オーストラリアのサイディングスプリング天文台のロバート・マクノート(Robert McNaught)氏が、昨年8月に発見した彗星
(C/2006P1)が、1月上旬から急激に増光しました。1月13日ごろまでは日本でも見られましたが、その後は太陽との位置関係から南半球で見られています。近日点通過の1月13日を過ぎてからはさらに明るくなり、現在南半球で素晴らしい彗星の姿が見られています。
右の写真は、北イタリア ヴェネト州のオーストリア国境に近いコルティナ天文協会(ASSOCIAZIONE ASTRONOMICA CORTINA)のアレッサンドロ・ディマイ(Alessandro
Dimai)氏が1月8日夕方に撮影した写真です。日本より緯度が高い北イタリアでは、今回のこの彗星は非常によい条件で見ることができ、このように美しい姿が見えています。
彗星が近日点を通過する1月12日にかけては、さらに増光することが考えられます。日本では、これから数日の間がもっとも条件がよくなります。太陽が沈んだあとすぐの西の空に注目してください!。
(1月9日 12:00)
国内・海外を含む複数の方から、双眼鏡を使用して昼間の空に彗星が見えているという報告を受けています。彗星はすでに近日点を通過し、太陽との位置関係により北半球では今後は見ることができなくなりますが、反対に南半球では数日後くらいから非常によい条件で見ることができます。南半球からの報告が入り次第、またこのページでお知らせしたいと思います。
(1月15日 10:20)
オーストラリアのパース在住のRoger
GroomさんのHomePageに、パースの夜景を前にしたすばらしい写真が掲載されています!。(リンク承認済み)
(1月17日 13:00)
南半球からは、衝撃的な美しい彗星の画像が数多く寄せられていますが、日本でも、この彗星の尾の部分を見ることができました!。まだ数日はとらえることができるかもしれません。
(1月20日 11:20)
●右写真
1月19日夕方のマクノート彗星(C/2006P1)
日光戦場ヶ原にて撮影
デジカメ一眼レフ+35mmF2.8 8秒露出 |
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南半球から届くあまりにも強烈な彗星の画像に、飛行機で飛んで行きたい衝動に駆られているところです(笑)。しかし、この尾の出方なら、日本からも尾の部分だけは見えるのではないか?。そう思って19日の夕方に日光まで足を運びました。予想通り、夕方の空にマクノート彗星(C/2006P1)が太陽周辺に残していった大量のダストが、太陽に照らされて輝いているのを写すことができました!。
上の写真は金星が山影に沈むところ。薄明が進むにつれて、尾の輝きはより明るくはっきり見えるようになりました。
このはるか地平線下には彗星本体があり、南半球ではそこから伸びる美しい尾が見られているかと思うと、ほんとうにうらやましい限りです・・・。
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■太陽観測衛星SOHOの画像に彗星が写っていました
太陽観測衛星SOHO(The Solar and Heliospheric Observatory)は、アメリカNASAとヨーロッパ天文連合ESAが共同で打ち上げたもので、地球と太陽の重力が釣り合う「ラグランジュ点」と呼ばれるところを、地球と同じ周期で公転しながら、太陽を観測している人工衛星(というより人工惑星というほうが正しい?)です。アメリカ・ヨーロッパの各研究期間が開発した機材が搭載されていて、SOHOのHomePageでリアルタイムに観測された画像が写し出されています。
このうち太陽周辺のコロナの活動を観測する「LASCO」(Large Angle and Spectrometric Coronagraph)の画像は、太陽とその背景にある星や惑星が同時に映し出されていて、コロナの瞬間的な活動も見られるため、見ていてとても面白い画像なのですが、このうちC3と呼ばれる最も広い範囲を写している画像に、マクノート彗星(C/2006P1)が1月12日から1月16日まで写っていました。
●SOHO The Solar and Heliospheric Observatory
http://sohowww.nascom.nasa.gov/
●マクノート彗星(C/2006P1)の特集ページ
http://sohowww.nascom.nasa.gov/hotshots/2007_01_08/
■彗星のみつけかた
●1月9日〜13日の日没時の西の空
このファインディングチャートは東京での日没時の西の空の図です。上に日付のある水色の●が彗星の位置を示します。彗星は夕方太陽が沈んだ後の西の空に見えています。時間とともに彗星の高度は低くなりますから、なるべく西の空が地平線近くてまで開けた場所で観測してください。
彗星は十分な明るさがありますから、肉眼でも見えるかもしれませんが、双眼鏡が最も見つけるのに適しています。7倍50mmや9倍63mmの双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡を使うと、簡単に見つけることができるでしょう。望遠鏡を使うときも、彗星の位置を双眼鏡で確認してから、その位置に望遠鏡を向けて使用してください。
●右写真
1月10日夕方のマクノート彗星(C/2006P1)
筑波山 風返峠にて撮影
デジカメ一眼レフ+300mmF4 0.5秒露出 |
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ヨーロッパやアメリカなど緯度の高い地方からすばらしい写真が届けられているのを見て、日本からも撮れるはず!と9日も双眼鏡で探してみたのですが、雲に阻まれて見つけることができませんでした。
この写真を撮影した10日は、日の入りに合せて山に登り、標高をかせぐことによりなんとか撮影に成功しました。太陽が沈むとすぐに金星が肉眼でも確認でき、その位置関係から双眼鏡で彗星の位置を探すこと5分ほどで、小さく尾をたなびかせた彗星の姿を確認することができました。
彗星が見つかってから山影に沈むまでの時間は20分くらいの間しかありませんでしたが、刻々とかわるそらの色と、だんだんと見えなくなる彗星の姿をゆっくりと楽しむことができました。
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