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2026年8月12日 イベリア半島・アイスランド皆既日食

 2026年8月12日(水)(日本時間13日(木)未明)、日食が起こります。今回の日食は、北欧・中欧からアフリカ北西部および北大西洋と北アメリカ大陸のカナダとアメリカ北東部およびアラスカで見ることができ、グリーンランド東岸からアイスランド西部およびイベリア半島を横断し地中海のイビサ島・マヨルカ島・ミノルカ島までの帯状の地域で皆既日食となります。

※この日食は、日本では13日の日の出前に起こるため、見ることができません。

2024年4月8日 
アメリカ アーカンソー州で見られた皆既日食







日食はどうしておこるの?
 
コラム 皆既日食と金環日食の違いは?
今回の日食について
 
コラム 日食や月食の予測はいつごろから?
どこで、どうやって見える?
 
皆既食帯付近の気象条件
 
皆既食帯付近の定期旅客便が離発着している空港
 コラム ツアーとセルフ どっちがいい?
日食を安全に楽しむには・・・
 
コラム 太陽を直接見ることの危険性
 
いちばんのおすすめは双眼鏡
 
コラム ススをつけたガラスではだめなの?
皆既日食撮影のTips
 
三脚を使いましょう!
 
連続撮影は自動追尾すると便利
 
レンズはどのくらいの焦点距離?
 
部分食中の絞りとシャッタースピード
 
雲がかかっている場合の注意
 
ダイヤモンドリングの瞬間の捉え方
 
皆既食中の絞りとシャッタースピード
ご質問・お問い合わせ

●日食はどうしておこるの?

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 日食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。

 有名なところでは、「日食」と「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があり、日本では2023年4月20日に部分日食がありました。

 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象で、日本では2023年10月29日に部分月食が見られました。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。

 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。

 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。
 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の手前を通過するときに日食が起こります。ですから、日食は必ず新月の日に起こります。
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日食が起こるしくみ
太陽との距離は実際はもっと遠く、太陽はもっと大きな天体です。
太陽と月の地球上からの見かけの大きさがほぼ同じになる偶然から、
皆既日食や金環日食がおこりますえすとにあ()
●コラム● 皆既日食と金環日食の違いは?
 上の項で皆既日食と金環日食について書きましたが、どちらも太陽と月が重なるという現象は同じなのに、なぜ「皆既」と「金環」の違いが出るのでしょう?。
 その答えは、地球から太陽や月までの距離に関係します。皆既日食や金環日食は、地球からの見かけ上、たまたま太陽と月がほぼ同じ大きさに見える偶然のために起こります。しかし実際には、地球の公転軌道と月の公転軌道が真円ではなくわずかな歪みがあるため、時期によって太陽も月も見かけの大きさが微妙に違うのです。
 地球の公転軌道は離心率約1.67%の楕円軌道で、最も太陽に近づく毎年1月2日前後と最も遠ざかる7月2日前後では、約3.34%大きさが変わります。一方月は、地球の周りを単純に楕円軌道で回っているだけではなく、太陽の重力の影響も受けるため、軌道が複雑に変化します。このため、最も近いときと最も遠いときでは約8.85%も大きさが変わります。
 そのため、太陽を月が隠すタイミングが、見かけ上太陽より月が大きくなれば皆既日食・太陽より月が小さくなれば金環日食になります。大まかには、地球が太陽から最も遠ざかる7月前後は皆既日食が起こりやすく、最も近づく1月前後は金環日食が起こりやすいですが、月の大きさの変動は太陽の大きさの変動量より大きいため、実際には時期に関わらず皆既日食も金環日食も起こります。
●今回の日食について

 今回の日食は、中央ヨーロッパ時間2026年8月12日(水)の夕方、太陽が西の空に傾いたころに起こります。日食は、地球のまわりをまわる月と太陽との位置関係によって起こるため、見る場所によって時刻も見え方もかわります。

 各地で日食が起こる時刻は下の表の通りです。食の最大のバックが赤になっている場所は、皆既食になる場所です。大まかに、北西に行くほど早く隠されはじめ、隠され終わるのも早くなります。隠される部分の大きさ(食分)は、皆既食帯に近いほど大きくなります。
2026年8月12日(水)の日食の主な現象の時刻(現地時間)
地名
欠けはじめ
食の最大
欠け終わり
都市 時差
時刻
時刻(食分)
時刻
アメリカ ミネアポリス -5 11:55 12:13(2.5%) 12:31
シカゴ -5 12:16 12:28(1.0%) 12:39
デトロイト -4 13:03 13:36(8.5%) 14:08
ワシントンDC -4 13:17 13:53(9.8%) 14:27
ニューヨーク -4 13:07 13:54(18.7%) 14:38
ボストン -4 13:01 13:55(26.6%) 14:46
カナダ トロント -4 12:55 13:40(17.0%) 14:23
モントリオール -4 12:50 13:45(29.3%) 14:38
アイスランド レイキャヴィク 0 16:47 17:48-49(100.2%) 18:47
イギリス ロンドン +1 18:17 19:13(92.5%) 20:06
スペイン マドリッド +2 19:36 ※20:32(99.9%) 21:16
ビルバオ +2 19:33 20:27-27(100.1%) ※21:20(2.8%)
ブルゴス +2 19:31 20:28-30(101.4%) ※21:19(1.7%)
レオン +2 19:32 20:28-30(101.3%) 21:22
サラゴサ +2 19:34 20:29-30(100.7%) ※21:07(27.6%)
バレンシア +2 19:38 20:32-33(100.4%) ※21:01(45.9%)
バルセロナ +2 19:35 20:29(99.7%) ※20:54(51.2%)
パルマ +2 19:38 20:31-32(101.5%) ※20:49(67.0%)
フランス パリ +2 19:22 20:17(93.1%) 21:09
ベルギー ブリュッセル +2 19:18 20:13(91.1%) 21:05
オランダ アムステルダム +2 19:16 20:10(90.1%) 21:03
イタリア ローマ +2 19:32 ※20:14(81.0%)
ミラノ +2 19:27 20:20(92.0%) ※20:35(70.7%)
スイス チューリッヒ +2 19:24 20:18(92.0%) ※20:42(51.5%)
オーストリア ウィーン +2 19:22 ※20:13(89.4%)
ドイツ フランクフルト +2 19:19 20:13(90.0%) ※20:49(29.8%)
デュッセルドルフ +2 19:18 20:12(90.0%) ※21:00(6.8%)
ミュンヘン +2 19:23 20:15(90.5%) ※20:32(66.2%)
ポーランド ワルシャワ +2 19:14 20:06(86.2%) ※20:06(86.1%)
デンマーク コペンハーゲン +2 19:10 20:03(86.4%) ※20:52(4.6%)
スウェーデン ストックホルム +2 19:03 19:56(84.4%) ※20:46(1.7%)
フィンランド ヘルシンキ +3 20:00 20:52(83.3%) ※21:20(38.9%)
※時差は世界時との差で、レイキャビク以外は夏時間を適用しています。
※マドリッドは、市内を限界線が通っているため、場所によって皆既になったりならなかったりします。
※食の最大に※のついている場所は、最大食になる前に日没となるため、日没の時刻とそのときの食分を記載しています。
※欠け終わりに※のついている場所は、欠けたまま日没となるため、日没の時刻とそのときの食分を記載しています。
●コラム● 日食や月食の予測はいつごろから?
 古代から、日食や月食などの現象は天変地異の前触れとして人々に恐れられていたり、また日食の後に太陽の輝きが戻ることで、復活を意味する現象として捉えられることもありました。例えば、古事記や日本書紀に現れる天照大神の岩戸隠れの伝説は、皆既日食によるものだと言う説があります。また、キリスト教の新約聖書のルカによる福音書23章44節にある太陽の光が暗くなったという記述も、日食に関係するものだと考えられています。このように、日食のような天文現象を宗教的な意味に結びつけ、その予測をすることで信仰を広めたという史実は世界各地にあります。
 このような日食や月食に周期的な法則があることは、実は紀元前6世紀ごろから知られていたようです。「サロス周期」と呼ばれるこの法則は、18年+10日ごとに日食や月食が起こるというものです。しかし、この法則を科学的に解明して正確に予測することができるようになったのは、地動説以後の18世紀になってからです。その後、サロス周期は地球と月の公転周期および軌道の傾きと歪みの関係により起こることが証明され、さらに地球の自転に関係する8時間分を追加すると、かなり高い精度で予測ができることがわかりました。

サロス周期についてより詳しく知りたい方は、Wikipedia 日本語 英語 (英語のほうがより詳細に記述があります)によくまとめられていますので、是非参照してください。

 現在は、天体観測技術の向上により、日食も月食も物理的な計算で予測することができ、将来100年程度までは、秒単位まで正確な予報を出すことができるようになりました。それでも、地震のような地球内部の変化による自転速度の変化や、地球や月の公転軌道の累積的な変化により、秒単位でのずれが発生します。

 今回の日食は、2008年8月1日に中国からヨーロッパで見られた日食の1サロス後の日食となります。
●どこで、どうやって見える?

 今回の日食は、ヨーロッパでは食分(太陽の前に月が入り込んでくる部分=欠ける部分の大きさ)が十分にあるため、その変化は肉眼でも確認できます。時間的に夕方太陽が西に傾いた時間帯なので、なるべく西の空が水平線近くまで開けている場所で見たほうが、食を長く見ることができます。

 皆既食帯は、グリーンランド東岸からアイスランド西部を通ってイベリア半島を横断し、地中海のマヨルカ島・ミノルカ島までの帯状の地域で、イベリア半島では、幅およそ200〜300kmの範囲で見られます。下の地図は、Google Mapに今回の日食の皆既食帯を書き込んだものです。赤い線が食の中心線で、北と南のそれぞれの黒い線が、皆既食の北限界線・南限界線になります。中心線上の黄色のマーカーをクリックすると、その場所での食の中心時刻と皆既食の継続時間・太陽の高さが表示されます。
※Google mapへの書き込みの都合上、陸上で1km以内・海上では5km以内の誤差が生じる可能性があります。実際には、限界線より内側の場所を選んでください。限界線に近づくほど、皆既食の時間は短くなりますから、なるべく中心線に近い場所を選ぶと良いでしょう

※日食当日に、スマートフォン等に内蔵されたGPS機能を使って、自分のいる位置が皆既食帯の中かどうかを確認できるページをこちらに用意しました。必要に応じてブックマークしてお使いください。あらかじめ、スマートフォン等の位置情報機能をONにしてから読み込んでください。

 日食を見るための場所選びで最も重要なことは、「晴れていること」です。苦労して海外まで行っても、日食が起こるときに厚い雲で覆われていたら、日食を見ることはできません。
 インターネット上には、Weather Spark などに、世界各地の降水量や湿度・晴天率・雲量・標高などのデータがあります。それらを参考に、観測地を選んでください。8月中旬のイベリア半島は気温も高く雲が少ないので、晴天率が高い傾向にあります。アイスランドは年間を通じて雲ができやすい地形ですが、8月は比較的雲が少なく、低気圧の接近などがなければ、当日の風向きなどによって場所を選べば晴れ間を見つけることができるはずです。

※日食当日の天候は、Windy などの気象予報サイトで数日前から確認して、なるべく雲量のない場所を選ぶと良いでしょう。、

 一方、皆既食の時間が長く続く場所のほうが、皆既日食をより確実に、ゆっくりと楽しむことができるという考え方もあります。この点では、なるべく中心線に近い場所を選ぶ必要があります。今回の日食で皆既食が計算上一番長く続くのは、アイスランド西方沖の中心線で、2分18秒(暫定値)続きます。陸地では、アイスランドのオンドヴァザネス岬付近で2分12秒(暫定値)続きます。スペインでは、大西洋に面したルアルカ灯台付近の中心線で1分53秒(暫定値)続きます。

 また、皆既食が起こるときの太陽の高さも見え方に影響します。総じて空の高いところにあるときのほうが、雲の影響を受けにくくなりますが、良く晴れた日であれば空の低いところでも見ることができるはずです。地中海のマヨルカ島・ミノルカ島・イビサ島では、皆既中の太陽は水平線近くまで低くなっていますので、海に映るコロナが見られるかもしれません。
皆既食帯付近の気象条件 (1980〜2016年の8月12日の平均値)
地名 気温(℃) 平均
雲量
雲量別時間割合
皆既
延長
最低 最高 0-3 3-7 7-10
スペイン マドリッド 18
32
19% 56% 32% 12%
ビルバオ 17 24 23% 47% 35% 18% 37
ブルゴス 13 27 25% 49% 33% 18% 107
レオン 12 26 26% 49% 33% 18% 48
サラゴサ 19 31 18% 60% 29% 11% 87
バレンシア 22 30 16% 67% 23% 10% 63
パルマ 20 30 14% 70% 20% 10% 99
アイスランド
レイキャビク 9 13 60% 28% 29% 43% 65
※平均雲量は、日中の全天の雲の量の平均値です。
※雲量別時間割合は、雲量を少ないほうから0-3・3-7・7-10の3段階に分け、それぞれの時間の長さの割合を示したものです。雲量が測定できない時間が含まれているため、3つの段階を合計しても100%にならない地点があります。
※皆既延長は、地点での暫定継続時間(秒)です。
※マドリッドの市内中心部は皆既帯の外側になります。
 また、皆既日食は、建物や山などに太陽がさえぎられず、皆既帯の中にさえいれば、街中でもどこでも見られます。皆既帯の中にある空港や駅であれば、日食の時間に間に合うように飛行機や列車・バス等に乗って行くだけでも、日食が見られることになります。マドリッドは、日本から直行便のある空港です。
 スペインでは、RENFE https://www.renfe.com/ が高速列車AVEをはじめとした長距離列車を運行しています。また、路線バスも多数走っており、ALSA https://www.alsa.com/ は、都市間長距離バスを多数運行しています。日本同様、長距離の夜行バスもありますから、うまく利用すれば日食当日に皆既食帯の中の街に行くこともできるでしょう。
 さらに、これらの空港や駅などを基点にして、近隣の観光地等に足を伸ばして見るのも良いでしょう。今回の日食では、世界遺産にも登録されているセゴビアの水道橋・ブルゴス大聖堂・レオン近郊のラス メドゥラス・サンティアゴ デ コンポステーラ旧市街やその巡礼路・ビルバオのビスカヤ橋なども皆既食帯の中にあります。
 アイスランドでは、現在も噴火を続けているクリンダヴィクも皆既食帯の中にあります。陸地で最も皆既延長時間が長いオンドヴァザネス岬付近では、たくさんのパフィンが営巣しているはずです。8月中旬はまだ昼の長い時期ですが、それでも夜は結構暗くなるので、現在活動が活発なオーロラを見ることもできるかもしれません。
皆既食帯付近の定期旅客便が離発着している空港
国・州
空港名(空港コード)
皆既食帯
日本との直行便
スペイン マドリッド バラハス空港(MAD)
バルセロナ エルプラット空港(BCN)
ビルバオ空港(BIO)
ア コルーニャ空港(LCG)
サンティアゴ デ コンポステーラ空港(SCQ)
サラゴサ空港(ZAZ)
レウス空港(REU)
バレンシア空港(VLC)
イビサ空港(IBZ)
パルマ デ マヨルカ空港(PMI)
アイスランド ケフラヴィク国際空港(KEF)
皆既食帯欄
△印は皆既食帯の外で、限界線に近い空港
○印は皆既食帯の中で、限界線に近い空港
◎印は皆既食帯の中心に近い空港
 もう一つ、皆既日食の楽しみ方の一つに、昼間は見ることができない星空が見えることも大きなポイントです。今回の日食では、皆既中の太陽の西側に木星と水星があり、西側にはレグルスがあり、それらが一直線に並んでいる様子を確認できます。
皆既食中の星空のシミュレーション
アイスランド レイキャヴィク
スペイン ブルゴス
※左は実際の明るさに合わせたシミュレーション・右はプリントアウトに適した白バックでの図です。
※それぞれの地点で皆既食中に空を見上げたときに見られる星を、3等星までプロットしてあります。それぞれの地点の中間の場所で見る場合は、図を少し回転させると実際に見ている空と対照できるようになります。
 また、周囲が開けた場所であれば、遠くから少しずつ月の影が接近してくる様子や、皆既中に周囲の地平線だけが明るくなっている様子も見られます。地上を照らす太陽の光が徐々に暗くなっていくことや、皆既日食独特の気温の変化や風により、野生動物の動きにも変化が見られることがあります。こうした変化を楽しむには、周囲が開けた高原や、山の中のほうが楽しめるかもしれません。
●コラム● ツアーとセルフ どっちがいい?
 地球全体で見ると、基本的に年に2回は日食が起こります。そのたびに、日本では旅行代理店各社がツアーを企画し、大勢の日食ファンが参加しています。日食が起こる場所は毎回違い、治安面などで国内とは勝手が違うことも多く、閉鎖的な場所で観測をしなければならないケースもあり、日食の手配に慣れた旅行代理店が主催するツアーは、とても人気が高いです。
 しかし、ツアーでは団体行動が基本となるため、観測場所や時間の制約があることや、日食前後の観光場所などの自由度も低くなります。もし観測場所の天候が悪くても、簡単に場所を移動することも難しくなります。

 今回の日食は、皆既食帯が通るアイスランドもスペインも、日本からはビザ無しで旅行でき、特にスペインでは公共交通機関も発達しているので、必ずしもツアーに頼らなければならない状況ではありません。天候が悪かった場合などに目的地を晴れている場所に変更できることや、周辺の観光地等を自由にまわることができることなど、ツアーではできない臨機応変な対応もできます。アイスランドでもスペインでも、レンタカーが一般化していますから、それを利用すればさらに柔軟性が増します。
 但し、ツアーと比較すると、何か問題が発生したときには自分で解決しなければなりませんから、言語の問題も含めて、ある程度の解決力は必要になります。

 一方で、ツアーであれば、このような観測場所の天候や交通手段・宿泊・言語の問題など、すべて代理店やツアーコンダクタがやってくれるわけですから、安心して参加することができるでしょう。ただ、目的が通常の観光とは違い、天候や視界など、専門的な経験も必要なため、日食ツアーの企画経験の有無の差はあるかもしれません。
 また、日本の旅行代理店ではなく、現地までの航空券を各自で確保して、現地発のツアーに参加するのもひとつの方法です。インターネット上のホテル予約サイトなどでは、人気の高い場所はすでに取りにくい状態になっていてますが、これらの宿泊施設は現地のツアー会社が確保しているところが多いですし、現地ならではの情報網でより快適な滞在ができるかもしれません。日本からのツアーより場所の選択肢も増えますから、柔軟性も高くなるでしょう。

 ちなみに、このページを書いている本人は、日食ツアーには参加したことがありませんが、過去5回海外に日食を見に行って、5回とも皆既食・金環食を見ることができました。日食に限らず、海外に行くときは基本的にセルフアレンジだからということもありますが、やはり時間に拘束されるツアーは敬遠しがちです。 
●日食を安全に楽しむには・・・

 部分日食では、太陽からの光の一部しか月に遮られていないため、肉眼でそのまま見ることは大変危険です。太陽は、光の速さで8分の距離にあるとはいえ、原子力発電所の数億倍の規模のエネルギーを発している巨大な核融合炉でもあります。太陽からは様々なエネルギーが私たちの地球に降り注いでいますが、その中には私たち人間に有害な放射線も含まれています。肉眼で直接太陽を見ることは、失明の危険もありますので絶対にしないでください。
●コラム● 太陽を直接見ることの危険性
 私たち人間は、通常は日中の太陽をわざわざ凝視することはありません。太陽を直視すれば「まぶしい」という本能的な回避行動が働いて、太陽から目をそむけるはずです。それは、人間の生まれもって持つ防御本能と考えられます。
 しかし、その本能を抑えて見続けた場合どうなるのでしょうか?。2008年にブラジルのロンドリナという街で行われた宗教的儀式で、真昼の太陽をフィルター等の保護具を用いずに肉眼で長時間直視した24人に、網膜の一部や黄班が変性したり浮腫が発生し、視力が低下する等の症状が現れたと報告されています。この48
の眼(24人×両眼)のうち43の眼に何らかの障害が起こり、約6ヶ月間の治療により40の眼はほぼ元通りの視力に戻りましたが、残る3つの眼は視野の中に暗点が残ってしまったとのことでした。(ブラジル 科学電子ライブラリー SciELO "Occurrence of solar retinopathy after religious ritual in Londrina, Parana, Brazil"より)

 このような症状は太陽網膜症(Solar retinopathy)と呼ばれ、20世紀はじめごろから症例が記録されています。実はこれまでも、日食の観測をして太陽網膜症になったという症例が世界中で多数報告されており、裸眼で太陽を見たときに許容される曝露時間は、空の高いところにあるときには0.8秒以内という計算もあります。これらの長年の臨床結果を元にヨーロッパでは、太陽からの人間の眼に有害な光や放射線を反射・吸収する機能を備えた、安全に太陽を見るためのフィルターの国際規格が作られています。この規格に適合するフィルターを適切な方法で使用すれば、基本的に安全に太陽を見ることができます。
 では、どのようにして日食を観察すれば良いのでしょうか?。ここでは、その方法をいくつか紹介していきましょう。

 日食を見るために最も安全な方法は、直接太陽を目で見るのではなく、太陽の光を何かに投射して、それを観察する方法です。太陽からのエネルギーを直接目で受けることが無いため、安全に日食を見ることができます。

 投射法を最も簡単に実現する方法として、ピンホール法と呼ばれるものがあります。太陽の光を遮断する紙などに小さな穴を開け、それを通ってきた光を別の白い紙や布などに投射する方法です。ピンホールの穴はなるべく真円になるようにあけたほうが、欠けている太陽の形が鮮明に映し出されます。また、投射する距離に応じて穴の大きさを調節する必要があります。
 また投射法は、人為的にピンホールを作らなくても、自然に同じ原理で日食中の太陽の形を見ることができることがあります。例えば茂った木の葉っぱの間から見える木漏れ日が、日食中は丸ではなく欠けた太陽の形になって現れます。同様のことが、障子にあいた小さな穴等でも起こります。

2001年6月21日にザンビアの首都ルサカで見られた皆既日食の際に
南アフリカのハーテビーストーク電波天文台観測チームの
ルイス バレンズ(Louis Barendse)氏が撮影した投射法による日食
ピンホールで文字を作って太陽の光を白い布に投射した様子
ピンホールの一つ一つが欠けた太陽の形になっている



2012年5月21日に見られた金環日食での投射法による日食
木漏れ日が環のようになっている。

 しかしピンホール法では、太陽の像がピンホールの直径分ぼけてしまうため、日食中の太陽の形を鮮明に映すことができません。また、やはり投射されたものではなく自分の目で確かめたいという気持ちが出るのも当然のことと思います。そこで、太陽からの人間の目に有害な光や放射線をカットして、肉眼で太陽の光を安全に見ることができるようにしたフィルターが用意されています。この方法なら、直接太陽から来る光を安全な光に変えて肉眼で見ることができるため、ピンホール法のようにぼけた像にならず、鮮明な太陽を見ることができます。当社では、目を直接フィルターで保護できる直視用日食めがね(税送料込\550)を販売しています。

■いちばんのおすすめは双眼鏡!
 さらに、皆既日食を最も楽しく見ることができるのは双眼鏡です。太陽に月がかかりはじめるころから最後まで、刻々と変わっていく太陽の様子をつぶさに見ることができます。特に皆既食中に太陽から噴き出すコロナや、その背後に見えている宇宙の星たちは、両目で見ることができる双眼鏡が最も美しく見えます。当社でのおすすめは、軽量コンパクトでスーツケースの片隅に入れて持っていける、FH-842K7C双眼鏡+太陽観測フィルターセット(\15,400)です。
 皆既日食を見る時、特に気を付けなければならないのは、皆既食の直前のタイミングです。フィルターをつけたまま皆既食に入ると、視野は真っ暗になってしまいます。皆既になる数秒から数十秒前に、瞬間的にフィルターをはずさなければなりません。ですから、フィルターの着脱が容易に、かつ確実にできるものを選ぶ必要があります。このセットに付属しているフィルターは、簡単な抜き差し式のフィルターですので、すぐに取り外しができます。
 また、この双眼鏡は星空観察にも最適です。空の暗いところを目的地とされている方は、夜の星空も十分にお楽しみいただけます

FH-842K7C双眼鏡
8倍42mmダハ双眼鏡と
太陽観測フィルターのセット
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皆既食を肉眼で見た時と双眼鏡で見た時の大きさのシミュレーション
 このほかにも、当社オンラインショッピングでは日食を安全に楽しんでいただける太陽観測用のフィルター等を用意しています。このページで紹介しているフィルターは全て日食の観測にそのままご使用いただけます。この機会に是非お求めください。

 このように、安全なフィルターなどを取りつけて太陽観測を行うことは、決してむずかしいことではありません。是非この機会に太陽観測にチャレンジしてみてはいかがでしょう。使用方法に十分注意して安全に日食観測をお楽しみください。
●コラム● ススをつけたガラスではだめなの?
 20年ほど前までは、日食を見る際に太陽の光を減光するために、ろうそく等でガラスに煤(すす)をつけて、太陽の光を減光して見ていました。また、写真用ネガフィルムの感光部分を使用したり、黒いプラスチックの下敷きを使っていたこともありました。

 しかし、これらの方法では、私たちが眼で見ることができる「可視光」を安全なレベルまで遮断することができても、太陽からの有害な光線や放射線は十分に遮断することができず眼に届いてしまうため、とても危険な方法であることがわかっています。太陽を直接見るためのフィルタの国際規格が作られたのも、このような危険な方法により太陽を見て、太陽網膜症になることを避けるためです。

 規格に適合したフィルターを使用して太陽を見れば、基本的には安全に日食を楽しむことができます。しかし、使用方法を誤ると太陽網膜症になる可能性もあります。このようなことにならないために、以下の点にも注意してください。

●フィルターを使っても、3分以上凝視しない
 太陽に限らず、光や熱などのエネルギーを発しているものを長時間凝視することは、眼への負担が多くなります。日食の変化を注意深く見ようとするがためにどうしてもじっと注視してしまいがちですが、太陽を見上げる時間はなるべく短時間で済ませ、小刻みに眼を休ませるようにしてください。

●フィルターをつけはずしするときには、必ず太陽から目をそむける
 太陽観察用のフィルターの濃度は、昼間の風景でもほとんど見えないほど濃いため、ついつけはずしするときに太陽の方を向いたまましてしまいがちです。必ず太陽のほうを向く前にフィルターをつけ、はずすときも太陽から目をそむけてからはずすようにしましょう。

●曇り空や低空でも危険
 普段、朝日が昇ってくるときや夕日が沈むときには、大気による減光によりまぶしくないため、直接太陽の光を見てしまいますが、この場合もやはり長時間見続けると太陽網膜症になる危険があります。あまり長く見つめないようにしましょう。また曇り空の時は、フィルターをかけてしまうと太陽の像が見えない場合がありますが、雲の流れで急に太陽が現れるときに大きな危険があります。できるだけフィルターをかけたままで見るようにしてください。

●カメラを通して見る場合
 ビデオカメラやデジカメなど、カメラのモニターで画像を確認する一眼レフタイプではないカメラの場合は、直接眼で太陽の光を受けることは無いため、眼への危険はありません。但し、カメラ本体を保護するために、フィルターは必ず取り付けてから太陽に向けてください。また、カメラを太陽に向けるときに、ついつい裸眼で太陽を見てしまうことがあります。カメラ本体の周辺に紙などで覆いをつけるなどして、直接太陽を見ないように工夫をすると良いでしょう。
 また、一眼レフタイプのカメラの場合は、直接太陽の光が眼に入ってくることになりますので、太陽に向ける前に必ずフィルターを取り付け、3分以上連続して見続けないように注意してください。
●日食撮影のTips

 日食はまさに千載一遇の天文現象。見に行ったからには、やはり写真やビデオに残したいと思うでしょう。上に掲載した太陽観測用のフィルターを使えば、簡単に写真やビデオに収めることができます。でも、せっかくならもっと美しく撮りたい!。ちょっとしたノウハウで、より美しく日食を撮ることができます。

■三脚を使いましょう!
 せっかくの日食ですから、大きくアップにして撮影したいでしょう。対象を大きく拡大して撮影するには、望遠レンズを使用することになります。しかし、望遠レンズは手ブレの影響が大きく現れますから、是非三脚を用意してください。
 日食の撮影でも、三脚はもちろんリモコンやセルフタイマーなど、夜の星空を撮影するときのノウハウが、日食の撮影でもそのまま生かせます。天体写真撮影の最も基本となる固定撮影については、こちらのページで紹介しています。海外旅行に持ち出せる、スーツケースの片隅に入れられるコンパクトな三脚もラインナップしています。是非一度ご参照ください。

■連続撮影は自動追尾にすると便利
 皆既日食の場合、月が太陽にかかりはじめてから再び太陽から完全に離れるまで、2時間30分〜3時間程度かかります。動いていく太陽をその都度追いかけてシャッターを切っても良いのですが、毎回雲台の位置を変えて撮影するのは、慣れないとなかなかうまくいきません。また、ビデオ撮影を行う場合、手動で連続して追いかけ続けるのは、時間的に難しくなります。
 そんなときに、観測地の緯度と方位がわかっていれば、簡易星野写真儀を使って自動追尾が可能です。カメラ三脚の雲台に簡易星野写真儀を取り付けて南の方角に向け、観測地の緯度にあわせて雲台を傾ければ、大まかな自動追尾ができるようになります。スマートフォン等に内蔵されたGPSや方位センサーを活用すると、より簡単にセットできます。
 さらに、昼間の天体を追尾できる天体自動導入機能を内蔵した電動経緯台を使用すれば、さらに正確に太陽を追尾することもできます。観測地の緯度・経度と日付・時刻をスマートフォンから入力し、カメラで太陽を捕らえて設定すれば、その後は自動で追尾します。

※設定ミスや電源の不具合などが原因で追尾ができない可能性もありますので、自動追尾を設定した後も、定期的に太陽がカメラの中にあるかどうか確認し、必要に応じて修正するようにしましょう。

■レンズはどのくらいの焦点距離?
 初めて日食を撮る場合、どのくらいの望遠レンズを使えばいいのかわからないですよね。これまでも書いてきたように、日食は太陽の前を月が通過して起こる現象で、太陽と月は地球からの見かけ上ほぼ同じ大きさ(約0.5度)に見えます。ですから、満月前後の日に、お手持ちのカメラやレンズで、月がどのくらいの大きさで写るかを確かめておくと良いでしょう。

 以下は、実際にいろいろな焦点距離のレンズで日食や月食を撮影したサンプル画像です。持って行くレンズや機材の選定の参考にご参照ください。

※レンズ固定式のカメラやビデオカメラ・スマートフォンに内蔵されているカメラ等の場合は、各製品の仕様に記載されている「35mm版換算」の焦点距離が、下記の「35mm」の欄の数値に近いものを参考にしてください。
◇標準レンズ
35mm : 50mm前後
APS-C : 30mm前後
マイクロフォーサーズ : 25mm前後

 一眼レフやミラーレスカメラに付属している標準レンズや、コンパクトデジカメの標準的なレンズで撮影した場合、このくらいの大きさに写ります。標準レンズでの画角は、長辺がおよそ40度〜50度です。

2011年12月10日の月食
APS-C一眼レフ + 30mmレンズ
日食でも大きさはほぼ同じです
◇広角レンズ
35mm : 30mm前後
APS-C : 20mm前後
マイクロフォーサーズ : 16mm前後

 標準レンズより画角が広くなるため、日食中の太陽の像は小さくなりますが、その分周囲の星空や地上の風景も構図に入れることができます。スマートフォンに内蔵されたカメラや、コンパクトデジカメなどは、広角レンズを使用しているものが多いです。
 時間と共に欠けていく太陽が日周運動により移動していく様子を撮影して合成する場合、標準レンズよりやや広めの広角レンズが適しています。

2017年8月21日 
アメリカ アイダホ州で見られた
皆既日食
APS-C一眼レフ + 魚眼ズーム10mm
◇望遠レンズ
35mm : 500mm〜800mm前後
APS-C : 300mm〜500mm前後
マイクロフォーサーズ : 250mm〜400mm前後

当社オンラインショッピング取扱商品
オリジナル屈折鏡筒 PV80E55 (\69,300)

 日食の写真撮影で、最もよく使われるのがこの焦点距離です。皆既食中に見られるコロナもちょうどよい大きさに収めることができます。

2009年7月22日 
中国浙江省で見られた皆既日食
APS-C一眼レフ + 300mmレンズ

2016年3月9日の部分日食
APS-C一眼レフ +
PV80E55鏡筒(440mm)
◇超望遠レンズや望遠鏡
35mm : 1000mm〜1500mm前後
APS-C : 600mm〜1000mm前後
マイクロフォーサーズ : 500mm〜800mm前後

当社オンラインショッピング取扱商品
オリジナルKV90M133マクストフカセグレン鏡筒
+ シンプルレデューサーM0.7x
(\37,180)
オリジナル屈折鏡筒 PV102E61 (\141,900)

 上の望遠レンズよりさらに拡大して撮影できます。太陽面の黒点も鮮明に写るようになり、時間とともに太陽を月が覆い隠していく様子を刻々と収めることができます。

2017年8月21日
アメリカで見られた皆既日食
APS-C一眼レフ
90mmF13.3マクストフカセグレン +
0.7xレデューサー(約800mm)
○○当社取り扱いレンズで撮影した月のサンプル画像○○

200mmカメラレンズ

スマートフォン用望遠レンズアダプタ
すべて同じ夜の1時間以内に同じAPS-C一眼レフカメラで望遠鏡(レンズ)だけを交換して撮影
スマートフォン用望遠レンズアダプタのみ、スマートフォン内蔵カメラで撮影。デジタルズームは使用していません。

どの写真も明るさの調整のみで、トリミングや複雑な画像処理は一切行っていません。それぞれの望遠鏡(レンズ)での大きさや解像度の比較としてお使いください。

オリジナル屈折鏡筒 PV80E55

オリジナル屈折鏡筒 PV102E61

オリジナルKV90M133
マクストフカセグレン鏡筒
+ シンプルレデューサーM0.7x


オリジナルKV90M133
マクストフカセグレン鏡筒
直焦点
■部分食中の絞りとシャッタースピード
 太陽に月の一部がかかっている部分食の間は、必ず太陽観測用のフィルターを取り付けて撮影する必要があります。
 太陽観測フィルターを通すと、地上の風景や空はほぼ完全に真っ黒な状態で、太陽に向けたときだけ、太陽の光が見える状態になります。このため、絞りやシャッタースピードを完全にオートのままにしてしまうと、周りの暗い部分と平均化されてしまい、少し露出オーバーになってしまいます。
 カメラ側で測光モードを変更できる場合は、スポット測光や中央重点測光に切り替えることで、中央の太陽の明るさだけに露出を合わせることができます。この方法なら、太陽を真ん中に入れてから撮影することで、ほぼ毎回適正露出にすることができます。
 但し、部分食が進んで太陽が細くなってくると、それでも露出オーバー気味になっていってしまいます。雲がかかったりしない限り、部分食中の露出時間は最後まで変える必要はありませんから、快晴のときは、マニュアル露出に切り替えて、部分食が始まったころの露出時間をキープしたままにしたほうが、良い結果が得られるでしょう。

※太陽の高度が概ね30度以下になる場合、マニュアル露出では大気の影響による減光を考慮する必要があるため、低くなるにつれて絞りやシャッタースピードを調節する必要があります。

2006年3月29日 トルコで見られた皆既日食の部分食
左は第2接触(ダイヤモンドリング)35分前
右は第2接触(ダイヤモンドリング)4分前
金属皮膜太陽フィルター使用
APS-C一眼レフ
90mmF13.3マクストフカセグレン +
0.7xレデューサー(約800mm)
どちらもISO200 1/500秒露出
■雲がかかっている場合の注意
 太陽に地面に影ができない程度の厚さの雲がかかると、欠けている太陽がそのまま肉眼で見えるときがあります。そのときにフィルターをつけていると、逆に太陽が見えません。このような場合、フィルターを外した状態で撮影することになります。雲の流れの中で、太陽の明るさは急激に変化するので、前述の中央重点測光の自動露出にしておくと便利です。
 但し、雲から急に太陽が出てしまうと、目に悪影響を及ぼしますし、カメラの故障の原因にもなります。雲から出たら太陽から目をそらすとともに、すぐにカメラにフィルターがつけられるように準備しておく必要があります。

2016年3月9日の部分日食
千葉県館山市で撮影
APS-C一眼レフ +
PV80E55鏡筒(440mm F5.5)
どちらもISO80 1/8000秒露出
常時雲が通過する天候で、雲の濃度も頻繁に変わる状況だったため、フィルターを外してカメラの感度を最低・シャッター速度を最速にし、雲の状況を見ながらシャッターを切ったもの。
■ダイヤモンドリングの瞬間の捉え方
 部分食が進み、フィルターを通した太陽が細く長くなってくると、いよいよダイヤモンドリングまで秒読み段階です。
 ダイヤモンドリングの瞬間(2nd. contact = 第2接触)は、フィルターを外しておかなければなりません。正確な時刻とその場所での予報がわかっている場合は、タイマーなどで残り時間を計りながら、1分〜30秒前くらいにフィルターを外すようにすると良いでしょう。
 時刻が不正確な場合は、フィルター上で太陽が細い線になったところでフィルターを取り外し、ダイヤモンドリングの瞬間を待ちます。上の部分食の写真の右がダイヤモンドリング4分前ですので、目安としてこれよりもう少し細くなったくらいで、フィルターを外すと良いでしょう。
 但し、ダイヤモンドリングの瞬間まではまだ太陽から強い光が出ていますので、けして太陽を凝視しないように注意してください。

■皆既食中の絞りとシャッタースピード
 皆既食中は、ダイヤモンドリングの瞬間から引き続き、フィルターははずしたままで撮影します。
 望遠レンズを使用している場合、スポット測光や中央重点測光では、逆に月の部分の明るさだけを測ってしまうため、シャッタースピードが長くなってしまいます。皆既食中は通常モードに変更したほうが良い結果が得られるでしょう。また、シャッタースピードの違いにより、コロナの写り方も変わります。露出補正機能やブラケット撮影機能などを使って、シャッタースピードを変えて撮影してみてください。

 ただ、撮影することに熱中しすぎて、太陽の周りの星たちの様子や、周囲の様子の変化を見逃してしまいがちです。是非まわりの景色や風や音にも気をつけてみてください。

 さらに、皆既食が終わって再び太陽の光が月の向こうから現れるとき(3rd. contact = 第3接触)にも、ダイヤモンドリングが見られます。第3接触のあとは、みるみるうちに太陽の光があふれ、あたりが明るくなります。すぐにフィルターをつけて眼やカメラを保護してください
2006年3月29日 トルコで見られた皆既日食の第2接触(ダイヤモンドリング)と皆既中

APS-C一眼レフ
9
0mmF13.3マクストフカセグレン +
0.7xレデューサー(約800mm)


左上 : ISO200 1/4000秒
右上 : ISO200 1/8秒
左下 : ISO800 1/10秒
右下 : ISO800 1/350秒

皆既中はかなり暗くなるので、コロナを写し出そうとすると、露出時間が長くなります。望遠レンズでなくても、三脚に固定して撮影することをおすすめします。
2009年7月22日 中国浙江省で見られた皆既日食の第2接触(ダイヤモンドリング)と皆既中

APS-C一眼レフ + 300mmF4レンズ

左上 : ISO800 1/180秒(中央重点AUTO)
右上 : ISO800 1/125秒(中央重点AUTO)
左下 : ISO800 1/15秒
右下 : ISO200 1/20秒

このときはうす雲がかかっていて、快晴のときと比べると、露出時間の設定が難しかったです。デジカメのモニタを確認しながら、いろいろな露出時間で撮っておいて、画像処理などで修正したほうが、良い結果になります。
商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。 

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