LX-200やETXなど、手軽な天体自動導入望遠鏡を数多く発売しているアメリカMeade社から、さらに手軽でお求めやすい価格で販売されているのが「ＤＳシリーズ」です。

　ＤＳシリーズは、小型軽量なポータブル望遠鏡ETXシリーズで大好評の天体自動導入システム「オートスター」を、初心者向けの望遠鏡にも取りつけられるようにモーター駆動仕様ににしたものです。加工や組立の容易な樹脂製パーツなどを採用するなど徹底した合理的な設計により、生産コスト最低限に抑え、優れた光学性能とお求め安い価格を実現しました。

DS60ECに取りつけられたモーター
樹脂製のケースに収められている

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　日本で発売されているDSシリーズは、ローエンドモデルで小型・軽量な60mmアクロマートレンズを使用した屈折望遠鏡DS60ECと、114mmの反射望遠鏡DS115ECの2種類です。DS60ECは、望遠鏡らしい長く白い鏡筒が特徴で、鏡筒もディスカウントショップなどで売られている安価なものとは違いアルミ製です。DS115ECは、お求め安い価格でより大きな口径が得られるニュートン式反射望遠鏡です。屈折望遠鏡に比べると少し取り扱いが難しくなりますが、大きな口径で見る惑星や星雲星団は明るくとても見やすいのが特徴です。

　DSシリーズ共通の特徴として、架台は経緯台式の非常にシンプルな構造で、水平・上下の各回転軸にはこれまでの微動ハンドルの変わりに樹脂製カバーのついたモーターが付いています。いままで天体を導入するために手動で動かしていたものをモーターで回すことにより、比較的強度の弱い架台でも直接手で触れることがないため、今までのように天体の導入に苦労したり、せっかく導入した天体を逃したりする心配がとても少なくなりました。三脚は伸縮可能な軽いアルミ三脚を採用しており、アイピースやコントローラーなどのアクセサリーを置くことができるトレーが標準でセットされています。

　いくら初心者向けの望遠鏡と言っても、望遠鏡専業メーカーの作った製品ですから、その性能は大変高いものです。古い設計の60mmアクロマートレンズとは比較にならないほど、DS60ECのレンズは色収差（レンズの光の屈折により、星の光に色が付いてしまう現象）がきれいに補正されています。月は右の写真のように細かいクレーターまで鮮明に見ることができますし、木星の縞模様や土星の輪も確認することができます。

　モーター駆動にすることで、高い倍率で観測する必要がある惑星の観測時も、望遠鏡に直接手を触れることがないため、誤って天体を視野の外に逃がしてしまうようなこともほとんどありませんから、安定した観測ができるわけです。

　コストを最低限に抑えているため、付属しているアイピース（接眼鏡）はサイズの小さい差込径24.5mmのものが付属しています。アイピースが小さいと、のぞき込むときに不意に望遠鏡に触れてしまったり、視野が狭く見にくくなるため、当社では、覗きやすく一度に広い視野を見ることができる別売の31.7mmアメリカンサイズアイピースのご使用をおすすめします。

　天体自動導入コンピュータの#494オートスターは、DSシリーズに取りつけられたモーターをこのコントローラーで制御します。表示はバックライト付の液晶画面で、日本語（カタカナ）で操作方法が説明されます。初期設定はオートスターが自動的に選んだ２つの星を視野の中心に入れるだけでＯＫ。その後は、コントローラーに目標の天体の名前を入力するだけで、その天体を自動的に視野の中に導いてくれます。導入精度も、付属の25mmアイピースの中に目標の天体が導入できる実用十分な精度です。

　また、専用のケーブルとソフトを使用することにより、パソコンに接続することもできます。パソコンの画面上から目標の天体をクリックするだけで、その天体を自動的に視野の中に導いてくれるわけです。

　これまで、望遠鏡を買っても天体が視野に導入できなくて苦労した方も多いことでしょう。このオートスターを使えば、そのような苦労もまったく不要になるわけです。