宵空にジャックス彗星(C/2014 E2)
明け方にウカイムデン彗星(C/2013 V5)も接近中!

 ブラジル サンパウロ在住のアマチュア天文家クリストファー ジャックス(Crist?v?o Jacques Lage de Faria)氏は、ブラジル南部のミナスジェライス州オリベイラ近郊に自身が設置したSONEAR(Southern Observatory for Near Earth Asteroids Research)観測所の45cmF2.9反射望遠鏡とCCDカメラで2014年3月13日未明にケンタウルス座東部を撮影した画像から、14.7等の彗星のような天体が移動しているのを発見しました。

 この発見を受けて、チリ・オーストラリア・台湾の各国の天文台やアマチュア天文家等により確認観測され、確定符号C/2014 E2(2014年3月前半に発見された2番目の彗星)がつけられました。

 ジャックス彗星(C/2014 E2)は、7月2日に太陽に最も接近(0.664AU)し、8月28日の地球最接近(0.564AU)しました。

 一方、モロッコのマラケシュ大学ウカイムデン(Oukaimeden)観測所の50cmF3反射望遠鏡とCCDカメラで2013年11月12日にふたご座方向を撮影した画像に、19.4等の未確認の彗星が写っているのを、自動検出プログラムが発見しました。この彗星には、C/2013 V5(2013年11月前半に発見された5番目の彗星)の確定符号とがつけられました。

 ウカイムデン彗星(C/2013 V5)は、9月17日に地球に0.48AUまで接近したあと、9月28日に太陽に最も接近(0.625AU)します。現在、明けがたの東の空で7〜6等級まで明るくなっています


2014年8月6日未明のジャックス彗星(C/2014 E2)
左上 135mmF2.5 nano tracker使用 30秒露出
右上 300mmF4 nano tracker使用 30秒露出
左下 Sky-watcher Goto Dob10J直焦点 20秒露出
APS-Cデジカメ一眼レフ
筑波山風返峠にて
 当社企画スターライトキャラバンの合間に、筑波山に登って撮影してみました。彗星まで約0.91AUと少し遠いため、見た目は小さいですが、イオンの色がとても強く美しい彗星ですね。

 写真ではかなり拡散して写っているので、中心部の明るさは7等くらいですが、全体としてはもう少し明るく感じます。FH-842RF双眼鏡で簡単に見つかり、6等くらいに見えました。しかし、筑波山の空の明るさでは、肉眼では見ることができませんでした。

 これから天の川に沿って移動しながら、見かけ上たくさんの星雲星団と接近していくので、双眼鏡での観察がベストな組み合わせだと思います。太陽からの距離は離れていきますが、逆に地球との距離はどんとん短くなりますから、これから大きく、明るく見えてくるはずです。是非継続して観察してみてください!。

(2014年8月7日)


 彗星の高度が高くなり、月の影響も少なくなってきたので、彗星を見に行こうと山に登ったものの、西からの風で雲が出てしまい、結局戻ってきて地元の川原で見てきました。この時間はすでに月も昇っていて、さらに街明かりや薄雲もあり、肉眼では3等星がギリギリの空でしたが、それでも彗星はFH-842RF双眼鏡ではっきりと確認できました。左の写真では、左下に彗星があり、右上には二重星団が見えています。

 彗星は現在0.65AUの距離まで近づいていて、見かけの大きさは少しずつ大きくなっています。ただ、太陽からの距離は離れていっているため、引き続き6〜7等で見えています。天の川の中のたくさんの星雲星団と接近していくので、双眼鏡での観察がベストな組み合わせだと思います。

2014年8月19日未明のジャックス彗星(C/2014 E2)
135mmF2.5 nano tracker使用 10秒露出
APS-Cデジカメ一眼レフ
埼玉県日高市にて

(2014年8月19日)


2014年8月20日未明のジャックス彗星(C/2014 E2)
左上 135mmF2.5 nano tracker使用 20秒露出
右上 300mmF4 nano tracker使用 10秒露出
左下 Sky-watcher Goto Dob10J直焦点 8秒露出
APS-Cデジカメ一眼レフ
埼玉県刈場坂峠にて
 上の写真の翌日、山の上もよい天気になりそうだったので、再度少し場所を変えて出かけてきました。

 8月6日と比較すると、地球に近づいた分大きく広がっているのですが、太陽からは離れてしまったので、「輝いている」感じが薄れてしまっていますね。それでも、明るさは引き続き7等くらいで見えています。FH-842RF双眼鏡でも簡単に見つかりました。

 今週はカシオペヤ座の中の天の川に沿って移動していくので、双眼鏡での観察がベストな組み合わせだと思います。8月28日の地球再接近まで、とてもよい条件で見ることができます。是非継続して観察してみてください!。

(2014年8月21日)



2014年8月25日未明のジャックス彗星(C/2014 E2)
30mm F2 + APS-Cデジカメ一眼レフ
30秒露出  nano tracker使用
鹿児島県野々湯温泉にて
 当社企画スターライトキャラバンで鹿児島県に行った際に、観光で立ち寄った霧島山麓の温泉で撮影してみました。

 星空はとても暗くすばらしい場所で、FH-842RF双眼鏡で簡単に彗星が見つかりました。しかし、天候がいまひとつで絶えず雲が通過していたため、望遠レンズでの撮影をする前に雲に入ってしまい、標準レンズの写真しか撮れませんでした。それでも、写真の中央やや左下、カシオペヤのW字の下に、イオンの緑色で輝く彗星をはっきりと見ることができます。

(2014年8月27日)


■彗星のみつけかた

●9月5日〜9月11日の午後8時ごろの天頂付近の空
(ジャックス彗星(C/2014 E2))

 このファインディングチャートは東京での20時ごろの東の空から天頂付近を見上げた図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。これより早い時間や遅い時間に見るときには、チャートを見えている星と対照するように回転して使用してください。チャートには4等星までの星を載せています。

 今週のジャックス彗星(C/2014 E2)は、夏の大三角を目印に、その周囲の星の位置関係を見ながら探してみてください。今週はほぼ一晩中見ることができますが、最も空の高いところに来るのは、夜8時くらいになります。但し、月が明るいため、これから暗くなっていく彗星を見つけるのは少し難しいかもしれません。

●9月6日〜9月12日の午前4時ごろの東の空
(ウカイムデン彗星(C/2013 V5)・パンスターズ彗星(C/2012 K1))

 このファインディングチャートは東京での4時ごろの東の空の図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。これより早い時間や遅い時間に見るときには、チャートを見えている星と対照するように回転して使用してください。チャートには4等星までの星を載せています。

 今週末のウカイムデン彗星(C/2013 V5)は、冬の大三角を目印に、その周囲の星の位置関係を見ながら探してみてください。日に日に太陽に近づいていくため、明るさは明るくなりますが、日本からは高度が低くなり探しにくくなります。また、来週に入ると明るい月が明け方に残ります。

 また、パンスターズ彗星(C/2012 K1)も、すこし北(左)よりの空に7〜8等級くらいで見えています。こちらは地球から1.82AUとかなり離れてしまっていますが、双眼鏡でも十分に見つけられる明るさです。合わせて是非探してみてください。

 彗星を見つけるときは、下に掲載した当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、天体自動導入装置があると大変便利です。

 天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、右の座標を入力すると自動導入ができます。

●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。

●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラへの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押して、上の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。

●Sky-Watcher SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。

●NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。

ジャックス彗星(C/2014 E2)の座標
(日本時間20時)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
9/5 20h25m.9 +45゜55'
9/6 20h17m.1 +43゜35'
9/7 20h09m.3 +41゜20'
9/8 20h02m.6 +39゜10'
9/9 19h56m.6 +37゜05'
9/10 19h51m.4 +35゜06'
9/11 19h46m.7 +33゜13'

ウカイムデン彗星(C/2013 V5)の座標
(日本時間4時)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
9/6 07h40m.5 -07゜49'
9/7 07h49m.4 -09゜25'
9/8 07h59m.4 -11゜10'
9/9 08h10m.6 -13゜02'
9/10 08h23m.1 -15゜03'
9/11 08h37m.2 -17゜10'
9/12 08h52m.9 -19゜23'

パンスターズ彗星(C/2012 K1)の座標
(日本時間4時)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
9/6 09h00m.2 +04゜49'
9/7 08h59m.4 +04゜21'
9/8 08h58m.6 +03゜52'
9/9 08h57m.8 +03゜22'
9/10 08h56m.9 +02゜52'
9/11 08h56m.1 +02゜21'
9/12 08h55m.2 +01゜50'

ジャックス彗星(C/2014 E2)軌道要素

近日点通過 = 2014/07/02.51643(TT)
近日点距離 = 0.6639457 AU
近日点引数 = 344.04164
昇交点黄経 = 56.39047 (2000.0)
軌道傾斜角 = 156.39190
離心率 = 0.9991293

ウカイムデン彗星(C/2013 V5)軌道要素

近日点通過 = 2014/09/28.22491(TT)
近日点距離 = 0.6255056 AU
近日点引数 = 314.57439
昇交点黄経 = 278.61561 (2000.0)
軌道傾斜角 = 154.88456
離心率 = 0.9986915

パンスターズ彗星(C/2012 K1))軌道要素

近日点通過 = 2014/08/27.65587(TT)
近日点距離 = 1.0545309 AU
近日点引数 = 203.10777
昇交点黄経 = 317.73800 (2000.0)
軌道傾斜角 = 142.42832
離心率 = 1.0002082
(Ephemeris from M.P.E.C. 2014-P41  Culculated by G. V. Williams )

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカードでの決済または代金引換・銀行振込・郵便振替・コンビニ決済(NP後払い)・ショッピングクレジット(分割払い)がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

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