然と並び、その柄の部分からたどることができる春の大曲線には、うしかい座のアークトゥルス、おとめ座のスピカ、さらにその延長にはひしゃげた四角形が印象的なからす座もあります。アークトゥルスは、オレンジ色に輝く春では最も明るい1等星です。その輝きが天頂付近にやってくると、ちょうど麦の刈り入れ時期になることから、その色と麦の穂の色あいから日本では「むぎぼし」という名前でも呼ばれています。

 一方、東の空には夏の星座たちも姿を見せています。南の空にはさそり座が大きなS字に体をくねらせています。そのさそり座の一等星アンタレスは、赤く輝く赤色巨星。そしてそのアンタレスとほぼ同じくらいの高さに、この時期最も明るい星となっている火星の姿も見ることができます。火星は、その色から来るイメージから、ギリシャ神話では戦争の神アレス(ローマ神話のマルス=マーズ)と呼ばれており、アンタレスはその赤さを競うものとしての意味「アンチ=アーレス」という名前が付けられたということです。

 今年は、火星の「中接近」の年です。火星は地球のすぐ外側をまわる惑星で、地球ととても良く似た環境を持っていることから生命の存在が以前からよく取りざたされている星です。「火星人」のイラストを目にしたことのある方も多いでしょう。でも、現時点で解っている範囲では、まだ火星に生命体は確認されていません。

 火星は、約1年10カ月の周期で太陽のまわりをまわっています。1年で一周する地球とは、約2年2カ月の間隔で接近します。ところが、火星は軌道が少し歪んでいるため、その接近するときの地球と火星の位置によっては大きく接近したり、あまり接近しなかったりします。その様子は下の図のようになります。

5月13日の火星
20cmシュミットカセグレン望遠鏡
デジタルカメラにより撮影

これから20年間の地球と火星の接近する日とその距離
接近する日 距離 視直径
2001/6/11 0.459

20.5

2003/8/23 0.373

25.2

2005/11/3 0.466

20.2

2007/12/19 0.589

15.8

2010/1/29 0.664

14.0

2012/2/29 0.677

13.7

2014/4/6 0.624

15.1

2016/5/18 0.517

18.0

2018/7/25 0.387

24.1

距離の単位はAU(天文単位)
1AUは地球と太陽の平均距離

視直径の単位は角度の秒


地球の軌道を上から見た図 (C)2001 STARGAZE

 このように、火星軌道の歪みが太陽に寄っている7〜9月に接近が起こるときのことを「大接近」と呼んでいて、火星を観測する絶好の機会となります。今年の6月も大接近のときほどではありませんが比較的接近するため、「中接近」などと呼んでいるわけです。

 火星は、酸化鉄などを成分とした地表が太陽に照らされて、その反射した光が私たちの目に赤い色として見えています。表面には小望遠鏡でも見える細かい模様があり、また、地球の南極と北極にあたる部分には「極環」と呼ばれる白い部分も見られます。これは火星表面の二酸化炭素が凍ってドライアイスのようになっていると考えられています。ちょっと大きめの口径の望遠鏡で見てみると、これらの模様が日に日に変化して行く様子も見ることができます。これは火星の自転周期は地球の時間で24時間37分と、地球よりちょっとだけ長いことから起こります。もちろん一日の中でもその様子は刻々と変化していきます。

 火星が西の空に沈む明け方になると、東の空から明けの明星の金星も姿を見せます。欧米ではその穏やかな美しい輝きからローマ神話の美の女神ビーナスに例えられています。3月まで夕方の夕焼け空の中にひときわ明るく輝く一番星だった金星は、地球の内側をまわる惑星です。この時期、金星は地球に非常に近いところにいるため、毎日その位置を変えてゆきます。その変化は肉眼でも簡単にわかります。是非比較してみてください。また、昼間の空でもその姿を見ることができます。右の画像は昼間の空に輝く金星の姿です。

 これから梅雨を過ぎると本格的に星空を楽しめるシーズンです。今回ラインナップした商品は、火星観測に最適な比較的口径が大きく高い倍率でも無理なく使用できる機種を選んでみました。いつものラインナップに比べると高価な商品が多くなっていますが、このクラスの天体望遠鏡は一度お求めになると長くお使いいただけるしっかりした製品ですから、是非この機会にお求めください。また、より安定したコントラストの高い像で惑星観測に適したフローライト・SD・ED屈折望遠鏡も各種取り扱っております。詳しくは電子メールにてお問い合わせください。

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカードでの決済または代金引換・銀行振込・郵便振替がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

火星観測に最適な天体望遠鏡ラインナップ!
本格的なニュートン式反射望遠鏡とドイツ式赤道儀の組み合わせの入門機。いろいろなオプションでステップアップもOK 写真から観望までマニアも満足 

ビクセン マイスターシリーズ反射赤道儀
\69,800〜
ポータブル望遠鏡の決定版。バッグに詰めて野山に持ち出してきれいな星空の下で楽しめる。コンパクトにまとまったETX90ECがおすすめ!。

Meade ETX-90EC ETX-125EC
ETX-90EC \88,000
ETX-125EC \148,000
最新型天体自動導入ロボット!。モーターで目的の天体をどんぴしゃり!。20cmの大口径と長い焦点距離で惑星観測には最適!。

Meade LX90-20
\249,000〜

この他にもいろいろな商品をラインナップしています。是非オンラインショッピングをご覧ください。


スターゲイズ トップページに戻る