●当日の様子 今回の月食は、日本列島がオホーツク海と太平洋の低気圧の間の比較的雲が少ないところに入ったこともあり、全国各地から「見えた!」という声をたくさんいただきました。私自身も事務所近隣で地上の景色と合わせて撮影するつもりで準備していたのですが、太平洋上の低気圧の外側の雲が関東にかかりそうだったため、少しでも雲が少ないところに行こうと、標高が高く八ヶ岳越しに月食が見られる長野県富士見町にある標高1900mの入笠山に行ってきました。日没ごろには、赤く染まる八ヶ岳の山並みや富士山も観ることができました。 八ヶ岳から昇る欠けた月を狙っていたのですが、ちょうど雲が通過してしまい、残念ながら見ることができませんでした。しかし空が暗くなってからは時々雲が通過することはありながらも、赤く染まった月が八ヶ岳の上にぽっかりと浮かび、満天の星空の下で月食を楽しむことができました。 次に日本で見られる月食は、2022年11月8日(火)の宵空になります。このときは皆既月食になり、今回より少し遅い時間からはじまるため、九州沖縄地方の一部では半影食中に月が昇りますが、それ以外の地域では全国で半影食も含めて最初から最後まで見ることができます。次回も是非多くの方々に宇宙を見上げていただけれ幸いです。 |
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PV80E55鏡筒直焦点 + マイクロフォーサーズミラーレスデジカメにて撮影 | ||
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20:10 |
カメラレンズ + APS-Cデジカメによる画像 | |
17:44 18〜55mmズームレンズ 18mmF3.5 8秒露出 |
17:58 18〜55mmズームレンズ 47mmF5 6秒露出 |
18:03 18〜55mmズームレンズ 30mmF4 5秒露出 |
30mmF1.4レンズでのタイムラプスムービー (MPEG4 10MB) |
2021年11月19日(金)の夜、半年ぶりとなる月食が見られます。 | |
左写真:2018年1月31日の皆既月食の様子 クリックするとそのときの様子を見ることができます。 |
●月食はどうしておこるの? |
月食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。 有名なところでは、「日食」と「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があります。最近日本で見られた日食は2020年6月21日に、全国で部分日食がありました。 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。最近日本で見られた月食は今年5月26日の皆既月食がありました。 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の反対側を通過するときに月食が起こります。ですから、月食は必ず満月の日に起こります。また、月食の中でも「皆既月食」と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。 |
●今回の月食について |
今回の月食が起こる時刻は下の表の通りです。日本では、月がすでに欠けた状態で東の水平線から上り、月食の最後まで見ることができます。 世界的には、北アメリカ大陸とハワイでは、ほぼすべての地域で全過程を見ることができ、南アメリカ大陸およびカリブ海諸国およびヨーロッパ(北部・西部)とアフリカ西部では、月食の途中で月が沈みます。一方、日本を含む東アジアとオセアニアでは、月が欠けた状態で上り、インド半島以西とアフリカ(東部・南部)では、今回の月食を見ることはできません。 |
2021年11月19日(金)の月食の主な現象の時刻(日本時間) | |||||||||
時刻 | 各地での高度 赤字は月出の時刻 | ||||||||
札幌 | 仙台 | 東京 | 大阪 | 福岡 | 鹿児島 | 那覇 | |||
半影食の はじまり |
15:00 | 16:03 | 16:17 | ---- | ---- | ---- | ---- | ---- | ※下記参照 |
本影食の はじまり |
16:18 | 2.0 | 0.0 | 16:27 | 16:47 | 17:10 | 17:13 | 17:35 | 月が地球の影に入りはじめる |
食の最大 (97.8%) |
18:02 | 19.7 | 18.7 | 17.3 | 13.7 | 9.4 | 8.9 | 5.0 | 月が地球の影に最も入り込む |
本影食の おわり |
19:47 | 38.5 | 38.8 | 38.1 | 34.6 | 30.3 | 30.3 | 27.1 | 月全体が地球の影から抜ける |
半影食の おわり |
21:05 | 51.8 | 53.5 | 53.5 | 50.3 | 46.3 | 46.6 | 44.2 | ※下記参照 |
※半影食とは、太陽の直径の分地球の影がぼやける現象で、月の表面が地球の影の中心に向かって、少しずつ暗くなっているように見えます。半影食のはじめのうちと終わりの方では、あまり変化は見られませんが、本影食の前後30分くらいの間は、一部が薄暗くなっているのがわかります。 |
下の画像は東京での月の欠け方のシミュレーション画像です。他の地方でも、時間と欠けかたはおなじように見られます。但し、各地域とも月出前は地平線の下になるため、見ることができません。 |
2021年11月19日の月食の様子 Java scriptの関係で上の図が見られない場合はこちら 中央の円は、月の位置に於ける地球の影を示しています。 月自体が左下に移動するのは、月の公転により起こるものです。 背景の星が西から東へゆっくり移動して見えるのは、 地球の公転により影が移動することにより起こります。 背景の星の位置は東京での様子をシミュレーションしていますが 実際には月出前は地平線の下になるので見えません。 |
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●どこで、どうやって見える? | ||
月食は必ず満月の日に起こりますが、満月の日には、太陽が西の空に沈むのとほぼおなじころに東の空から月が昇ります。今回の月食は、日本では月がすでにかけ始めた状態で東の水平線からあがってきますから、 なるべく東の空が水平線近くまで開けた場所で観察するとよいでしょう。 今回の月食の大きな特徴として、地球の影ぎりぎりのところを月が通過していくことがあげられます。このため、本影食が始まってから食の最大まで1時間40分かかります。このため、すでに月の出の時には月食が始まっていても、食の最大になる18:02には、高度10〜20度まで昇っています。また、食の最大のころには、地球の影の部分がうすぼんやりと赤く見えるようになるはずです。この状態は、食の最大の前後30分程度見られるはずです。 もう一点、前回今年5月26日の皆既月食ではスーパームーン(今年最も地球に近い満月)で起こりましたが、今回は反対に今年2番目に遠い満月で起こるので、月の見かけの大きさが小さく見えます。前回の月食で写真撮影をされた方は、是非今回も同じレンズや望遠鏡で撮影して、その大きさの違いを確かめてみてください。 それから、月食中の月の近くにはブレアデス星団(すばる)が見えています。プレアデス星団は肉眼でも見ることができますし、双眼鏡で見るとたくさんの星の集まりであることがわかります。月食中の月といっしょに写真に収めると、美しい写真になると思います。 |
月食は肉眼でも十分に楽しむことができる天文現象ですが、食が進むと月は暗くなってくるので、望遠鏡や双眼鏡を使うと、刻々と変わる月の模様や色の変化を、じっくりと楽しむことができます。当社オンラインショッピングでは、月食の観測に最適な双眼鏡や望遠鏡を揃えております。是非この機会にお買い求めいただき、宇宙で繰り広げられる天体ドラマを、ご自身の目でごゆっくりお楽しみください。 また、満月は明るいため、大口径の望遠鏡で見ると非常にまぶしく感じます。このため、減光するムーングラスを使うと、長時間継続して観測することができます。まだお持ちで無い方は、各望遠鏡のオプションとして用意されていますので、この機会に是非お求めください。 ※ムーングラスは、食が進んでまぶしくなくなったら取り外してください。 |
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●月食の写真撮影 |
月食はとても感動的な天文現象ですから、その感動を写真やビデオに残したいと思うでしょう。月食の写真は、特殊なフィルターなどを使わなくても、普通のデジカメで簡単に写真やビデオに収めることができます。でも、せっかくならもっと美しく撮りたい!。ちょっとしたノウハウで、より美しく月食を撮ることができます。 ■三脚を使いましょう! せっかくの月食ですから、大きくアップにして撮影したいでしょう。対象を大きく拡大して撮影するには、望遠レンズを使用することになります。しかし、望遠レンズは手ブレの影響が大きく現れますし、食の進んだ月は暗くなるので、シャッタースピードが遅くなり、手持ちの撮影ではブレてします。是非三脚を用意してください。 月食の撮影でも、三脚はもちろんリモコンやセルフタイマーなど、星空を撮影するときのノウハウがそのまま生かせます。天体写真撮影の最も基本となる固定撮影については、こちらのページで紹介しています。是非一度ご参照ください。 ■連続撮影は自動追尾にすると便利 今回の月食は、月の出から再び元の満月に戻るまで、3〜4時間程度かかります。地球の自転により動いていく月をその都度追いかけてシャッターを切っても良いのですが、毎回雲台の位置を変えて撮影するのは、慣れないとなかなかうまくいきません。また、ビデオ撮影を行う場合、手動で連続して追いかけ続けるのは、時間的に難しくなります。 そんなときに、天体自動導入望遠鏡を使えば、自動追尾が可能です。天体自動導入望遠鏡は、おすすめランナップ天体望遠鏡に取り揃えています。また、簡易星野写真儀や天体自動導入機能を内蔵した電動経緯台でも自動追尾できます。 ※設定ミスや電源の不具合などが原因で追尾ができない可能性もあるので、自動追尾を設定した後も、定期的に月がカメラの中にあるかどうか確認し、必要に応じて修正するようにしましょう。 ■レンズはどのくらいの焦点距離? 初めて月を撮る場合、どのくらいの望遠レンズを使えばいいのかわからないですよね。以下は、実際にいろいろな焦点距離のレンズで月食を撮影したサンプル画像です。使用するレンズや機材の選定の参考にご参照ください。 ※レンズ固定式のカメラやビデオカメラ・スマートフォンに内蔵されているカメラ等の場合は、各製品の仕様に記載されている「35mm版換算」の焦点距離が、下記の「35mm」の欄の数値に近いものを参考にしてください。 |
◇標準レンズ |
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35mm : 50mm前後 APS-C : 30mm前後 フォーサーズ : 25mm前後 一眼レフやミラーレスカメラに付属している標準レンズや、コンパクトデジカメの標準的なレンズで撮影した場合、このくらいの大きさに写ります。最大食の前後なら、月とその背景にある星と一緒に写しだすことができます。ただ、拡大率は低いので、かなり遠くから見ている感覚になるでしょう。 今回の月食は、日本では東の空の低いところで起こりますから、月食中の月と地上の風景を一緒に捉えると、臨場感のある写真になると思います。 |
2011年12月10日の皆既月食 APS-C一眼レフ + 30mmレンズ |
◇広角レンズ |
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35mm : 30mm前後 APS-C : 20mm前後 フォーサーズ : 16mm前後 当社オンラインショッピング取扱商品 トキナー ATX107 魚眼ズームレンズ 標準レンズより画角が広くなるため、月の像は小さくなりますが、その分周囲の星空や地上の風景も構図に入れることができます。スマートフォンに内蔵されたカメラや、コンパクトデジカメなどは、広角レンズを使用しているものが多いです。 時間と共に欠けていく月が日周運動により移動していく様子を撮影して合成する場合、標準レンズよりやや広めの広角レンズが適しています。 |
2008年8月28日の皆既月食 APS-C一眼レフ + 16mm魚眼レンズ |
◇中望遠レンズ |
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35mm : 85mm〜200mm前後 APS-C : 50mm〜135mm前後 フォーサーズ : 40mm〜100mm前後 今回の月食は、日本では空の低いところで起こりますから、比較的焦点距離が長いレンズでも、月と地上の風景を一緒に収めることができるでしょう。月食中に近くにみえるすばる(プレアデス星団)を同じ構図に収める場合、このクラスの焦点距離のレンズがちょうどよいでしょう。 |
2018年1月31日の月食 M44(プレセペ)と皆既中の月 APS-C一眼レフ +135mmF2.5レンズ ARK-1経緯台自動追尾 |
◇望遠レンズや望遠鏡 | |
35mm : 500mm〜1500mm前後 APS-C : 300mm〜1000mm前後 フォーサーズ : 250mm〜800mm前後 当社オンラインショッピング取扱商品 オリジナルKV90M133マクストフカセグレン鏡筒 (\29,160) オリジナル屈折鏡筒 PV102E61 (\139,320) 他、おすすめランナップ天体望遠鏡各機種 月食の写真撮影で、最もよく使われるのがこの焦点距離です。刻々と変わる月の模様や色の変化を、じっくりと楽しむことができます。 ※35mmで2000mm・APS-Cで1350mm・フォーサーズで1000mmを越えると、月がイメージセンサーからはみ出してしまいます。特に大口径の望遠鏡を使われる場合は注意してください。 |
2014年10月8日の皆既月食 セレストロン Nexstar 6SE-J + F6.3レデューサー APS-C一眼レフ使用 |
○○焦点距離別の月のサンプル画像○○ | ||
すべて同じ夜の1時間以内に同じAPS-C一眼レフカメラで望遠鏡(レンズ)だけを交換して撮影 どの写真も明るさの調整のみで、トリミングや複雑な画像処理は一切行っていません。それぞれの望遠鏡(レンズ)での大きさや解像度の比較としてお使いください。 |
200mmカメラレンズ 35mm版換算約300mm |
400mmレンズ 35mm版換算約600mm オリジナル屈折鏡筒 PV80E55 |
612mm望遠鏡 35mm版換算約900mm オリジナル屈折鏡筒 PV102E61 |
800mm望遠鏡 35mm版換算約1200mm オリジナルKV90M133 マクストフカセグレン鏡筒 + シンプルレデューサーM0.7x |
1200mm望遠鏡 35mm版換算約1800mm オリジナルKV90M133 マクストフカセグレン鏡筒 直焦点 |
●商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。 |
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