彗星(すいせい)は、地球や他の惑星たちと同じ、太陽系天体のひとつです。太陽系の周囲にあると考えられている「カイパーベルト」や「オールトの雲」から、太陽の重力に導かれて太陽に接近すると考えられています。太陽に近づいた後は、再び宇宙のかなたに去っていってしまうため、ほとんどの彗星は1回しか私たちの前に姿を現しません。
彗星の構造は、都会で雪が降ったときに作る「汚れた雪だるま」とよく似ていて、氷(水)の中にたくさんの粒子(ダスト)が含まれた状態になっていると考えられています。これが太陽に近づいて、太陽からの放射で表面が溶け出すことにより、その成分が太陽と反対方向に飛ばされて、私たちが見える「尾」として見えるわけです。
◆彗星について詳しくは、こちら(スタークリック2000年夏号)もご参照ください。20年前の記事なので、内容に多少古い記述も含まれますが、より詳しく彗星について記載しています。
もうひとつ、彗星とよく間違われるのが、流れ星(流星)です。彗星は地球から遠く放れたところを動いていくので、見かけ上ほとんど動いているようには見えません。それに対して流星は、私たちが見上げている空を突然ひゅっと流れます。つまり、とても近いところで起こっている現象です。
流星は、太陽の周りをまわっている地球に、たまたまその方向にあった宇宙空間の小さな粒子(ダスト)が重力に導かれて地球上に落下してくる現象で、地上から50〜200kmくらいの高さで地球の大気と反応を起こすことで光っています。宇宙の規模から考えると、ほぼ私たちの地球上で起こっていると考えても良い現象です。
ただ、流星と彗星がまったく無関係であるかというと、そうでもありません。「流星群」と呼ばれるものは、彗星の放出した粒子(ダスト)の中に、偶然地球が入り込んでいくことにより起こります。このようにして、立体的に宇宙を考えてみると、宇宙がとても面白いものに感じられてくるのではないかと思います。