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※21世紀に日本で見られる皆既月食のうち、東京では最も高い空で起こります


2015年4月4日(土)の皆既月食についてはこちら

◆月食当日の様子

 今回の月食は、北海道や九州・沖縄地方では残念ながら雲が多い天気となってしまいましたが、それ以外の地域では好天に恵まれ、たくさんの方々にお楽しみいただけたのではないかと思います。

 今回の月食では、この時期の東京の高い空で起こることを考えて、かなり前から東京スカイツリーでの撮影を検討していたのですが、他にも同じことを考えている人はたくさんいるだろうなぁと思っていたので、私は事務所でのんびりと楽しもうと思っていました。案の定、月食の様子を報じた各メディアの記事の写真は、東京スカイツリーのものが多かったですね(笑)。

 私自身はそのつもりで準備していたのですが、当日夕食後にこの話を家族にしたところ、興味を示してくれたので、急遽準備して東京スカイツリーの袂まで行って撮影することになりました。そのときの様子を写真でご紹介します。急遽用意した移動機材での撮影のため、多少ピンボケやブレのある画像もありますが、月食の経過はお楽しみいただけるのではないかと思います。

 次回、日本で見られる皆既月食は、2年後の2014年10月8日の宵空で起こるものになります。そのときにも、また多くの方に空を見上げていただきたいと思っています。

16:35 月の出直後
まだこのときは雲が多かった
19:24 きれいな満月が
昇ってきました
※以下、拡大写真は10cmF10屈折望遠鏡にて撮影

21:34 東京スカイツリー到着
すでに半影食が見える
21:42
到着時はまだ雲がありました
21:49
本影食に入りました
22:06 22:21 22:37
22:42
雲はすっかりなくなりました
22:53 肉眼でも
影の部分が見えるようになる
23:02
皆既食直前
23:12
皆既食開始7分後
23:32 オリオン座と東京スカイツリー
都心でもこれだけの星が見えます
23:40
影が西側に移動
23:56
皆既食終了2分前
00:09
本影から出はじめる
00:21

00:44

01:03

01:19
本影食終了

01:28
半影食がまだ見える
03:08
事務所に戻ったところ


 年も押し迫り、クリスマスの雰囲気も漂い始める12月10日(土)〜11日(日)の夜空で、6月16日以来約半年ぶりとなる皆既月食が見られます。月が地球の影に入る様子が、最初から最後まで通して見られた月食としては、2000年7月16日以来、11年半ぶりとなります。
左写真:2007年8月28日の皆既月食の様子 クリックするとそのときの様子を見ることができます。

●月食はどうしておこるの?

 月食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。

 有名なところでは、「日食」と「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があり、2012年5月21日には、本州で見られるものとしては129年ぶりとなる金環日食があります。 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。
 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。最近日本で見られた月食は2011年6月16日の皆既月食がありました。

 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。
 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の反対側を通過するときに月食が起こります。ですから、月食は必ず満月の日に起こります。また、月食の中でも皆既月食と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。

●今回の月食について

 今回の月食の起こる時間は下の表の通りです。下の画像は東京での月の欠け方のシミュレーション画像です。他の地方でも、時間と欠けかたはおなじように見られます。

2011年12月10日(土)〜11日(日)の月食の主な現象の時刻(日本時間)

半影食のはじまり

20時31分

※下記参照

本影食のはじまり

21時45分

月が地球の影に入りはじめる
皆既食のはじまり 23時05分 月が地球の影にすべて入る

食の最大(111.0%)

23時31分

月が地球の影に最も入り込む
皆既食のおわり 23時58分 月の一部が地球の影から抜ける

本影食のおわり

1時18分

月全体が地球の影から抜ける

半影食のおわり

2時31分

※下記参照
※半影食とは、太陽の光の一部だけが地球に遮られることにより、月が少し暗くなる影のことを言います。半影食のはじめのうちと終わりの方では、あまり変化は見られませんが、本影食の前後30分くらいの間は、一部が影って薄暗くなっているのがわかります。

2011年12月10日の月食の様子
中央の円は、月の位置に於ける地球の影を示しています。
月自体が西から東(右から左)に移動するは、月の公転により起こるものです。
背景の星が西から東(右から左)移動して見えるのは、地球の公転により影が移動することにより起こります。
背景の星の位置は東京での様子をシミュレーションしています。
日本国内でも、場所によって位置関係が少しずつ異なります
(Java Scriptの関係で上の画像が見られない方はこちらをクリックしてください)

 今回の月食で最も大きなポイントは、空のとても高いところで起こるという点です。上でも書いてきたように、月食は必ず満月の日に起こりますが、太陽の南中(真南に来る)時の高度が最も低くなる冬至前後の12月〜1月は、逆に満月が空の最も高いところに見えます。さらに今回は、月食が起こる時間も日本で月が南中する時刻と偶然重なっているため、東京では高度76.7度と、21世紀中に起こる皆既月食の中で、最も高い空で起こります

※21世紀中に日本で見られる月食のうち、今回の月食の3サロス周期(下記参照)後にあたる2066年1月11〜12日の皆既月食も、今回とほぼ同じ高さの空で起こります。九州南部や沖縄地方では、このときの月食の方が、今回の月食より少し高い空で起こります。

●コラム● 日食や月食の予測はいつごろから?

 古代から、日食や月食などの現象は天変地異の前触れとして人々に恐れられていたり、また日食の後に太陽の輝きが戻ることで、復活を意味する現象として捉えられることもありました。例えば、古事記や日本書紀に現れる天照大神の岩戸隠れの伝説は、皆既日食によるものだと言う説があります。また、キリスト教の新約聖書のルカによる福音書23章44節にある太陽の光が暗くなったという記述も、日食に関係するものだと考えられています。このように、日食のような天文現象を宗教的な意味に結びつけ、その予測をすることで信仰を広めたという史実は世界各地にあります。
 このような日食や月食に周期的な法則があることは、実は紀元前6世紀ごろから知られていたようです。「サロス周期」と呼ばれるこの法則は、18年+10日ごとに日食や月食が起こるというものです。しかし、この法則を科学的に解明して正確に予測することができるようになったのは、地動説以後の18世紀になってからです。その後、サロス周期は地球と月の公転周期および軌道の傾きと歪みの関係により起こることが証明され、さらに地球の自転に関係する8時間分を追加すると、かなり高い精度で予測ができることがわかりました。今回の日食の3サロス周期後(54年+31日前)となる2066年1月11〜12日には、ほぼ同じくらいの高さの空で皆既月食が起こります。

サロス周期についてより詳しく知りたい方は、Wikipedia 日本語 英語 (英語のほうがより詳細に記述があります)によくまとめられていますので、是非参照してください。

 現在は、天体観測技術の向上により、日食も月食も物理的な計算で予測することができ、将来100年程度までは、秒単位まで正確な予報を出すことができるようになりました。それでも、先日の大地震のような地球内部の変化による自転速度の変化や、地球や月の公転軌道の累積的な変化により、秒単位でのずれが発生します。

●どこで、どうやって見える?

 今回の月食は皆既月食ですので、その変化は肉眼でも十分確認できます。日本からは10日(土)の夜、月が東の空に十分に高く上がった20:30ごろから地球の影に隠され始め、夜半を過ぎて11日(日)未明の2:30ごろに地球の影から完全に出る現象です。肉眼でその変化がわかるのは、10日(土)の21:30ごろから、11日(日)未明の1:30ごろにかけてになり、その過程のすべてを日本全国で見ることができます。空の高いところで起こる現象なので、街中のビルがある場所や周囲を山に囲まれた場所でも、容易に見ることができるはずです。

東京での12月10日の月食の様子のシミュレーション
より北の地域ではもう少し低い空で日食が起こり、西の地方では高い空で起こります。
 完全に地球の影に入ってしまう皆既中は、肉眼ではその姿を見ることができないかもしれません。しかし、望遠鏡や双眼鏡を使用すると、皆既中に地球を取り巻く大気を通過した光によって赤銅色に光る月を見ることができるはずです。皆既中の月を見るには、それほど大きな望遠鏡は必要としませんし、双眼鏡でも十分に楽しむことができます。当社オンラインショッピングでは、月食の観測にも最適な双眼鏡や望遠鏡を揃えております。是非この機会にお買い求めいただき、宇宙で繰り広げられる天体ドラマを、ご自身の目でごゆっくりお楽しみください。

 また、皆既食になる前後の月は、大口径の望遠鏡で見ると非常にまぶしいため、ムーングラスを使って減光すると、長時間継続して観測することができます。各望遠鏡のオプションとして用意されていますので、この機会に是非お求めください。

双眼鏡や望遠鏡を使って見たときの月食の見え方のシミュレーション

FZ-750GFP等7倍クラスの双眼鏡で見た場合

ポルタA80Mf等、50倍の望遠鏡で見た場合

 もちろん、望遠鏡にカメラやデジカメ・ビデオカメラなどを取りつけて撮影することもできます。月や惑星を撮影するときに使用しているカメラアダプタ等がそのまま使用できますから、この機会に是非チャレンジしてみてはいかがでしょう。

下記掲載の商品のうち、当社オリジナル双眼鏡4機種については、関東(東京・埼玉・千葉・神奈川・群馬・栃木・茨城)および山梨への配達分に限り、12月10日(土)午前8時までにクレジットカードまたはコンビに決済(NP後払い)にてご注文いただければ、12月10日の月食が始まるまでにお届けできます。ご注文はお早めにお願い致します。

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