熊本県菊池郡西合志町のアマチュア天文家 工藤 哲生氏は、12月14日午前5時ごろ20倍 口径12cmの双眼鏡で彗星を眼視観測で捜索中、うしかい座付近で9.5等の彗星状天体を発見、翌15日に発見者の工藤氏および国内の観測者によって同定観測され、国際天文連合によって彗星としての仮符号C/2002X5が付けられました。
また、香川県三豊郡大野原町の藤川 繁久氏は、12月15日午前5時35分ごろ口径16cm反射望遠鏡でこの彗星を発見し、国立天文台を通じて国際天文連合に通報されました。
国際天文連合では、両氏の発見を独立したものと認定し、この彗星を「工藤・藤川彗星」Comet C/2002 X5 (Kudo-Fujikawa)と命名しました。
その後の世界各国からの観測によりこの彗星の軌道が計算され、現在地球から1.1AU程度の距離にあり、1月2日に地球に0.98AUまで近づいたあと、1月29日に太陽直近の0.19AUまで近付くことがわかりました。
■太陽観測衛星SOHOの画像に彗星が写っています!
太陽観測衛星SOHO(The Solar and Heliospheric Observatory)は、アメリカNASAとヨーロッパ天文連合ESAが共同で打ち上げたもので、地球と太陽の重力が釣り合う「ラグランジュ点」と呼ばれるところを、地球と同じ周期で公転しながら、太陽を観測している人工衛星(というより人工惑星というほうが正しい?)です。アメリカ・ヨーロッパの各研究期間が開発した機材が搭載されていて、SOHOのHomePageでリアルタイムに観測された画像が写し出されています。
このうち太陽周辺のコロナの活動を観測する「LASCO」(Large Angle and Spectrometric Coronagraph)の画像は、太陽とその背景にある星や惑星が同時に映し出されていて、コロナの瞬間的な活動も見られるため、見ていてとても面白い画像なのですが、このうちC3と呼ばれる最も広い範囲を写している画像に、工藤・藤川彗星(C/2002X5)が1月26日朝から写りはじめました。
この画像は数時間おきに自動的に更新されますので、皆さんのパソコンからも近づいていく彗星の様子を見ることができます!。是非インターネットで彗星の姿を確かめてみてください!。
●SOHO The Solar and Heliospheric Observatory
http://sohowww.nascom.nasa.gov/
●The latest LASCO(Large Angle and Spectrometric Coronagraph)
C3 images
※画像のサイズ別に以下の3つのページがあります ページの下にあるList of individual imagesで最新の画像が見られます
256×256 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c3-256.html
512×512 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c3-512.html
1024×1024 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c3-1024.html
●SOHO Real Time Movies (LASCO C3) MPEGムービー
※画像のサイズ別に以下の3つのページがあります 1月25日後半から画像の上の方から太陽に近づいてくる様子が見られます
256×256 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/LATEST/current_c3small.mpg
512×512 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/LATEST/current_c3.mpg
◆1月28日追加
●1月28日からは、さらに太陽に近い部分を撮影しているLASCO C2画像にも写りはじめました。大迫力です!。
※画像のサイズ別に以下の3つのページがあります ページの下にあるList of individual imagesで最新の画像が見られます
256×256 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c2-256.html
512×512 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c2-512.html
1024×1024 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c2-1024.html
●SOHO Real Time Movies (LASCO C2) MPEGムービー
※画像のサイズ別に以下の3つのページがあります 1月27日後半から画像の上の方から太陽に近づいてくる様子が見られます
256×256 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/LATEST/current_c2small.mpg
512×512 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/LATEST/current_c2.mpg
◆1月30日追加
●上のLASCO C2画像の範囲からすでに出ていますが、1月27日22時23分から1月29日2時39分(世界時)の画像まで写っています。
●SOHOサイト内にこの彗星の特集ページができました。
SOHO Observes Comet (January 27, 2003)
http://sohowww.nascom.nasa.gov/pickoftheweek/old/27jan2003/
●彗星が近日点を通過して進行方向が変わったため、尾の延び方が変わっていることに注目してください。
C/2002 X5 彗星 軌道要素(放物線)
近日点通過 = 2003/01/29.0034 (TT)
近日点距離 = 0.190047 AU
近日点引数 = 187.5659
昇交点黄経 = 119.0686 (2000.0)
軌道傾斜角 = 94.1519
(Calcurated Brian G. Marsden from MPEC 2003-B22)
■彗星のファインディングチャート
彗星は現在、うしかい座からヘルクレス座に向けて移動していますので、夕方の西空低いところと、明け方の東の空の高いところにみることができます。どの星図もクリックするとプリントアウトできる大きさになります。
●1月2日〜1月11日の明け方の北東の空(6:00)
彗星は3時00分ごろ北東の地平線から現れます。彗星が確認できる高さになってから夜明けまでの時間が短いので、なるべく早い時間に彗星を見つけるようにしましょう。3等星程度まで見える星空であれば、双眼鏡を使ってヘルクレス座の星の並びからもそのまま地平線に向かって視野を地平線に下げれば入ってくるはずです。望遠鏡の場合は、チャートを参考にファインダーで周囲を探してみてください。空が明るくヘルクレス座が確認できない場合は、こと座のベガ(αLyr)やへびつかい座のラスアルゲチ(αOph)・はくちょう座のアルビレオ(βCyg)の位置を参考に、双眼鏡などでその中間付近を探してみてください。
1月10〜11日には、わし座ζ星に接近しますので、容易に見つけることができるでしょう。そのころには明るさももっと増していることと思います。これから楽しみですね!。
●1月12日〜1月18日の明け方の北東の空(6:00)
彗星は薄明開始と同時くらいにの地平線から現れます。彗星が確認できる高さになってから夜明けまでの時間が短いので、なるべく早い時間に彗星を見つけるようにしましょう。夏の大三角のベガ(αLyr)とデネブ(αCug)や、へびつかい座のラスアルゲチ(αOph)を参考にして双眼鏡を使って探してみてください。望遠鏡の場合は、チャートを参考にファインダーで周囲を探してみてください。
彗星の座標(日本時間午前6時00分の位置) |
日付 |
赤経(R.A.) |
赤緯(Dec.) |
1/11 |
19h14m.5 |
+13゜13' |
1/12 |
19h19m.8 |
+11゜39' |
1/13 |
19h25m.0 |
+10゜05' |
1/14 |
19h30m.1 |
+08゜30' |
1/15 |
19h35m.1 |
+06゜53' |
1/16 |
19h39m.9 |
+05゜15' |
1/17 |
19h44m.7 |
+03゜35' |
1/18 |
19h49m.4 |
+01゜54' |
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天体自動導入望遠鏡をお使いの方は、左の表から、各日付の座標を入力してください。時間による差はほとんど考慮しなくてもOKです。もし視野をのぞいて彗星が見つからない場合は、その周囲を探してみてください。
●Meade オートスターの場合
テンタイ→ユーザーテンタイ→ツイカで右の座標を入力してから、その追加したデータを「センタク」して自動導入
※タイヨウケイ→スイセイ(コメット)で軌道要素を入力する方法では、正確な位置を計算できません。上の方法でその日ごとに入力してください。
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