ポーランドのWarsaw University ObservatoryやアメリカのPrinceton University等が共同で運用している全天自動捜索システムASAS(The
All Sky Automated Survey)に、9月3日と8日(世界時)に新彗星らしい天体が写っていることがわかりました。今現在(日本時間9月8日23:20)も継続して移動が確認されています。詳しくは以下のページをご参照ください。
●ASAS Alert Service (test version)
http://www.astrouw.edu.pl/~gp/asas/asas_alert.html
9月8日17時20分(日本時間)にASASで撮影された画像では、明るさは11.80等で、赤経07h31m21s 赤緯-21°15.4'(2000年分点)付近にあり、18時52分には赤経07h31m55s
赤緯-21°16.6'付近に移動していますから、少しずつ西南西に移動しているもようです。位置的にはとも座散開星団NGC2421の近隣になります。
これから日本の明け方の南東の低い空で、観測可能な時間帯になります。お天気も良いようですので、もし観測可能な方は、是非撮影してみてください。
現在までの位置を計算すると、10月上旬に太陽に0.2〜3AU付近まで接近する可能性があり、北半球で良い条件で見られるかもしれません。(9月8日
23:20)
その後、この彗星は9月1日にもASASに捕らえられていたことがわかりました。さらに、9月9日にアメリカの2人の観測者の同定により、この彗星はC/2004R2の符号が確定し、ASAS彗星と命名されました。これらの観測から計算された暫定軌道は以下のとおりです。これによると、現在彗星は地球から0.8AU付近にあり少しずつ太陽に近づいていて、10月7日ごろに太陽に0.11AUまで近づく(近日点通過)ことがわかりました。彗星の大きさがあまり大きくないため、ここまで太陽に接近すると本体が消滅してしまう可能性も高いと思われますが、今年4月のBradfield彗星(C/2004F4)のように、太陽に接近した後明るくなった彗星もありますから、十分見える可能性はあると思います。
近日点通過までは北半球からの観測条件はあまり良くなく、まもなく太陽に接近してみることができなくなります。太陽観測衛星SOHOのコロナグラフ画像には充分入る位置ですので、近日点通過前後は是非注目してみましょう。近日点通過後は、10月15日ごろから日本でも見ることができそうですが、太陽に接近した後彗星が消滅しないことを祈るばかりですね。
ASAS 彗星(C/2004 R2) 暫定軌道要素(放物線)
近日点通過 = 2004/10/07.896 (TT)
近日点距離 = 0.11278 AU
近日点引数 = 5.365
昇交点黄経 = 182.465 (2000.0)
軌道傾斜角 = 63.175
(Calcurated Brian G. Marsden from MPEC 2004-S32)
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