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12月24日(火)深夜(25日未明) スピカが月に隠される
2024年
12月24日(火)深夜(25日未明)
、おとめ座の一等星
スピカ
(260光年)が月に隠される「
星食
」という現象が見られます。
2022年7月21日に見られた火星食の様子
クリックすると当日の様子の動画も見ることができます→
●星食とは?
星食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。
有名なところでは、
「日食」と「月食」
があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、
太陽が月に直接隠される現象
です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを
皆既日食
・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える
金環日食
・太陽の一部だけが月に隠される
部分日食
の3種類があり、
2023年4月8日
には、千葉〜沖縄までの一部で
部分日食
が見られました。
一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり
月での日食が起こっている
と考えられるわけです。最近日本で見られた月食は
2023年10月29日の部分月食
がありました。
これらの「食」は、
宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶ
ことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。
なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は
月の公転
が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。
その天球上を移動している月が、私たちからの見かけ上恒星の手前を通過するときに
星食
が起こります。今回のスピカ食では、スピカ・月・地球が一直線上に並び、見かけ上スピカの手前に月が入り込んでくることにより、
月が
スピカ
を隠す
現象です。
●どこで、どうやって見える?
今回のスピカ食は、12月24日(火)深夜(25日未明) 南東の空に見える
月が、スピカを隠します
。下の表は、全国の主な都市でのスピカが月に隠される時間です。
2024年12月24日(火)深夜(25日未明) スピカ食の時刻(日本時間)
地名
明縁潜入
暗縁出現
札幌
隠されない 最接近27:46 (03:46)
仙台
27:24 (03:24)
28:07 (04:07)
東京
27:17 (03:17)
28:13 (04:13)
大阪
27:11 (03:11)
28:14 (04:14)
福岡
27:06 (03:06)
28:13 (04:13)
那覇
27:06 (03:06)
28:15 (04:15)
●
明縁
とは、月の太陽に照らされている(光っている)側の縁のことです。
暗縁
とは、月の太陽に照らされていない(光っていない)側の縁のことです。明縁に潜入する瞬間は月が明るいため見つけにくいですが、暗縁から出現する瞬間ははっきりと見ることができます。
2024年12月24日深夜(25日未明)のスピカ食の各地での潜入・出現の位置
月面の傾きは、東京で28時(4時)ごろに南東の空を見たときの角度に合わせてあります。
時間と場所によって多少月面の傾きが変わりますが、
潜入・出現の位置は月面座標に対してマッピングしています。
星食の観察は、その星の明るさと月齢、そして月の高度が関係し、これらの条件が整う機会はあまり多くありません。今回のスピカ食は深夜27〜28時(明け方3〜4時)の
南東の空高く
で起こり、月が比較的細いため
肉眼でもその様子を確認できる
絶好の機会です。
上の図は、スピカの潜入と出現の場所を示したものです。潜入の時は、月の太陽に照らされている明るい側に隠されるため、肉眼でその瞬間を見るのは難しいかもしれませんが、望遠鏡を使えば、
記載の時間の2分くらい前からスピカを注意深く見ている
と、突然「ふっ」とスピカが隠れる様子を見ることができるはずです。
出現の時は、月の太陽に照らされていない側になるので、
肉眼でもその様子を確認できるはず
です。もちろん、双眼鏡や望遠鏡を使えば、よりはっきりと見ることができます。上の図の月面の模様を参考にして、
記載の時間の2分くらい前から潜入する位置を注意深く見ている
と、突然「ふっ」とスピカが出現する様子を見ることができるかもしれません。
●渡島半島では接食となる
星食は、日食と同じように
見る場所によって見え方が違う
という特徴があります。今回の星食では、概ね南に行くほど月の中心近くを通過していきますが、
北限界線
が通る北海道の渡島半島を横断する線上の地域で「
接食
」として見ることができます。また、この北限界線以北の地域では、スピカは月に隠されません。
接食とは、月がその向こう側にある星をかすめるように移動していく現象で、
月の縁にあるクレーターなどの凹凸に星が隠される
ため、時には星が何回も点滅して見られることがあります。
2018年1月27日に起こったおうし座のアルデバラン食
では、約4分の間に4回の潜入・出現を見ることができました。今回のスピカ食でもこのような様子を見ることができるかもしれません!。
接食が見られる地域は、月に隠されるか隠されないかの境界線を地上に引いた「
限界線
」と呼ばれる線上のごく限られた地域だけで、
わずか数十メートル離れただけでも見え方が変わります
。右のGoogle Mapは、今回のスピカ食の北限界線を地図上に表示したものです。お近くにお住まいの方は、是非限界線近くに行って観察してみてください。GPSを搭載したスマートフォンなどから、現在地と限界線を確認できるGoogle mapも、
こちら
に用意しています。限界線付近で
最も月に接近するのは27時45分(3時45分)ごろ
ですが、その前後10分くらいが注目すべき時間帯になります。
●スピカ食のシーズンは今回で終わり 来年の一等星食はレグルス
全天には21の一等星がありますが、このうち月に隠される可能性があるのは、今回のおとめ座のスピカの他に、
おうし座のアルデバラン
・
しし座のレグルス
・
さそり座のアンタレス
の4つしかありません。星食は月によってそのはるか向こうにある星が隠される現象ですから、天球上で月が地球からの見かけ上通る道(白道といいます)の近くにある星しか隠されないのです。
天球上での月の通り道(白道)が毎年変わる様子
クリックすると拡大します
1年分の月の通り道の移り変わりと、
4つの一等星がどの時期に月に隠されるかがわかります
しかし、実際には
天球上の月の通り道は毎回少しずつ変わっています。
これは、月が地球のまわりをまわっている軌道面が、地球が太陽のまわりをまわっている軌道面(黄道面・・・黄道=天球上で太陽が地球からの見かけ上通る道)に対して約5゜傾いていて、その傾く方角が約18年周期で変わるために起こります。このため、月に隠される星はいつも同じ星ではなく、ある期間に限って隠される現象が見られることになります。
月の軌道面の傾きが変わる様子
この傾きの周期が約18.2年
さらに、月は地球から最も近い「星」で、地球上の見る場所によっても天球上での位置が変わりるため
一等星の星食を良い条件で見られることは、非常にめずらしいことなのです。
2024年に日本で見られる一等星の星食は、
6月20日に見られたアンタレス食
と、
8月10日
と今回のスピカ食があり、12月8日には
土星食
も見られます。また、2025年にはレグルスが隠されるようになります。星食をはじめとした「食」は、
とてもライヴ感覚のある天文現象
なので、一度見てみるととても感動するものです。当社の
毎月の星空案内のコーナー
では、星食はもちろん、星空を気軽に楽しむことができる双眼鏡や望遠鏡を用意しています。この機会に是非お求めいただき、ご自身の目で宇宙の星々が繰り広げるショーをお楽しみください。
●
商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。
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