オーストラリア ブリスベーン在住のアマチュア天文家 テリー ラブジョイ(Terry Lovejoy)氏は、11月28日と30日(現地時間)に20cmシュミットカセグレン望遠鏡と冷却CCDカメラにより、ケンタウルス座付近を撮影した画像から、13等の彗星が出現しているのを発見しました。
この報告を受けて、世界各国の天文台などが12月1日に確認観測を行い、この彗星はC/2011W3 (Lovejoy)として確定しました。
その後の観測で、この彗星は12月16日に太陽に0.006AUまで接近することがわかりました。この数値は、太陽の光球面より内側になり、実質的に太陽に吸い込まれてしまうと考えられます。
ヨーロッパ天文連合ESAとアメリカNASAなどが打ち上げた太陽観測衛星SOHOに搭載しているLASCO(Large Angle and Spectrometric Coronagraph) カメラに、12月14日からこの彗星が写り始め、まさに太陽に吸い込まれる瞬間が12月16日00:12(世界時)の画像からみることができます。
太陽の光球面は気体であるため、場合によってはすり抜けて太陽の反対側に再び現れる可能性もまったく無いわけではありませんが、太陽の表面温度から考えると、彗星は蒸散してしまう可能性が高いと思います。
(12月16日 10:00)
近日点を通過するときに消滅すると考えられていた彗星でしたが、その後12月16日05:30(世界時)のLASCO C3カメラに再び姿を見せ始めました!。明るさから予想されていた彗星本体の大きさが、実際にはもっと大きかったものと思われます。
ただ、太陽への接近前にあったイオンティルはまったく見えなくなっており、太陽から遠ざかるにつれて急速に暗くなっていくものと思われます。また、この彗星の軌道では北半球からの観測は難しいため、日本からはその後の様子を見ることはできないと思います。
(12月16日 22:00)
一夜明けて再びSOHOの画像を確認してみると、彗星から再びダストティルらしい尾が見え始めているではありませんか!。それもかなり明るいようです。
日本からは日出前・日没後には見られないのですが、これだけの明るさがあれば、もしかすると白昼の空に見えるかもしれません。今日の太陽の南中時(12時ごろ)、彗星は太陽の右斜め下(西南西)に見えることになります(右のLASCOの画像は地球上での北が上になっていますので、ほぼ同じ位置です)。太陽を直接視野に入れないよう、十分気をつけて探してみてください。
(12月17日 7:00)
彗星は、太陽から離れた後本体はどんどん暗くなってきているようですが、太陽の反対方向に長く伸びた尾が、南半球で捉えられています。
オーストラリア ニューサウスウェールズ州ストッキンビンガル(Stockinbingal)在住のヴェロ テイバー(Vello Tabor)氏が、今朝日の出前に撮影した写真が公開されました。ライカフォーマットのデジカメと50mmレンズの組み合わせでの撮影とのことですので、かなり長い尾として見えているようですね。南半球に飛んで行きたい気持ちです(笑)。
(12月22日 9:30)
国際宇宙ステーション(ISS = Internatinal Space Station)の第30次船長 ダニエル バーバンク(Daniel C. Burbank)氏が、ISSの地球周回中に、この彗星が地球の向こう側から現れるところを映像として収めるのに成功しました。NASAのWebサイト等でその映像と画像が公開されています。
映像はこちら(NASA - Multimedia - Video Gallery)
(12月23日 9:30)
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