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●当日の様子

 今回の月食は、九州では近づいた低気圧で雲が多くなってしまい、見えなかったところが多かったようですが、その他の地域では雲が多かったものの、冬型の気圧配置も少し緩み、多くの方々にお楽しみいただけたようですね。
 事務所のある埼玉では昼までは良い天気だったのですが、午後からは西から偏西風に運ばれてきた高い雲が覆ってしまい、気象データとにらめっこしながら、どこが一番晴れるかを予測していました。でも、事務所周辺でも比較的雲は薄く、特に皆既食前後はかなり良い天気になりそう。遠出はしないで、家族と一緒に見ることにしました。
 予想通り、部分食の間は薄雲がかかることもありましたが、皆既食の間はほぼ雲がかかることなく、最初から最後まで見ることができました。事務所前は街灯も多く、けして空が暗いわけではないのですが、それでもプレセペ星団と皆既中の月を一緒に見ることができ、写真にも収めることができました。

 次の皆既月食は、今年7月28日の未明に見られます。このときも日本全国で見られますが、月が欠けたまま西の空に沈んで行ってしまうため、皆既食が見られない地域もあります。大接近直前の火星と並んで見られるため、とても美しい眺めになるはずです。次回も是非多くの方々に宇宙を見上げていただけれ幸いです。
このページで月食と同時にリアルタイム更新した画像
KV90M133直焦点 + ARK-1経緯台自動追尾
APS-C一眼レフデジカメ
当社事務所前(埼玉県日高市)にて撮影
すべて明るさの調整のみで、高度な画像処理は行っていません。

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M44(プレセペ)と
皆既中の月
135mmF2.5レンズ
APS-C一眼レフデジカメ
ARK-1経緯台自動追尾

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 2018年1月31日(水)〜2月1日(木)の夜、日本で見られるものとしては3年ぶりとなる皆既月食が見られます。
左写真:2014年10月8日の皆既月食の様子 クリックするとそのときの様子を見ることができます。
●月食はどうしておこるの?
 月食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。 有名なところでは、「日食」と「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があります。

 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。

 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。最近日本で見られた月食は2017年8月8日部分月食以来半年ぶり、皆既月食では2015年4月4日以来3年ぶりになります。

 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。

 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の反対側を通過するときに月食が起こります。ですから、月食は必ず満月の日に起こります。また、月食の中でも皆既月食と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。
●今回の月食について
 今回の月食の起こる時間は下の表の通りです。日本では、全国で月食の全過程が見られます。
2018年1月31日(水)〜2月1日(木)の月食の主な現象の時刻(日本時間)
半影食のはじまり 19時49分 ※下記参照
本影食のはじまり 20時48分 月が地球の影に入りはじめる
皆既食のはじまり 21時51分 月が地球の影にすべて入る
食の最大(132.1%) 22時29分 月が地球の影に最も入り込む
皆既食のおわり 23時08分 月の一部が地球の影から抜ける
本影食のおわり 00時11分 月全体が地球の影から抜ける
半影食のおわり 01時10分 ※下記参照
※半影食とは、太陽の直径の分地球の影がぼやける現象で、月の表面が地球の影の中心に向かって、少しずつ暗くなっているように見えます。半影食のはじめのうちと終わりの方では、あまり変化は見られませんが、本影食の前後30分くらいの間は、一部が薄暗くなっているのがわかります。
 下の画像は東京での月の欠け方のシミュレーション画像です。他の地方でも、時間と欠けかたはおなじように見られます。

2018年1月31日〜2月1日の東京での月食の様子
Java scriptの関係で上の図が見られない場合はこちら
中央の円は、月の位置に於ける地球の影を示しています。
月自体が西から東(右から左)に移動するのは、月の公転により起こるものです。
背景の星が西から東(右から左)へゆっくり移動して見えるのは、
地球の公転により影が移動することにより起こります。
背景の星の位置は東京での様子をシミュレーションしています。
日本国内でも、場所によって位置関係が少しずつ異なります。
●コラム● 日食や月食の予測はいつごろから?
 古代から、日食や月食などの現象は天変地異の前触れとして人々に恐れられていたり、また日食の後に太陽の輝きが戻ることで、復活を意味する現象として捉えられることもありました。例えば、古事記や日本書紀に現れる天照大神の岩戸隠れの伝説は、皆既日食によるものだと言う説があります。また、キリスト教の新約聖書のルカによる福音書23章44節にある太陽の光が暗くなったという記述も、日食に関係するものだと考えられています。このように、日食のような天文現象を宗教的な意味に結びつけ、その予測をすることで信仰を広めたという史実は世界各地にあります。

 このような日食や月食に周期的な法則があることは、実は紀元前6世紀ごろから知られていたようです。「サロス周期」と呼ばれるこの法則は、18年+10日ごとに日食や月食が起こるというものです。しかし、この法則を科学的に解明して正確に予測することができるようになったのは、地動説以後の18世紀になってからです。その後、サロス周期は地球と月の公転周期および軌道の傾きと歪みの関係により起こることが証明され、さらに地球の自転に関係する8時間分を追加すると、かなり高い精度で予測ができることがわかりました。

サロス周期についてより詳しく知りたい方は、Wikipedia 日本語 英語 (英語のほうがより詳細に記述があります)によくまとめられていますので、是非参照してください。 

 現在は、天体観測技術の向上により、日食も月食も物理的な計算で予測することができ、将来100年程度までは、秒単位まで正確な予報を出すことができるようになりました。それでも、先日の大地震のような地球内部の変化による自転速度の変化や、地球や月の公転軌道の累積的な変化により、秒単位でのずれが発生します。
●どこで、どうやって見える?
 月食は必ず満月の日に起こりますが、満月の日には、太陽が西の空に沈むのとほぼ同じころに東の空から月が昇ります。今回の月食では、月の一部が暗くなっている半影食の様子がわかるようになるのは、20:20ごろからになります。このとき、月はすでに南東の空に高く上っていますから、高いビルなどが多い街中でも見ることができるかもしれません。

 時間とともに月は地球の影に入り込んで行き、21:51には地球の影の中に月がすっぽりと入り込みます。しかし、この状態でも月は赤く鈍く光って見えます。これは、地球の周りを取り巻いている大気が太陽の光を屈折することにより、赤い光だけが月に届いている状態です。今回の月食のもうひとつの特徴として、この皆既の時間が1時間17分と比較的長いことが上げられます。

 皆既食の終わる23:08を過ぎると、月は地球の影の中から姿を現し、少しずつ満月へと戻っていきます。夜半を過ぎて日付が変わった24:40(00:40)ごろには、ほぼ元の満月に見えるでしょう。 

2018年1月31日〜2月1日の月食の
東京での南東の空 30分おきのシミュレーション
他の地方でも月食の時間や月と周りの星座の星の位置関係は同じですが、
場所によってはこの位置より少し低いところで見られます。

 月食は肉眼でも十分に楽しむことができる天文現象ですが、皆既中の月は暗いので、望遠鏡や双眼鏡を使うと、刻々と変わる皆既中の月の模様や色の変化を、じっくりと楽しむことができます。当社オンラインショッピングでは、月食の観測に最適な双眼鏡望遠鏡を揃えております。是非この機会にお買い求めいただき、宇宙で繰り広げられる天体ドラマを、ご自身の目でごゆっくりお楽しみください。

 また、部分食の間の月は満月の明るさがあるため、大口径の望遠鏡で見ると非常にまぶしく感じます。このため、減光するムーングラスを使うと、長時間継続して観測することができます。まだお持ちで無い方は、各望遠鏡のオプションとして用意されていますので、この機会に是非お求めください。
※ムーングラスは、食が進んでまぶしくなくなったら取り外してください。皆既中はムーングラスが無いほうが良く見えます。
●月のすぐとなりのプレセペ星団にも注目!

8〜10倍クラス(実視界約7度)の双眼鏡で見た
皆既食中の月とプレセペのシミュレーション画像
 今回の月食では、月のすぐ北西(右上)に、かに座にあるプレセペ星団M44(約580光年)が見えています。かに座は、最も明るい星でも3等星のため星の連なりが探しにくく、空の明るい街中でプレセペを見つけるのは難しいのですが、月が近くにあれば簡単に見つけることができます。

 特に今回の月食では、双眼鏡でひとつの視野に入り、皆既食中は月も暗くなりますから、たいへん良い眺めになります。是非この機会に探してみてください。
双眼鏡や望遠鏡を使って見たときの月食の見え方のシミュレーション

FZ-1050RFL等8〜10倍クラスの
双眼鏡で見た場合

セレストロン OMNI XLT AZ80等、
50倍くらいの望遠鏡で見た場合

●観測したら、報告しよう!

 国立天文台皆既月食を観察しよう 2018HomePageでは、月食を見て観測報告をするキャンペーンを行っています。実際に現象を観測して、その様子を報告しましょう!。

●月食の写真撮影
 皆既月食はとても感動的な天文現象ですから、その感動を写真やビデオに残したいと思うでしょう。月食の写真は、特殊なフィルターなどを使わなくても、普通のデジカメで簡単に写真やビデオに収めることができます。でも、せっかくならもっと美しく撮りたい!。ちょっとしたノウハウで、より美しく月食を撮ることができます。

■三脚を使いましょう!
 せっかくの月食ですから、大きくアップにして撮影したいでしょう。対象を大きく拡大して撮影するには、望遠レンズを使用することになります。しかし、望遠レンズは手ブレの影響が大きく現れますし、皆既食中の月は、地球の周りの大気により屈折した赤い光だけになるので、シャッタースピードが遅くなり、手持ちの撮影ではブレてします。是非三脚を用意してください。
 月食の撮影でも、三脚はもちろんリモコンやセルフタイマーなど、星空を撮影するときのノウハウがそのまま生かせます。天体写真撮影の最も基本となる固定撮影については、こちらのページで紹介しています。是非一度ご参照ください。

■連続撮影は自動追尾にすると便利
 皆既月食の場合、月が地球の影にかかりはじめてから皆既を経て再び元の満月に戻るまで、3〜4時間程度かかります。地球の自転により動いていく月をその都度追いかけてシャッターを切っても良いのですが、毎回雲台の位置を変えて撮影するのは、慣れないとなかなかうまくいきません。また、ビデオ撮影を行う場合、手動で連続して追いかけ続けるのは、時間的に難しくなります。
 そんなときに、天体自動導入望遠鏡を使えば、自動追尾が可能です。天体自動導入望遠鏡は、おすすめランナップ天体望遠鏡に取り揃えています。また、簡易星野写真儀天体自動導入機能を内蔵した電動経緯台でも自動追尾できます。

※設定ミスや電源の不具合などが原因で追尾ができない可能性もあるので、自動追尾を設定した後も、定期的に月がカメラの中にあるかどうか確認し、必要に応じて修正するようにしましょう。

■レンズはどのくらいの焦点距離?
 初めて月を撮る場合、どのくらいの望遠レンズを使えばいいのかわからないですよね。以下は、実際にいろいろな焦点距離のレンズで月食を撮影したサンプル画像です。使用するレンズや機材の選定の参考にご参照ください。

※レンズ固定式のカメラやビデオカメラ・スマートフォンに内蔵されているカメラ等の場合は、各製品の仕様に記載されている「35mm版換算」の焦点距離が、下記の「35mm」の欄の数値に近いものを参考にしてください。
◇標準レンズ
35mm : 50mm前後
APS-C : 30mm前後
フォーサーズ : 25mm前後

 一眼レフやミラーレスカメラに付属している標準レンズや、コンパクトデジカメの標準的なレンズで撮影した場合、このくらいの大きさに写ります。皆既中なら、月とその背景にある星と一緒に写しだすことができます。ただ、拡大率は低いので、かなり遠くから見ている感覚になるでしょう。
 今回の月食は、日本では空の高いところで起こりますから、ビルなどの背の高い建物などを、下から仰ぐようにして撮影すれば、月食中の月と地上の風景を一緒に捉えることができるでしょう。

2011年12月10日の月食
APS-C一眼レフ + 30mmレンズ
◇広角レンズ
35mm : 30mm前後
APS-C : 20mm前後
フォーサーズ : 16mm前後

当社オンラインショッピング取扱商品
トキナー ATX107 魚眼ズームレンズ

 標準レンズより画角が広くなるため、月の像は小さくなりますが、その分周囲の星空や地上の風景も構図に入れることができます。スマートフォンに内蔵されたカメラや、コンパクトデジカメなどは、広角レンズを使用しているものが多いです。
 時間と共に欠けていく月が日周運動により移動していく様子を撮影して合成する場合、標準レンズよりやや広めの広角レンズが適しています。

2008年8月28日の皆既月食
APS-C一眼レフ + 16mm魚眼レンズ
◇中望遠レンズ
35mm : 85mm〜200mm前後
APS-C : 50mm〜135mm前後
フォーサーズ : 40mm〜100mm前後

 今回の月食では、月のすぐ近くにあるプレセペ星団にも注目が集まります。プレセペと月が同じ構図に入るのは、35mm換算で135mm〜200mm程度がちょうど良い焦点距離になるでしょう。

かに座散開星団M44(プレセペ)と木星
APS-C一眼レフ + 135mmレンズ
この写真の木星の位置は、今回の月食での
月の位置とほぼ同じです
◇望遠レンズや望遠鏡
35mm : 500mm〜1500mm前後
APS-C : 300mm〜1000mm前後
フォーサーズ : 250mm〜800mm前後

当社オンラインショッピング取扱商品
ケンコー 400mmF8 Mirror (\16,848)
ケンコー MILTOL ED 400mmF6.7 (\51,840)
オリジナルKV90M133マクストフカセグレン鏡筒 (\29,160)
オリジナル屈折鏡筒 PV102E61 (\139,320)
他、おすすめランナップ天体望遠鏡各機種

 月食の写真撮影で、最もよく使われるのがこの焦点距離です。刻々と変わる皆既中の月の模様や色の変化を、じっくりと楽しむことができます。

※35mmで2000mm・APS-Cで1350mm・フォーサーズで1000mmを越えると、月がイメージセンサーからはみ出してしまいます。特に大口径の望遠鏡を使われる場合は注意してください。

2014年10月8日の皆既月食
セレストロン Nexstar 6SE-J
+ F6.3レデューサー
APS-C一眼レフ使用
○○焦点距離別の月のサンプル画像○○
すべて同じ夜の1時間以内に同じAPS-C一眼レフカメラで望遠鏡(レンズ)だけを交換して撮影

どの写真も明るさの調整のみで、トリミングや複雑な画像処理は一切行っていません。それぞれの望遠鏡(レンズ)での大きさや解像度の比較としてお使いください。

200mmカメラレンズ
35mm版換算約300mm

400mmレンズ
35mm版換算約600mm
ケンコー MILTOL ED 400mmF6.7

612mm望遠鏡
35mm版換算約900mm
オリジナル屈折鏡筒 PV102E61

800mm望遠鏡
35mm版換算約1200mm
オリジナルKV90M133
マクストフカセグレン鏡筒
+ シンプルレデューサーM0.7x


1200mm望遠鏡
35mm版換算約1800mm
オリジナルKV90M133
マクストフカセグレン鏡筒
直焦点
商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。 

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