日食当日は、本州では梅雨空のためほとんどの地域で雨雲が厚く、日食を見ることができませんでしたが、北海道では道北・道東で良い天気に恵まれ、朝日が欠ける様子が見えたという報告をいただきました。ありがとうございました。

 次回の日食は約1年後、いよいよ来年5月21日の金環日食になります。詳しくはこちらのページに掲載しています。是非万全の準備をして、全国の皆さんにお楽しみいただきたいと思っています。


 日本では2010年1月15日以来1年半ぶりとなる部分日食が、6月2日の早朝に起こります。今回は、北日本と北陸地方の一部および島根県の隠岐の島で見ることができます。

 今回の日食は、ロシア極東地域やアラスカ・カナダおよび北欧・アイスランド等の限られた地域で見られ、皆既日食や金環日食になる地域はありません。最も多く欠けるのは北極点付近で、60.6%まで太陽が欠ける様子を見ることができます。


2010年1月15日の日食

●日食はどうしておこるの?

 日食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。

 有名なところでは、「日食」と「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があり、最近日本で見られた日食は、2010年1月15日にありました。
 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。
 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こり、月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こることになります。最近日本で見られた月食は2010年12月21日の皆既月食がありました。

 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。
 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の手前を通過するときに日食が起こります。ですから、日食は必ず新月の日に起こります。


日食が起こるしくみ
太陽との距離は実際はもっと遠く、太陽はもっと大きな天体です。
太陽と月の見かけ上の大きさがほぼ同じになる偶然から、
皆既日食や金環日食がおこります。


今回の日食が見える地域
グレーの地域では太陽は月に隠されない。


札幌での今回の日食の様子
望遠鏡や双眼鏡にフィルターを付けて見ると、
このように見えます。

●今回の日食について

 今回の日食は、6月2日の早朝、太陽が東の空から昇ってすぐの4時26分ごろから起こります。日食は、地球のまわりをまわる月と太陽との位置関係によって起こるため、見る場所によって時刻も見え方もかわります。今回は、北日本と北陸地方の一部および島根県の隠岐の島で見ることができ、それ以外の地域では残念ながら見ることができません。各地の時間は下の表の通りです。大まかに、北に行くほど早く隠されはじめ、隠され終わるも遅くなります。また、隠される部分の大きさ(食分)は、日本では北西にいくほど大きくなります。日本で最も大きく欠けて見えるのは、北海道の礼文島(12.4%)です。

2011年6月2日の部分日食の主な現象の時刻(日本時間)

地名

日出

欠けはじめ

食の最大(食分)

欠け終わり

稚内

3:47

4:26

4:53 (11.8%)

5:22

釧路

3:45

4:29

4:49 (5.7%)

5:09

札幌

3:57

4:26

4:50 (8.7%)

5:14

函館

4:04

4:27

4:48 (7.0%)

5:10

青森

4:06

4:28

4:47 (5.4%)

5:06

盛岡

4:08

4:31

4:45 (3.3%)

5:00

秋田

4:08

4:29

4:46 (4.7%)

5:02

仙台
4:14
4:35
4:43 (1.0%)
4:52
新潟
4:21
4:33
4:44 (1.9%)
4:55
長野
4:30
4:40
4:42 (0.1%)
4:45
金沢
4:35
4:34
4:44 (1.6%)
4:55
福井
4:39
4:36
4:43 (0.9%)
4:51

隠岐

4:50

4:31

4:45 (3.3%)

4:59

※青で記載されている時刻は、まだ太陽が昇っていません。また、食分(月に隠される太陽面の面積比)が1%未満の地域では、望遠鏡や双眼鏡で拡大しないと、欠けていることがわからないかもしれません。

●どこで、どうやって見える?

 今回の日食は、北海道では食分(太陽の前に月が入り込んでくる部分=欠ける部分の大きさ)が6〜13%と十分にあるため、その変化は肉眼でも十分確認できます。しかし、それ以外の地域では食分が小さいため、望遠鏡や双眼鏡に専用のフィルターを付けて見ないとを使わないと、欠けている様子がわからないかもしれません。

 また、太陽が昇ってから日食が始まるまでの時間は、北海道以外ではごくわずかしかありませんから、なるべく東の空が地平線近くまで開けている場所で見たほうが、長い時間日食を見ることができることになります。

●日食を安全に楽しむには・・・

 太陽はとても明るくまぶしいため、肉眼でそのまま見ることは大変危険です。まして望遠鏡を使って直接のぞくのはもってのほかです。望遠鏡で直接太陽を見ることは、失明の危険もありますので絶対にしないでください。

 日食の観測は、望遠鏡や双眼鏡を使わなくても見ることができます。例えば、木の葉っぱの影によってできる太陽の光の形や、家の中でも障子にあいた小さな穴から漏れる光が欠けた太陽の形になります。

 しかし、日食の観測には望遠鏡や双眼鏡を使って倍率を上げて見た方が、欠けはじめや欠け終わりのわずかな欠け具合や、時間とともに変化していく月の動きを楽しく見ることができます。そのためには、明るい太陽の光をフィルターなどで減光する必要があります。

 当社オンラインショッピングでは、太陽観測用のフィルターを用意しています。このページで紹介しているフィルターは全て日食の観測にそのままご使用いただけます。この機会に是非お求めください。

商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。


バーダープラネタリウム製アストロソーラーフィルターを
直接取りつけたビデオカメラとその画像
望遠鏡に取りつけた場合もほぼ同じように見えます

 また、これらのフィルターを使えば、カメラやデジカメ・ビデオカメラでの撮影も楽しめます。時間とともに変化して行く様子をデジカメやビデオカメラで連続撮影すれば、動画として楽しむこともできます。

 もちろん、望遠鏡にカメラやデジカメ・ビデオカメラなどを取りつけて撮影することもできます。月や惑星を撮影するときに使用しているカメラアダプタ等がそのまま使用できますから、この機会に是非チャレンジしてみてはいかがでしょう。

 このように、望遠鏡や双眼鏡に安全なフィルターなどを取りつけて太陽観測を行うことは、決してむずかしいことではありません。是非この機会に太陽観測にもチャレンジしてみてはいかがでしょう。使用方法に十分注意して安全に日食観測をお楽しみください。

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