ジャコビニ・ツィナー彗星は、1900年12月20日にフランス ニース天文台のミシェル ジャコビニ(Michel Giacobini 1873-1938)によって発見された彗星で、観測により約6.5年の周期で太陽と木星軌道付近を公転する周期彗星であることがわかりました。しかし、次の周期の1907年には観測されず、1913年の回帰の際に、ドイツのバンベルクにあるレマイス天文台のエルンスト ツィナー(Ernst Zinner 1886-1970)によって再発見された彗星です。その後の回帰でも、地球との位置関係により検出されない年もありましたが、世紀を超えて周り続けている彗星の一つです。かつて「ジャコビニ流星群」と呼ばれていた10月9日に出現する「10月りゅう座流星群」の母彗星としても有名です。
この彗星は周期約6.5年で、秋にかけて近日点(太陽に最も近づく)を通過するときには、地球からの距離が近く条件が良くなります。今回の回帰では9月10日が近日点通過で、近年では最も良い条件での回帰になります。 |
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2018年9月6日の
ジャコビニ・ツィナー彗星(21P)
セレストロンCPC1100-J + HyperStarIII (560mmF2)
APS-Cミラーレスデジカメ
30秒露出 埼玉県堂平山 |
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2018年9月6日の
ジャコビニ・ツィナー彗星(21P)
135mmF2.5レンズ
APS-C一眼レフデジカメ
20秒露出 埼玉県堂平山 |
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2018年9月6日の
ジャコビニ・ツィナー彗星(21P)
85mmF2レンズ
APS-C一眼レフデジカメ
30秒露出 埼玉県堂平山 |
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2018年9月6日の
ジャコビニ・ツィナー彗星(21P)
50mmF1.2レンズ
APS-C一眼レフデジカメ
30秒露出 埼玉県堂平山 |
まだ月齢25のちょっと明るい月が残っていましたが、これから天気が悪くなりそうなので、わずかな晴れ間にかけて見に行ってきました。空も明るく透明度も今一つの空で、FH-842RFT双眼鏡では、彗星の存在は確認できましたが、尾を引いた様子は見ることができませんでした。もう少し空が暗くて透明度が高ければ、けっこう良く見えそうな感じがします。
デジカメでの写真では、上の通りよく写ります。これからの天の川のなかの星雲星団との大きさの対比の参考になるように、3種類の焦点距離のレンズで撮影してみました。彗星は、それぞれ左上に写っていて、135mmでは右側にM36とM38・85mmではM37も入っています。M37やM35との見かけ上の接近は、APS-Cサイズのイメージセンサーの場合、300〜500mmくらいがちょうどよいかもしれません。
これからしばらくは月の影響もなくなりますので、ぜひ空の暗いところに出かけて彗星を探してみてください。
(2018年9月6日) |