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当日、当社の事務所のある埼玉では、台風5号の通過により残念ながら雨となってしまい、今回の月食は見ることができませんでした。台風一過の晴天となった西日本からは、よく見えたとの報告もいただいています。
 次回、日本で見られる月食は、
2018年1月31日(水)の宵空で見られる皆既月食になります。日本全国で、空の高いところで見られる大変良い条件の月食です。そのときには、また多くの方に夜空を見上げていただければと思います。

 夏休み真っ只中の、8月8日(火)(7日(月の深夜)の西の空で、2年ぶりとなる月食が見られます。
左写真:2014年10月8日の皆既月食の様子 クリックするとそのときの様子を見ることができます。
●月食はどうしておこるの?

 月食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。 有名なところでは、「日食」と「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があり、2012年5月21日には、本州で見られるものとしては129年ぶりとなる金環日食がありました。

 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。

 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。
 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。

 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の反対側を通過するときに月食が起こります。ですから、月食は必ず満月の日に起こります。また、月食の中でも皆既月食と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。
●今回の月食について

 今回の月食は、地球の影を月がかすめいてく現象で、影の中に月のすべてが隠されない部分月食になります。月食が起こる時間は下の表の通りです。日本では、ほとんどの地域で本影食が終了するまで見られます。

2017年8月8日(火)未明(7日(月)深夜)の月食の主な現象の時刻(日本時間)

半影食のはじまり

00時48分

※下記参照 ●月没の時刻
札幌 04時40分
東京 05時03分
大阪 05時23分
福岡 05時46分
那覇 06時08分

本影食のはじまり

02時22分

月が地球の影に入りはじめる

食の最大(25%)

03時21分

月が地球の影に最も入り込む

本影食のおわり

04時19分

月全体が地球の影から抜ける

半影食のおわり

05時53分

※下記参照
※半影食とは、太陽の光の一部だけが地球に遮られている状態のことで、地球からの見かけ上、月の一部が少し暗くなって見えます。半影食のはじめのうちと終わりの方では、あまり変化は見られませんが、本影食の前後30分くらいの間は、一部が薄暗くなっているのがわかります。
 下の画像は東京での月の欠け方のシミュレーション画像です。他の地方でも、時間と欠けかたはおなじように見られます。

2017年8月8日の東京での月食の様子
中央の円は、月の位置に於ける地球の影を示しています。
月自体が西から東(右下から左上)に移動するは、月の公転により起こるものです。
背景の星が西から東(右上から左下)へ移動して見えるのは、地球の公転により影が移動することにより起こります。
背景の星の位置は東京での様子をシミュレーションしています。
日本国内でも、場所によって位置関係が少しずつ異なります。

●コラム● 日食や月食の予測はいつごろから?
 古代から、日食や月食などの現象は天変地異の前触れとして人々に恐れられていたり、また日食の後に太陽の輝きが戻ることで、復活を意味する現象として捉えられることもありました。例えば、古事記や日本書紀に現れる天照大神の岩戸隠れの伝説は、皆既日食によるものだと言う説があります。また、キリスト教の新約聖書のルカによる福音書23章44節にある太陽の光が暗くなったという記述も、日食に関係するものだと考えられています。このように、日食のような天文現象を宗教的な意味に結びつけ、その予測をすることで信仰を広めたという史実は世界各地にあります。

 このような日食や月食に周期的な法則があることは、実は紀元前6世紀ごろから知られていたようです。「サロス周期」と呼ばれるこの法則は、18年+10日ごとに日食や月食が起こるというものです。しかし、この法則を科学的に解明して正確に予測することができるようになったのは、地動説以後の18世紀になってからです。その後、サロス周期は地球と月の公転周期および軌道の傾きと歪みの関係により起こることが証明され、さらに地球の自転に関係する8時間分を追加すると、かなり高い精度で予測ができることがわかりました。

サロス周期についてより詳しく知りたい方は、Wikipedia 日本語 英語 (英語のほうがより詳細に記述があります)によくまとめられていますので、是非参照してください。 

現在は、天体観測技術の向上により、日食も月食も物理的な計算で予測することができ、将来100年程度までは、秒単位まで正確な予報を出すことができるようになりました。それでも、先日の大地震のような地球内部の変化による自転速度の変化や、地球や月の公転軌道の累積的な変化により、秒単位でのずれが発生します。

●どこで、どうやって見える?

 月食は必ず満月の日に起こりますが、今回の月食は、真夜中を過ぎて西に傾き始めてから月食が始まり、西の空に沈む直前まで続きます。このため、街中のビルやマンションなどが建て込んでいる場所や、周囲高い山があるような場所では、月食が最後まで見られない可能性もあります。なるべく西の空が開けている場所で見るようにしましょう。月の一部が暗くなっている半影食の様子がわかるようになるのは、02:00ごろからになります。

東京での8月8日の月食の様子のシミュレーション
より西の地域ではもう少し高い空で月食が起こります。
明け方に近くなると薄明がはじまりますので、暗い星は見えなくなります。

双眼鏡や望遠鏡を使って見たときの月食の見え方のシミュレーション

FZ-750GFP等7倍クラスの双眼鏡で見た場合

ポルタA80Mf等、50倍の望遠鏡で見た場合

 月食は肉眼でも十分に楽しむことができる天文現象ですが、望遠鏡や双眼鏡を使うと、より大きく見ることができます。当社オンラインショッピングでは、月食の観測にも最適な双眼鏡や望遠鏡を揃えております。是非この機会にお買い求めいただき、宇宙で繰り広げられる天体ドラマを、ご自身の目でごゆっくりお楽しみください。

 また、満月を大口径の望遠鏡で見ると非常にまぶしいため、ムーングラスを使って減光すると、長時間継続して観測することができます。各望遠鏡のオプションとして用意されていますので、この機会に是非お求めください。

 もちろん、望遠鏡にカメラやデジカメ・ビデオカメラなどを取りつけて撮影することもできます。月や惑星を撮影するときに使用しているカメラアダプタ等がそのまま使用できますから、この機会に是非チャレンジしてみてはいかがでしょう。特に今回は比較的高度が低いところで月食が起こるので、地上の風景と一緒に撮影すると、よりおもしろい写真になるでしょう。

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