山形県山形市のアマチュア天文家 板垣 公一さんが、口径18cm望遠鏡とCCDで8月14日深夜に撮影した画像から、いるか座に6.8等の新星が出現しているのを検出しました(検出時の画像はこちら)。新星の位置は、以下のとおりです。
赤経(α) = 20h23m30s.73 赤緯(δ) = +20゜46'04".1 (J2000.0)
6.8等級より明るい新星が出現したのは、同じく板垣さんが2009年11月25日に発見したエリダヌス座KT以来4年ぶりとなります。
世界各国の天文台やアマチュア天文家の観測では、この新星が徐々に増光していることが確認されています。是非皆さんも見つけてみてください!。
「新星」という字なので、新しく生まれた星のように思われるかもしれませんが、新しい星ではなく、原子核融合反応でエネルギーを放出している恒星が、その反応を起こすための質量と重力のバランスが不安定になり、最終的に爆発を起こして明るく輝く、いわば「星の最期」の状態になる現象の一つです。
同じ新星でも、爆発する原理が異なり明るさの変化が大きいものを「超新星」と呼びます。新星は主に私たちの天の川銀河の中で見られますが、超新星は他の銀河での現象であることがほとんどです。かつては、他の銀河に現れた新星はすべて「超新星」と呼ばれていましたが、現在ではその原理によって分類されています。
新星や超新星は、経過を精密に分光観測することにより、星までの距離を正確に測ることができるため、宇宙の研究において非常に重要な役割があります。このため、世界各国の天文台でも重要な観測対象とされています。
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(8月16日 19:00)
■新星のみつけかた
いるか座新星2013は、いるか座・や座・こぎつね座の境界付近にあって、夜10時〜11時に南中(最も高いところにくる)します。この時間前後が、最も見つけやすい時間帯になります。下のファインディングチャートは、8月16日の午後10時ごろ、南の空を見上げた状態で作成しています。これを参考にして、双眼鏡や望遠鏡で探してみてください。
新星は、ずっと遠くにある普通の恒星が明るくなったものなので、望遠鏡や双眼鏡で見ても、その形や明るさが他の星と大きく変わっているわけではありません。しかし、写真などに撮影して、明るさや色の変化を追跡すると、他の恒星とは違うことがわかります。
天体自動導入望遠鏡をお使いの方は、上の座標を入力することで導入できます。
●Meade オートスターの場合
Object→User Object→addで上の座標を入力してから、その追加したデータを「Select」して自動導入
◇全体図 (8月16日午後10時ごろの南の空高く) ※5等星までプロットしてあります
◇拡大図 ※新星の周囲の星に書かれている数字は、その星の等級を示します。新星との比較にお使いください。
■8月17日未明の写真
8月17日午前0:45 埼玉県堂平山にて 30mmF2.5 + APS-Cカメラで撮影 露出30秒 nano tracker使用
8月17日午前1:25 埼玉県堂平山にて 135mmF3.3 + APS-Cカメラで撮影 露出30秒 nano tracker使用
雲が多く透明度も悪かったため、撮影に行くか迷ったのですが、夜半ごろに雲が切れそうだったので、月が沈むころにあわせて堂平山へ行ってきました。肉眼で3等星がギリギリ見える空で、新星を確認しながら構図を決めるのは難しく、M27と一緒に撮ろうとした135mmの写真は、M27が入っていませんでした(苦笑)。
この写真を見る限り、眼視等級では4等級くらいまで明るくなっているように見えます。ここ数日間が、明るさのピークになるのではないかと思います。
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