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ポン-ブルックス彗星(12P)が宵の西の空で4〜5等級

 ポン-ブルックス彗星(12P)は、メシエカタログを作ったシャルル メシエの後継者ともいわれていたフランスの彗星探索家ヤン ルイ ポン(Jean-Louis Pons 1761-1831)によって1812年7月12日に発見された彗星で、その後の観測により軌道傾斜角約74度と大きく傾いた軌道を約70年の周期で太陽の周りを公転する周期彗星であることがわかりました。さらに、この軌道をさかのぼると、古くは14世紀くらいから世界各地で記録されていた彗星と一致することもわかりました。

 次の周期の1884年には、アメリカの写真家で彗星探索家のロバート ブルックス(William Robert Brooks 1844-1921)によって発見され、その観測から1812年にポンが発見した彗星と同じものであることが確認されたことから、この彗星はポン-ブルックス彗星と呼ばれるようになりました。これにより、この彗星の軌道はほぼ確定され、次回は1954年5月に太陽に最も近づくことがわかりました。この時は1953年6月20日に発見されてから太陽に最も近づいた1954年5月22日までに、4回のバースト(急激に明るくなる)を観測しています。

 その次の回帰となる今回は、2020年6月10日にアメリカ アリゾナ州フラグスタッフにあるディスカバリーチャンネル望遠鏡で23等級で検出され、その後すでに数回のバーストが観測されています。今回の回帰では、もっとも太陽に近づくのは2024年4月21日(約0.78AU)・もっとも地球に近づくのはその後の6月3日(約1.54AU)です。地球からの条件はあまり良くありませんが、太陽に近づいた段階でバーストが発生すれば、肉眼でも見えるほどまで明るくなる可能性があります。

 この彗星が、はくちょう座の散光星雲NGC6888に見かけ上接近する様子が、ここ数日見えています。当社の地元の埼玉では、寒冷前線の通過で天候が悪く半分あきらめていたのですが、予想より前線の通過が少し早く、なんとか西の空に沈む前に見えそうだったので、雪の降る中を近くの山の上まで車を走らせました。標高800mの山の上は一面真っ白でした。
 写真の左に緑がかかってぼんやりと写っているのが12P/Pons-Brooks(ポン-ブルックス)彗星で、右に淡く赤く写っているのがNGC6888です。低空で空も明るく、さらに風が強く気流も良くない状態なので、星像がだいぶぼけてしまっていますが、彗星も星雲も写し出すことができました。
 彗星のすぐ左の明るい星が9.5等星で、その間にある暗い星が12等星ですので、この画像から見ると彗星の明るさは12等星くらいになります。一部メディアではすでに8等星になっていると書いているものもあるのですが、ちょっと「盛りすぎ」じゃない?と個人的には思っています。

(2024年1月13日)

 2024年1月12日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
セレストロンCPC1100-J + HyperStar (560mmF/2)
マイクロフォーサーズミラーレスデジカメ
30秒露出 埼玉県刈場坂峠



 2024年3月3日の
ポン−ブルックス彗星(12P)とアンドロメダ銀河
85mmF/2レンズ→F/2.8 APS-C一眼レフデジカメ
Celestron Nexstar Evolution-J架台にて自動追尾
15秒露出 埼玉県刈場坂峠

  2024年3月3日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
300mmF/4レンズ APS-C一眼レフデジカメ
Celestron Nexstar Evolution-J架台にて自動追尾
15秒露出 埼玉県刈場坂峠
 この彗星が、アンドロメダ銀河に見かけ上接近する様子が、これから10日くらいの間見られます。昨日夜に、前回と同じ場所に見に行ってきました。1月13日の画像では、口径の大きな望遠鏡でなければ彗星として認識できませんでしたが、今回はFH-842K7C双眼鏡でもギリギリ彗星の存在を確認できるくらいまで大きく明るくなっていました。写真の上のほうの真ん中に見えるのがアンドロメダ銀河で、そのまままっすぐ下のほうにいった水平線付近のあかりの中に見えるのが12P/Pons-Brooks(ポン-ブルックス)彗星です。花粉や黄砂の影響もあり、さらに低空は明るい星空で、望遠鏡でも双眼鏡でも、まだ彗星らしい姿には見えませんが、写真では尾を引いている様子も写ります。
 この写真はどちらも明るさを調整した画像で、この画像では彗星がかなり明るいように見えますが、調整前の画像から周辺の星の明るさと比較すると、だいたい7等星くらいで見えているようです。アンドロメダ銀河に見かけ上最も接近するのは、3月10日前後になります。
 現在彗星は太陽から約1.18AU・地球からは約1.68AUの距離にあり、もっとも太陽に近づくのは4月21日(約0.78AU)・もっとも地球に近づくのはその後の6月3日(約1.54AU)です。あまり条件が良いとは言えませんが、このままの明るさであれば、4月中旬〜下旬には、夕方の西の空で双眼鏡や望遠鏡を使えば彗星らしく見えるくらいの明るさにはなりそうです。これから太陽に近づくにつれてどのように変化していくかわかりませんから、継続して注目したい天体です。

(2024年3月4日)


 2024年3月9日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
PV80E55鏡筒 (440mmF/5.5)
マイクロフォーサーズミラーレス
Sky-watcher AZ-GTiにて自動導入・自動追尾
30秒露出 埼玉県秩父市大滝

  左の画像に15分後の画像をコンポジット
15分間で彗星が少し移動しているので
彗星の位置を合わせて合成
画像を重ねることで、尾の部分がより良く
見えるようになります。
 再び、彗星がアンドロメダ銀河に見かけ上接近する様子を見に行ってきました。西に低い対象のため、埼玉県内では条件の良い場所は少ないのですが、お天気もよさそうだったので、県西部の奥秩父まででかけてみました。
 ここまでくると、かなり空が暗くなり、FH-842K7C双眼鏡で簡単に彗星の位置がわかりました。それでもまだ、彗星の尾の部分が見えるようにはなりませんでした。
 写真に撮ると、空が暗い分、彗星の淡い部分も見えるようになってきます。右の写真では、アンドロメダ銀河と彗星を同じフレームに入れていますが、前回より銀河と彗星の見かけの距離が近いので、少し焦点距離の長いレンズを使っています。
 この写真はどちらも明るさを調整した画像で、この画像では彗星がかなり明るいように見えますが、調整前の画像から周辺の星の明るさと比較すると、だいたい6等星くらいで見えているようです。
 アンドロメダ銀河に彗星が見かけ上接近する様子はまだ数日楽しむことができ、来週末ごろからは今度はさんかく座銀河M33に見かけ上近づきます。ただ、月が宵の空に回ってくるので、尾の淡い部分見るには少し条件が悪くなります。

2024年3月9日の
ポン−ブルックス彗星(12P)とアンドロメダ銀河
135mmF/2.5レンズ APS-C一眼レフデジカメ
nano trackerにて自動追尾
30秒露出 埼玉県秩父市大滝
(2024年3月10日)


 2024年3月18日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
30mmF/1.4レンズ→F/3.5 APS-C一眼レフデジカメ
nano trackerにて自動追尾
15秒露出 埼玉県刈場坂峠

2024年3月18日の
ポン−ブルックス彗星(12P)とアンドロメダ銀河
85mmF/2レンズ APS-C一眼レフデジカメ
nano trackerにて自動追尾
15秒露出 埼玉県刈場坂峠
 宵空の月が大きくなって空が明るくなってくる中、さんかく座銀河M33への見かけ上の接近が写真に収められるかチャレンジしに、近くの山の上に行ってみました。
 昼間強い風が吹いて、空の高いところの透明度は比較的高かったのですが、上弦の月が空の高いところに輝き、FH-842K7C双眼鏡では彗星の位置がわかるものの、彗星の尾の部分はまったく見えませんでした。
 この明るい空の中では、写真でもM33は写りませんでした。M33は距離が近く大きく広がった銀河なので、空の明るいときには写りがとても悪いですね。彗星のほうも、尾の淡い部分はほとんど写ってきません。それでも、少なからず彗星らしい姿には写ります。

 2024年3月18日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
PV80E55鏡筒 (440mmF/5.5)
マイクロフォーサーズミラーレス
Sky-watcher AZ-GTiにて自動導入・自動追尾
15秒露出 埼玉県刈場坂峠
 上の2枚の写真はカメラレンズを使って撮影していますが、M33がまったく写らないので、右の写真はアンドロメダ銀河がフレームに入るレンズを使って撮影しました。左の写真は標準レンズで撮影したものなので、肉眼で見た感じに近いと思います。下のファインディングチャートを参考に、この中から、彗星を探してみてください!。実際の空では、この写真で探すよりさらに難易度が高いです(苦笑)。

 これらの写真はすべて明るさを調整した画像で、彗星がかなり明るいように見えますが、調整前の画像から周辺の星の明るさと比較すると、引き続きだいたい6等星くらいで見えているようです。
(2024年3月19日)


 2024年3月29日の
ポン−ブルックス彗星(12P)と宵の西の空
30mmF/1.4レンズ→F/3.5 APS-C一眼レフデジカメ
nano trackerにて自動追尾
30秒露出 埼玉県秩父市大滝

2024年3月29日の
ポン−ブルックス彗星(12P)とさんかく座銀河M33
135mmF/2.5レンズ→F/4 APS-C一眼レフデジカメ
nano trackerにて自動追尾
30秒露出 埼玉県秩父市大滝
 前回彗星を見に行ってから、満月を挟んで10日経ち、宵空の月明がなくなったタイミングで、ちょうどお天気が回復してきたので、前々回と同じ奥秩父に出かけてみました。

 日没に合わせて現地に着き、温かいコーヒーを飲みながらゆっくりと暮れていく空を、FH-842K7C双眼鏡でおひつじ座α星ハマルから彗星を探してみると、けっこう空が明るいうちから簡単に見つけることができました。シリウスと木星でアライメントした天体自動導入架台では、双眼鏡で見つけるより先に、写野の中心に彗星を見つけることができます。

 2024年3月29日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
PV80E55鏡筒 (440mmF/5.5)
マイクロフォーサーズミラーレス
Sky-watcher AZ-GTiにて自動導入・自動追尾
30秒露出 埼玉県秩父市大滝
 空がすっかり暗くなってからは、双眼鏡でも彗星が尾を引いている様子がわかるようになりました。ただ、この場所と同じくらいの空でないと、彗星らしくみることはできないかもしれません。

 上の2枚の写真はカメラレンズを使って撮影していますが、左の写真は標準レンズで撮影したものなので、肉眼で見た感じに近いと思います。下のファインディングチャートを参考に、この中から、彗星を探してみてください!。

 これらの写真はすべて明るさを調整した画像で、彗星がかなり明るいように見えますが、調整前の画像から周辺の星の明るさと比較すると、だいたい4〜5等星くらいで見えているようです。

 今週末と来週末は月の影響がないので、彗星を見つけるのに条件が良いです。また、今週末はおひつじ座α星ハマルのすぐ近くに彗星があるので、とても見つけやすいです。ぜひ西の空の開けた空の暗い場所にでかけて、彗星を探してみてください。
(2024年3月30日)


 2024年4月12日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
30mmF/1.4レンズ→F/4 APS-C一眼レフデジカメ
nano trackerにて自動追尾
30秒露出 アメリカ ネバダ州パランプ

2024年4月12日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
85mmF/2レンズ APS-C一眼レフデジカメ
nano trackerにて自動追尾
30秒露出 アメリカ ネバダ州パランプ
 4月8日にアメリカで見られた日食を見に行ったあとに訪れた、ネバダ州パランプで彗星を撮影してみました。
 日本とほぼ緯度が変わらないことや、少し薄雲も出ていたため、あまり良い星空とは言えない状態でしたが、それでもFH-842K7C双眼鏡で木星から彗星を探してみると、けっこう空が明るいうちから簡単に見つけることができました。前回同様、シリウスと木星でアライメントした天体自動導入架台では、双眼鏡で見つけるより先に、写野の中心に彗星を見つけることができます。

 2024年4月12日の
ポン−ブルックス彗星(12P)
PV80E55鏡筒 (440mmF/5.5)
マイクロフォーサーズミラーレス
Sky-watcher AZ-GTiにて自動導入・自動追尾
30秒露出 アメリカ ネバダ州パランプ
 これらの写真はすべて明るさを調整した画像で、彗星がかなり明るいように見えますが、調整前の画像から周辺の星の明るさと比較すると、引き続き4〜5等星くらいで見えているようです。

 これからしばらくは宵空に明るい月があるので、彗星を見つけるのに条件が悪いですが、25日以後は、月が昇る前に見ることができます。ぜひ西の空の開けた空の暗い場所にでかけて、彗星を探してみてください。
(2024年4月17日)

◆最新の情報は当社Facebookページで随時更新しています。

●4月17日〜5月2日の午後7時30分ごろの西の空


カラー版



プリントアウト用


 このファインディングチャートは東京での午後7時30分ごろの北西の空の図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。チャートには5等星までの星を載せています。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。彗星までの距離が比較的遠く、一日の移動量は少ないため、位置は2日ごとに書き込んでいます。日付の間の日に見るときは、その中間付近を捜してください。
 ポン-ブルックス彗星(12P)は、現在太陽が沈んだ後の西の空に見えていて、おうし座からエリダヌス座方向に移動していきます。周囲に明るい星が少ない領域を移動していくので、木星やより空の高いところに見えているおうし座やオリオン座の星の並びから見当をつけて、彗星を探してみてください。

 彗星を見つけるときは、当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、天体自動導入装置があると大変便利です。

 天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、右の座標を入力すると自動導入ができます。

●Celestron NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。

Celestron SkyPortal appの場合
左下の「探索」から「最も明るい彗星」→12P Pons-Brooksを選び「導入」をタップすると自動導入します。

●Sky-Watcher / Sky Explorer SE-GT SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。

●SynScan appの場合
「天体」→「Comet」を選び、「12P Pons-Brooks」をタップすると、彗星の座標を自動計算しますので、「導入」をタップすると自動導入します。

●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。

●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押し、目標の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。

ポン・ブルックス彗星(12P)の座標
(日本時間19時30分)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
4/17 03h14m.8 +12゜25'
4/18 03h18m.5 +11゜44'
4/19 03h22m.1 +11゜02'
4/20 03h25m.6 +10゜20'
4/21 03h29m.2 +09゜37'
4/22 03h32m.7 +08゜55'
4/23 03h36m.2 +08゜12'
4/24 03h39m.6 +07゜30'
4/25 03h43m.1 +06゜47'
4/26 03h46m.5 +06゜04'
4/27 03h49m.9 +05゜22'
4/28 03h53m.2 +04゜39'
4/29 03h56m.6 +03゜56'
4/30 03h59m.9 +03゜13'
5/1 04h03m.2 +02゜30'

ポン・ブルックス彗星(12P)軌道要素

近日点通過 = 2024/04/21.12365(TT)
近日点距離 = 0.7807778 AU
近日点引数 = 198.98908
昇交点黄経 = 255.85589 (2000.0)
軌道傾斜角 = 74.19153
離心率 = 0.9546226

周期 = 71.3726209年
(Ephemeris from IAU Minor Planet Center)

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