※Google mapへの書き込みの都合上、1km以内の誤差が生じる可能性があります。実際には、限界線より内側の場所を選んでください。限界線に近づくほど、皆既食の時間は短くなりますから、なるべく中心線に近い場所を選ぶと良いでしょう。
※アメリカNASA ゴダード宇宙飛行センター(GSFC) がより正確な推算をGoogle mapに書き込んだページをこちらで公開しています。各地での日食の時刻(世界時)も秒単位まで見ることができます。時差を含んでいないので、上記の表を参考に、各地の時差を計算してください。
※日食当日に、スマートフォン等に内蔵されたGPS機能を使って、自分のいる位置が皆既食帯の中かどうかを確認できるページをこちらに用意しました。必要に応じてブックマークしてお使いください。あらかじめ、スマートフォン等の位置情報機能をONにしてから読み込んでください。
日食を見るための場所選びで最も重要なことは、「晴れていること」です。苦労して海外まで行っても、日食が起こるときに厚い雲で覆われていたら、日食を見ることはできません。
インターネット上には、http://weatherspark.com/ などに、世界各地の降水量や湿度・晴天率・雲量・標高などのデータがあります。それらを参考に、観測地を選んでください。総じて、8月下旬は西海岸や内陸部は乾季にあたり、晴天率が良い傾向にあります。
一方、皆既食の時間が長く続く場所のほうが、皆既日食をより確実に、ゆっくりと楽しむことができるという考え方もあります。この点では、西海岸より東海岸のほうが条件が良く、今回の日食で皆既食が計算上一番長く続くのは、イリノイ州のカーボンデイル付近の中心線で、2分40秒(暫定値)続きます。
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皆既食帯付近の気象条件 (NOAAによる1974〜2012年の8月21日の平均値)
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州
|
地名 |
気温(℃) |
平均
雲量 |
雲量別時間割合 |
湿度
|
皆既
延長
|
最高 |
最低 |
0-3 |
3-7 |
7-10 |
最高 |
最低 |
オレゴン
|
セイラム |
27 |
12
|
15% |
54% |
13% |
19% |
90%
|
38% |
120
|
アイダホ
|
アイダホフォールズ |
28 |
9 |
24% |
51% |
22% |
28% |
90% |
22% |
138 |
ワイオミング
|
ジャクソンホール |
24 |
7 |
16% |
65% |
16% |
19% |
84% |
26% |
140 |
キャスパー |
29 |
11 |
15% |
53% |
25% |
21% |
75% |
20% |
146 |
ネブラスカ
|
リンカーン |
30 |
18 |
23% |
50% |
22% |
27% |
92% |
49% |
157 |
ミズーリ
|
カンザスシティ |
31 |
21 |
19% |
50% |
23% |
27% |
85% |
48% |
159 |
セントルイス |
30 |
21 |
49% |
28% |
37% |
35% |
90% |
49% |
160 |
イリノイ |
カーボンデイル |
31 |
19 |
35% |
32% |
18% |
28% |
90% |
49% |
160 |
テネシー |
ナッシュビル |
31 |
21 |
45% |
24% |
34% |
32% |
91% |
48% |
159 |
サウスカロライナ
|
コロンビア |
32 |
21 |
58% |
26% |
35% |
40% |
95% |
49% |
156 |
チャールストン |
31 |
25 |
35% |
40% |
20% |
25% |
98% |
76% |
154 |
※平均雲量は、日中の全天の雲の量の平均値です。
※雲量別時間割合は、雲量を少ないほうから0-3・3-7・7-10の3段階に分け、それぞれの時間の長さの割合を示したものです。雲量が測定できない時間が含まれているため、3つの段階を合計しても100%にならない地点があります。
※皆既延長は、地点に最も近い中心線での暫定継続時間(秒)です。 |
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また、皆既日食は、建物や山などに太陽がさえぎられず、皆既帯の中にさえいれば、街中でもどこでも見られます。皆既帯の中にある空港や駅であれば、日食の時間に間に合うように飛行機や列車・バス等に乗って行くだけでも、日食が見られることになります。テネシー州のナッシュビル国際空港は、皆既食帯の中心に近く、全米からジェット機が来る空港です。
AMTRAK http://www.amtrak.com/ は、全米を走る長距離列車を運行していますが、皆既食帯の中にいくつかの停車駅があります。また、カンザスシティからセントルイスに向けて、ミズーリ川に沿って走る列車ミズーリリバーランナーからは、列車から皆既日食を楽しむこともできそうです。
さらに、これらの空港や駅を基点にして、近隣の観光地等に足を伸ばして見るのも良いでしょう。アメリカでは、駅馬車を起源とする路線バスが多数走っており、グレイハウンド http://www.greyhound.com/は、全米の都市を網羅する長距離バスを運行しています。日本同様、長距離の夜行バスもありますから、うまく利用すれば日食当日の朝に皆既食帯の中の街に行くこともできるでしょう。 |
皆既食帯付近の定期旅客便が離発着している空港・AMTRAK駅
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州
|
空港 |
AMTRAK駅
|
空港名(空港コード) |
中心線か
らの距離 |
※
|
駅名
|
中心線か
らの距離 |
※
|
オレゴン
|
ポートランド国際空港(PDX) |
89km |
△
|
セイラム駅
|
16km |
◎
|
レドモンド空港(RDM) |
51km |
○ |
|
アイダホ
|
アイダホフォールズ空港(IDA) |
32km |
◎ |
|
ワイオミング
|
ジャクソンホール空港(JAC) |
0km |
◎ |
|
キャスパー空港(CPR) |
6km |
◎ |
リバートン空港(RIW) |
17km |
◎ |
ネブラスカ
|
リンカーン空港(LNK) |
50km |
○ |
リンカーン駅 |
49km |
○ |
ノースプラット空港(LBF) |
34km |
◎ |
ヘイスティング駅 |
29km |
◎ |
アライアンス空港(AIA) |
1km |
◎ |
|
グランドアイランド空港(GRI) |
13km |
◎ |
ミズーリ
|
カンザスシティ国際空港(MCI) |
40km |
◎ |
カンザスシティ駅 |
58km |
△ |
セントルイス国際空港(STL) |
64km |
△ |
セントルイス駅 |
60km |
△ |
コロンビア空港(COU) |
2km |
◎ |
インディペンデンス駅 |
52km |
○ |
|
シデイリア駅 |
47km |
○ |
ジェファーソンシティ駅 |
19km |
◎ |
ハーマン駅 |
20km |
◎ |
ワシントン駅 |
22km |
◎ |
カークウッド駅 |
48km |
◎ |
イリノイ |
|
カーボンデイル駅 |
10km |
◎ |
テネシー
|
ナッシュビル国際空港(BNA) |
40km |
◎ |
|
サウスカロライナ
|
コロンビアメトロポリタン空港(CAE) |
6km |
◎ |
コロンビア駅 |
15km |
◎ |
グリーンビル・スパータンバーグ国際空港(GSP) |
45km |
◎ |
ノースチャールストン駅 |
40km |
◎ |
チャールストン国際空港(CHS) |
40km |
◎ |
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※欄
△印は皆既食帯の外で、限界線に近い空港・駅
○印は皆既食帯の中で、限界線に近い空港・駅
◎印は皆既食帯の中心に近い空港・駅
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もう一つ、皆既日食の楽しみ方の一つに、昼間は見ることができない星空が見えることも大きなポイントです。今回の日食では、皆既中の太陽のすぐ近くの東側にしし座の1等星レグルスがあります。金星・木星や各1等星も、快晴であれば肉眼で確認できます。太陽・月と各惑星がほぼ一直線上に並んでいこともわかるはずです。
火星は地球から見て太陽の反対側にあるため、2等星程度に見えます。空の条件が悪いと見えないかもしれません。また、水星は地球と太陽の間にあって、輝いている面がほとんど見えないため、3等星程度に見えます。空の条件が良くないと見えないかもしれません。 |
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また、周囲が開けた場所であれば、遠くから少しずつ月の影が接近してくる様子や、皆既中に周囲の地平線だけが明るくなっている様子も見られます。地上を照らす太陽の光が徐々に暗くなっていくことや、皆既食独特の気温の変化や風により、野生動物の動きにも変化が見られることがあります。
こうした変化を楽しむには、周囲が開けた平原や、山の中のほうが楽しめるかもしれません。この点では、中西部の大平原はたいへん良い条件になると思います。 |
●コラム● ツアーとセルフ どっちがいい? |
地球全体で見ると、基本的に年に2回は日食が起こります。そのたびに、日本では旅行代理店各社がツアーを企画し、大勢の日食ファンが参加しています。日食が起こる場所は毎回違い、治安面などで国内とは勝手が違うことも多く、閉鎖的な場所で観測をしなければならないケースもあり、日食の手配に慣れた旅行代理店が主催するツアーは、とても人気が高いです。
しかし、ツアーでは団体行動が基本となるため、観測場所や時間の制約があることや、日食前後の観光場所などの自由度も低くなります。もし観測場所の天候が悪くても、簡単に場所を移動することも難しくなります。
今回の日食は、皆既食帯が白昼の北アメリカ大陸を横断していく絶好の条件で、皆既食帯の中には、国際空港がある大都市もいくつか含まれていますから、必ずしもツアーに頼らなければならない状況ではありません。天候が悪かった場合などに目的地を晴れている場所に変更できることや、周辺の観光地等を自由にまわることができることなど、ツアーではできない臨機応変な対応もできます。アメリカではレンタカーも一般化していますから、それを利用すればさらに柔軟性が増します。また、キャンピングカーのレンタルサービスを利用することもひとつの方法でしょう。皆既食帯には、有料で予約ができるキャンプサイトもたくさんあります。特に国立公園内では、環境保護のため開発行為が制限されているため、宿泊施設はあったとしても客室数が少ないのですが、キャンプサイトはキャパシティも大きいところが多いです。
但し、ツアーと比較すると、何か問題が発生したときには自分で解決しなければなりませんから、言語の問題も含めて、ある程度の解決力は必要になります。
一方で、ツアーであれば、このような観測場所の天候や交通手段・宿泊・言語の問題など、すべて代理店やツアーコンダクタがやってくれるわけですから、安心して参加することができるでしょう。ただ、目的が通常の観光とは違い、天候や視界など、専門的な経験も必要なため、日食ツアーの企画経験の有無の差はあるかもしれません。
また、日本の旅行代理店ではなく、アメリカまでの航空券を各自で確保して、アメリカ国内発の現地ツアーに参加するのもひとつの方法です。インターネット上のホテル予約サイトなどでは、人気の高い場所はすでに取りにくい状態になっていてますが、これらの宿泊施設は現地のツアー会社が確保しているところが多いですし、現地ならではの情報網でより快適な滞在ができるかもしれません。日本からのツアーより場所の選択肢も増えますから、柔軟性も高くなるでしょう。Google検索("solar eclipse tour usa 2017")などで情報を集めてみてはいかがでしょう?。
ちなみに、このページを書いている本人は、日食ツアーには参加したことがありませんが、過去3回海外に日食を見に行って、3回とも皆既食・金環食を見ることができました。日食に限らず、海外に行くときは基本的にセルフアレンジだからということもありますが、やはり時間に拘束されるツアーは敬遠しがちです。
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●日食を安全に楽しむには・・・
皆既日食では、太陽を月がすべて隠してしまうため、皆既中は肉眼でそのまま見て楽しむことになりますが、その前後、太陽を月が少しずつ隠していく部分食の段階では、肉眼でそのまま見ることは大変危険です。太陽は、光の速さで8分の距離にあるとはいえ、原子力発電所の数億倍の規模のエネルギーを発している巨大な核融合炉でもあります。太陽からは様々なエネルギーが私たちの地球に降り注いでいますが、その中には私たち人間に有害な放射線も含まれています。肉眼で直接太陽を見ることは、失明の危険もありますので絶対にしないでください。 |
●コラム● 太陽を直接見ることの危険性 |
私たち人間は、通常は日中の太陽をわざわざ凝視することはありません。太陽を直視すれば「まぶしい」という本能的な回避行動が働いて、太陽から目をそむけるはずです。それは、人間の生まれもって持つ防御本能と考えられます。
しかし、その本能を抑えて見続けた場合どうなるのでしょうか?。2008年にブラジルのロンドリナという街で行われた宗教的儀式で、真昼の太陽をフィルター等の保護具を用いずに肉眼で長時間直視した24人に、網膜の一部や黄班が変性したり浮腫が発生し、視力が低下する等の症状が現れたと報告されています。この48の眼(24人×両眼)のうち43の眼に何らかの障害が起こり、約6ヶ月間の治療により40の眼はほぼ元通りの視力に戻りましたが、残る3つの眼は視野の中に暗点が残ってしまったとのことでした。(ブラジル 科学電子ライブラリー SciELO "Occurrence of solar retinopathy after religious ritual in Londrina, Parana, Brazil"より)
このような症状は太陽網膜症(Solar retinopathy)と呼ばれ、20世紀はじめごろから症例が記録されています。実はこれまでも、日食の観測をして太陽網膜症になったという症例が世界中で多数報告されており、裸眼で太陽を見たときに許容される曝露時間は、空の高いところにあるときには0.8秒以内という計算もあります。これらの長年の臨床結果を元にヨーロッパでは、太陽からの人間の眼に有害な光や放射線を反射・吸収する機能を備えた、安全に太陽を見るためのフィルターの国際規格が作られています。この規格に適合するフィルターを適切な方法で使用すれば、基本的に安全に太陽を見ることができます。
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では、どのようにして日食を観察すれば良いのでしょうか?。ここでは、その方法をいくつか紹介していきましょう。
日食を見るために最も安全な方法は、直接太陽を目で見るのではなく、太陽の光を何かに投射して、それを観察する方法です。太陽からのエネルギーを直接目で受けることが無いため、安全に日食を見ることができます。
投射法を最も簡単に実現する方法として、ピンホール法と呼ばれるものがあります。太陽の光を遮断する紙などに小さな穴を開け、それを通ってきた光を別の白い紙や布などに投射する方法です。ピンホールの穴はなるべく真円になるようにあけたほうが、欠けている太陽の形が鮮明に映し出されます。また、投射する距離に応じて穴の大きさを調節する必要があります。
また投射法は、人為的にピンホールを作らなくても、自然に同じ原理で日食中の太陽の形を見ることができることがあります。例えば茂った木の葉っぱの間から見える木漏れ日が、日食中は丸ではなく欠けた太陽の形になって現れます。同様のことが、障子にあいた小さな穴等でも起こります。
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2001年6月21日にザンビアの首都ルサカで見られた皆既日食の際に
南アフリカのハーテビーストーク電波天文台観測チームの
ルイス バレンズ(Louis Barendse)氏が撮影した投射法による日食
ピンホールで文字を作って太陽の光を白い布に投射した様子
ピンホールの一つ一つが欠けた太陽の形になっている
2012年5月21日に見られた金環日食での投射法による日食
木漏れ日が環のようになっている。
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しかしピンホール法では、太陽の像がピンホールの直径分ぼけてしまうため、日食中の太陽の形を鮮明に映すことができません。また、やはり投射されたものではなく自分の目で確かめたいという気持ちが出るのも当然のことと思います。そこで、太陽からの人間の目に有害な光や放射線をカットして、肉眼で太陽の光を安全に見ることができるようにしたフィルターが用意されています。この方法なら、直接太陽から来る光を安全な光に変えて肉眼で見ることができるため、ピンホール法のようにぼけた像にならず、鮮明な太陽を見ることができます。当社では、目を直接フィルターで保護できる直視用日食めがね(\540)を販売しています。
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■いちばんのおすすめは双眼鏡!
さらに、皆既日食を最も楽しく見ることができるのは双眼鏡です。太陽に月がかかりはじめるころから最後まで、刻々と変わっていく太陽の様子をつぶさに見ることができます。特に皆既食中に太陽から噴き出すコロナや、その背後に見えている宇宙の星たちは、両目で見ることができる双眼鏡が最も美しく見えます。当社でのおすすめは、軽量コンパクトでスーツケースの片隅に入れて持っていける、FH-842RFT双眼鏡+太陽観測フィルターセット(\18,000)です。
皆既日食を見る時、特に気を付けなければならないのは、皆既食の直前のタイミングです。フィルターをつけたまま皆既食に入ると、視野は真っ暗になってしまいます。皆既になる数秒から数十秒前に、瞬間的にフィルターをはずさなければなりません。ですから、フィルターの着脱が容易に、かつ確実にできるものを選ぶ必要があります。このセットに付属しているフィルターは、簡単な抜き差し式のフィルターですので、すぐに取り外しができます。
また、この双眼鏡は星空観察にも最適です。中部山岳地帯などの空の暗いところを目的地とされている方は、夏の夜空の天の川をはじめとした、夜の星空も十分にお楽しみいただけます。
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FH-842RFT双眼鏡+太陽観測フィルターセット
8倍42mmダハプリズム双眼鏡と太陽観測フィルターのセット |
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皆既中の太陽を肉眼(左)で見た場合とFH-842RFT双眼鏡(右)で見た場合の大きさのシミュレーション
今回の日食では、この視野の中にレグルスも一緒に入ります。 |
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このほかにも、当社オンラインショッピングでは日食を安全に楽しんでいただける太陽観測用のフィルター等を用意しています。このページで紹介しているフィルターは全て日食の観測にそのままご使用いただけます。この機会に是非お求めください。
このように、安全なフィルターなどを取りつけて太陽観測を行うことは、決してむずかしいことではありません。是非この機会に太陽観測にチャレンジしてみてはいかがでしょう。使用方法に十分注意して安全に日食観測をお楽しみください。
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●コラム● ススをつけたガラスではだめなの? |
20年ほど前までは、日食を見る際に太陽の光を減光するために、ろうそく等でガラスに煤(すす)をつけて、太陽の光を減光して見ていました。また、写真用ネガフィルムの感光部分を使用したり、黒いプラスチックの下敷きを使っていたこともありました。
しかし、これらの方法では、私たちが眼で見ることができる「可視光」を安全なレベルまで遮断することができても、太陽からの有害な光線や放射線は十分に遮断することができず眼に届いてしまうため、とても危険な方法であることがわかっています。太陽を直接見るためのフィルタの国際規格が作られたのも、このような危険な方法により太陽を見て、太陽網膜症になることを避けるためです。
規格に適合したフィルターを使用して太陽を見れば、基本的には安全に日食を楽しむことができます。しかし、使用方法を誤ると太陽網膜症になる可能性もあります。このようなことにならないために、以下の点にも注意してください。
●フィルターを使っても、3分以上凝視しない
太陽に限らず、光や熱などのエネルギーを発しているものを長時間凝視することは、眼への負担が多くなります。日食の変化を注意深く見ようとするがためにどうしてもじっと注視してしまいがちですが、太陽を見上げる時間はなるべく短時間で済ませ、小刻みに眼を休ませるようにしてください。
●フィルターをつけはずしするときには、必ず太陽から目をそむける
太陽観察用のフィルターの濃度は、昼間の風景でもほとんど見えないほど濃いため、ついつけはずしするときに太陽の方を向いたまましてしまいがちです。必ず太陽のほうを向く前にフィルターをつけ、はずすときも太陽から目をそむけてからはずすようにしましょう。
●曇り空や低空でも危険
普段、朝日が昇ってくるときや夕日が沈むときには、大気による減光によりまぶしくないため、直接太陽の光を見てしまいますが、この場合もやはり長時間見続けると太陽網膜症になる危険があります。あまり長く見つめないようにしましょう。また曇り空の時は、フィルターをかけてしまうと太陽の像が見えない場合がありますが、雲の流れで急に太陽が現れるときに大きな危険があります。できるだけフィルターをかけたままで見るようにしてください。
●カメラを通して見る場合
ビデオカメラやデジカメなど、カメラのモニターで画像を確認する一眼レフタイプではないカメラの場合は、直接眼で太陽の光を受けることは無いため、眼への危険はありません。但し、カメラ本体を保護するために、フィルターは必ず取り付けてから太陽に向けてください。また、カメラを太陽に向けるときに、ついつい裸眼で太陽を見てしまうことがあります。カメラ本体の周辺に紙などで覆いをつけるなどして、直接太陽を見ないように工夫をすると良いでしょう。
また、一眼レフタイプのカメラの場合は、直接太陽の光が眼に入ってくることになりますので、太陽に向ける前に必ずフィルターを取り付け、3分以上連続して見続けないように注意してください。 |
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●皆既日食撮影のTips
皆既日食はまさに千載一遇の天文現象。見に行ったからには、やはり写真やビデオに残したいと思うでしょう。上に掲載した太陽観測用のフィルターを使えば、簡単に写真やビデオに収めることができます。でも、せっかくならもっと美しく撮りたい!。ちょっとしたノウハウで、より美しく日食を撮ることができます。
■三脚を使いましょう!
せっかくの日食ですから、大きくアップにして撮影したいでしょう。対象を大きく拡大して撮影するには、望遠レンズを使用することになります。しかし、望遠レンズは手ブレの影響が大きく現れますし、皆既食中の太陽は、コロナの輝きだけになるので、シャッタースピードが遅くなり、ブレやすくなります。是非三脚を用意してください。
皆既日食の撮影でも、三脚はもちろんリモコンやセルフタイマーなど、夜の星空を撮影するときのノウハウが、日食の撮影でもそのまま生かせます。天体写真撮影の最も基本となる固定撮影については、こちらのページで紹介しています。海外旅行に持ち出せる、スーツケースの片隅に入れられるコンパクトな三脚もラインナップしています。是非一度ご参照ください。
■連続撮影は自動追尾にすると便利
皆既日食の場合、月が太陽にかかりはじめてから皆既を経て再び月が太陽から完全に離れるまで、2時間30分〜3時間程度かかります。動いていく太陽をその都度追いかけてシャッターを切っても良いのですが、毎回雲台の位置を変えて撮影するのは、慣れないとなかなかうまくいきません。また、ビデオ撮影を行う場合、手動で連続して追いかけ続けるのは、時間的に難しくなります。
そんなときに、観測地の緯度と方位がわかっていれば、簡易星野写真儀を使って自動追尾が可能です。カメラ三脚の雲台に簡易星野写真儀を取り付けて南の方角に向け、観測地の緯度にあわせて雲台を傾ければ、大まかな自動追尾ができるようになります。スマートフォン等に内蔵されたGPSや方位センサーを活用すると、より簡単にセットできます。
さらに、昼間の天体を追尾できる天体自動導入機能を内蔵した電動経緯台を使用すれば、さらに正確に太陽を追尾することもできます。観測地の緯度・経度をスマートフォンなどで調べて時刻をコントローラーに入力し、カメラで太陽を捕らえて設定すれば、その後は自動で追尾します。
※設定ミスや電源の不具合などが原因で追尾ができない可能性もありますので、自動追尾を設定した後も、定期的に太陽がカメラの中にあるかどうか確認し、必要に応じて修正するようにしましょう。
■レンズはどのくらいの焦点距離?
初めて日食を撮る場合、どのくらいの望遠レンズを使えばいいのかわからないですよね。これまでも書いてきたように、日食は太陽の前を月が通過して起こる現象で、太陽と月は地球からの見かけ上ほぼ同じ大きさ(約0.5度)に見えます。ですから、満月前後の日に、お手持ちのカメラやレンズで、月がどのくらいの大きさで写るかを確かめておくと良いでしょう。また、満月のときの感度やシャッタースピードは、皆既食中のコロナを撮影するときのシャッタースピードの設定とほぼ同じになるので、日食に持ち出す前に是非テスト撮影してみてください。
以下は、実際にいろいろな焦点距離のレンズで日食や月食を撮影したサンプル画像です。持って行くレンズや機材の選定の参考にご参照ください。
※レンズ固定式のカメラやビデオカメラ・スマートフォンに内蔵されているカメラ等の場合は、各製品の仕様に記載されている「35mm版換算」の焦点距離が、下記の「35mm」の欄の数値に近いものを参考にしてください。 |
◇標準レンズ
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35mm : 50mm前後
APS-C : 30mm前後
マイクロフォーサーズ : 25mm前後
一眼レフやミラーレスカメラに付属している標準レンズや、コンパクトデジカメの標準的なレンズで撮影した場合、このくらいの大きさに写ります。皆既中なら、太陽を隠している黒い月と、太陽から噴き出すコロナは写るはずです。ただ、拡大率は低いので、かなり遠くから見ている感覚になるでしょう。
ビルなどの背の高い建物などを、下から仰ぐようにして撮影すれば、皆既中の太陽と地上の風景を一緒に捉えることができるでしょう。
標準レンズでの画角は、長辺がおよそ40度〜50度です。今回の日食が皆既食を迎えるとき、西海岸から中部山岳地帯のオレゴン州・アイダホ州付近までは高度が50度以下ですが、それ以外の地域では50度以上になるため、水平線と皆既中の太陽を同じ構図に入れるためには、より広角のレンズが必要になります。 |
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2011年12月10日の月食
APS-C一眼レフ + 30mmレンズ
日食でも大きさはほぼ同じです |
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◇広角レンズ
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35mm : 30mm前後
APS-C : 20mm前後
マイクロフォーサーズ : 16mm前後
当社オンラインショッピング取扱商品
トキナー ATX107 魚眼ズームレンズ
標準レンズより画角が広くなるため、日食中の太陽の像は小さくなりますが、その分周囲の星空や地上の風景も構図に入れることができます。スマートフォンに内蔵されたカメラや、コンパクトデジカメなどは、広角レンズを使用しているものが多いです。
時間と共に欠けていく太陽が日周運動により移動していく様子を撮影して合成する場合、標準レンズよりやや広めの広角レンズが適しています。
また、魚眼レンズなどの超広角レンズを使って、明るく輝く水平線付近から太陽と月に向かって暗くなる空の様子を撮ってみるのも面白いでしょう。 |
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2009年7月22日
中国浙江省で見られた皆既日食
APS-C一眼レフ + 魚眼ズーム12mm
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◇望遠レンズ
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35mm : 500mm〜800mm前後
APS-C : 300mm〜500mm前後
マイクロフォーサーズ : 250mm〜400mm前後
当社オンラインショッピング取扱商品
ケンコー 400mmF8 Mirror (\16,848)
ケンコー MILTOL ED 400mmF6.7 (\51,840)
オリジナル屈折鏡筒 PV80E55 (\68,040)
皆既日食の写真撮影で、最もよく使われるのがこの焦点距離です。構図の中心に太陽を隠している月が黒く写り、そこから大きくコロナが噴出している様子を撮影することができます。ダイヤモンドリングがいちばん美しく見えるのは、このくらいの焦点距離でしょう。今回の日食では、この焦点距離までレグルスも同じ構図の中に入ります。
また、スマートフォンに取り付けることができる望遠レンズアダプタでも、この程度の大きさで撮影することができます。解像度は専用の望遠レンズに劣りますが、選択肢の一つとして検討できると思います。 |
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2009年7月22日
中国浙江省で見られた皆既日食
APS-C一眼レフ + 300mmレンズ
2016年3月9日の部分日食
APS-C一眼レフ +
PV80E55鏡筒(440mm)
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■部分食中の絞りとシャッタースピード
太陽に月の一部がかかっている部分食の間は、必ず太陽観測用のフィルターを取り付けて撮影する必要があります。
太陽観測フィルターを通すと、地上の風景や空はほぼ完全に真っ黒な状態で、太陽に向けたときだけ、太陽の光が見える状態になります。このため、絞りやシャッタースピードを完全にオートのままにしてしまうと、周りの暗い部分と平均化されてしまい、少し露出オーバーになってしまいます。
カメラ側で測光モードを変更できる場合は、スポット測光や中央重点測光に切り替えることで、中央の太陽の明るさだけに露出を合わせることができます。この方法なら、太陽を真ん中に入れてから撮影することで、ほぼ毎回適正露出にすることができます。
但し、部分食が進んで太陽が細くなってくると、それでも露出オーバー気味になっていってしまいます。雲がかかったりしない限り、部分食中の露出時間は最後まで変える必要はありませんから、快晴のときは、マニュアル露出に切り替えて、部分食が始まったころの露出時間をキープしたままにしたほうが、良い結果が得られるでしょう。
※太陽の高度が概ね高度が30度以下になる場合、マニュアル露出では大気の影響による減光を考慮する必要があるため、低くなるにつれて絞りやシャッタースピードを調節する必要があります。但し、今回の日食では、アメリカ本土で日食が始まるのが最も早い西海岸のオレゴン州でも、太陽の高度は約30度ですので、大気の減光による影響はほとんど考慮しなくてよいでしょう。 |
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■雲がかかっている場合の注意
部分食の間は、地面に影ができない程度の厚さの雲がかかると、欠けている太陽がそのまま肉眼で見えるときがあります。そのときにフィルターをつけていると、逆に太陽が見えません。このような場合、フィルターを外した状態で撮影することになります。雲の流れの中で、太陽の明るさは急激に変化するので、前述の中央重点測光の自動露出にしておくと便利です。
但し、雲から急に太陽が出てしまうと、目に悪影響を及ぼしますし、カメラの故障の原因にもなります。雲から出たら太陽から目をそらすとともに、すぐにカメラにフィルターがつけられるように準備しておく必要があります。
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2016年3月9日の部分日食
千葉県館山市で撮影
APS-C一眼レフ +
PV80E55鏡筒(440mm F5.5)
どちらもISO80 1/8000秒露出
常時雲が通過する天候で、雲の濃度も頻繁に変わる状況だったため、フィルターを外してカメラの感度を最低・シャッター速度を最速にし、雲の状況を見ながらシャッターを切ったもの。 |
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■ダイヤモンドリングの瞬間の捉え方
部分食が進み、フィルターを通した太陽が細く長くなってくると、いよいよダイヤモンドリングまで秒読み段階です。
ダイヤモンドリングの瞬間(2nd. contact = 第2接触)は、フィルターを外しておかなければなりません。正確な時刻とその場所での予報がわかっている場合は、タイマーなどで残り時間を計りながら、1分〜30秒前くらいにフィルターを外すようにすると良いでしょう。
時刻が不正確な場合は、フィルター上で太陽が細い線になったところでフィルターを取り外し、ダイヤモンドリングの瞬間を待ちます。上の部分食の写真の右がダイヤモンドリング4分前ですので、目安としてこれよりもう少し細くなったくらいで、フィルターを外すと良いでしょう。
但し、ダイヤモンドリングの瞬間まではまだ太陽から強い光が出ていますので、けして太陽を凝視しないように注意してください。
■皆既食中の絞りとシャッタースピード
皆既食中は、ダイヤモンドリングの瞬間から引き続き、フィルターははずしたままで撮影します。
望遠レンズを使用している場合、スポット測光や中央重点測光では、逆に月の部分の明るさだけを測ってしまうため、シャッタースピードが長くなってしまいます。皆既食中は通常モードに変更したほうが良い結果が得られるでしょう。また、シャッタースピードの違いにより、コロナの写り方も変わります。露出補正機能やブラケット撮影機能などを使って、シャッタースピードを変えて撮影してみてください。
ただ、撮影することに熱中しすぎて、太陽の周りの星たちの様子や、周囲の様子の変化を見逃してしまいがちです。是非まわりの景色や風や音にも気をつけてみてください。
さらに、皆既食が終わって再び太陽の光が月の向こうから現れるとき(3rd. contact = 第3接触)にも、ダイヤモンドリングが見られます。第3接触のあとは、みるみるうちに太陽の光があふれ、あたりが明るくなります。すぐにフィルターをつけて眼やカメラを保護してください。
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2006年3月29日 トルコで見られた皆既日食の第2接触(ダイヤモンドリング)と皆既中
APS-C一眼レフ
90mmF13.3マクストフカセグレン +
0.7xレデューサー(約800mm)
左上 : ISO200 1/4000秒
右上 : ISO200 1/8秒
左下 : ISO800 1/10秒
右下 : ISO800 1/350秒
皆既中はかなり暗くなるので、コロナを写し出そうとすると、露出時間が長くなります。望遠レンズでなくても、三脚に固定して撮影することをおすすめします。 |
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2009年7月22日 中国浙江省で見られた皆既日食の第2接触(ダイヤモンドリング)と皆既中
APS-C一眼レフ + 300mmF4レンズ
左上 : ISO800 1/180秒(中央重点AUTO)
右上 : ISO800 1/125秒(中央重点AUTO)
左下 : ISO800 1/15秒
右下 : ISO200 1/20秒
このときはうす雲がかかっていて、快晴のときと比べると、露出時間の設定が難しかったです。デジカメのモニタを確認しながら、いろいろな露出時間で撮っておいて、画像処理などで修正したほうが、良い結果になります。 |
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