2002年11月6日に、アメリカNASAのJPL(ジェット推進研究所)のNEAT(Near-Earth Asterios Tracking:地球接近小惑星追跡)チームが、ハワイのハレアカラにある1.3m望遠鏡によるCCD画像から、17.3等の彗星状天体を発見しました。同日、ヨーロッパのアマチュア観測家などにより同定観測が行われ、国際天文連合によって彗星としての仮符号C/2002V1が付けられ、この彗星を「NEAT彗星」Comet
C/2002 V1 (NEAT)と命名しました。
その後の世界各国からの観測によりこの彗星の軌道が計算され、2月18日に太陽直近の約0.1AUまで近付くことがわかりました。2月17日未明(日本時間)のヨーロッパからの観測報告では-0.5等で観測されています。明日18日の朝、近日点通過直前の彗星をみる最後のチャンスがあります!。-2等程度まで明るくなった彗星を朝焼けの中で確認できるかもしれません!。近日点を過ぎたあとは南天に移動するため、日本からは観測が難しくなります。
■太陽観測衛星SOHOの画像に彗星が写っています!
太陽観測衛星SOHO(The Solar and Heliospheric Observatory)は、アメリカNASAとヨーロッパ天文連合ESAが共同で打ち上げたもので、地球と太陽の重力が釣り合う「ラグランジュ点」と呼ばれるところを、地球と同じ周期で公転しながら、太陽を観測している人工衛星(というより人工惑星というほうが正しい?)です。アメリカ・ヨーロッパの各研究期間が開発した機材が搭載されていて、SOHOのHomePageでリアルタイムに観測された画像が写し出されています。
このうち太陽周辺のコロナの活動を観測する「LASCO」(Large Angle and Spectrometric Coronagraph)の画像は、太陽とその背景にある星や惑星が同時に映し出されていて、コロナの瞬間的な活動も見られるため、見ていてとても面白い画像なのですが、このうちC3と呼ばれる最も広い範囲を写している画像に、NEAT彗星(C/2002V1)が2月17日朝から写りはじめました。
2月17日朝の時点で、画面の中央上部ギリギリのところに、巨大な光の玉のように写っています。これからだんだんと太陽に近づいて行く様子を見ることができるはずです。この画像は数時間おきに自動的に更新されますので、皆さんのパソコンからも近づいていく彗星の様子を見ることができます!。是非インターネットで彗星の姿を確かめてみてください!。
●SOHO The Solar and Heliospheric Observatory
http://sohowww.nascom.nasa.gov/
●The latest LASCO(Large Angle and Spectrometric Coronagraph)
C3 images
※画像のサイズ別に以下の3つのページがあります ページの下にあるList of individual imagesで最新の画像が見られます
256×256 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c3-256.html
512×512 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c3-512.html
1024×1024 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/realtime-c3-1024.html
●SOHO Real Time Movies (LASCO C3) MPEGムービー
※画像のサイズ別に以下の3つのページがあります 1月25日後半から画像の上の方から太陽に近づいてくる様子が見られます
256×256 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/LATEST/current_c3small.mpg
512×512 http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/LATEST/current_c3.mpg
※2/18 8:00追記 : ワシントンが大雪警報による上記サイトの更新停滞は解消されました。
■上記すべてのURLは、各Web管理者にリンク承諾を得て掲載しています。
八ヶ岳に沈むC/2002V1(NEAT)彗星(85mmF2レンズ)
●撮影データ
2003年2月7日 18:15〜18:34 フジ800Ace使用
撮影地:長野県南牧村 野辺山高原
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300mmF4カメラレンズによるC/2002V1(NEAT)彗星 |
2月7日のC/2002V1(NEAT)彗星です。太陽に近づいてかなり活発な尾の活動を見ることができます。野辺山では薄明が終わりきらない夕空の中で、八ヶ岳に沈むまでの間の時間との戦いです。肉眼での確認は難しいかもしれませんが、双眼鏡ではファインディングチャートを参考にすると薄明の中でもすぐに彗星とわかる天体を見つけることができます。
まだ数日は彗星を追いかけることができます。是非皆さんも双眼鏡片手に彗星探ししてみてくださいね。
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仕事の合間をぬって1月28日に伊豆半島の達磨山まで出かけて撮影してきたC/2002V1(NEAT)彗星です。西からの風が非常に強く、彗星を遮るように常時雲が流れていたため、非常に難しい撮影条件でしたが、尾を引く彗星の姿をなんとかとらえることができました。双眼鏡ではファインディングチャートを参考にするとすぐに彗星とわかる天体を見つけることができます。
これから1週間ほどで太陽にどんどん接近して急成長することも考えられます。月の条件などを考えても今週末から来週がいちばんの見頃となるかも知れません。是非皆さんも双眼鏡・望遠鏡片手に彗星探しをやってみてください。
●撮影データ
2003年1月28日
18:02〜19:40までの2〜5分露出の写真から4枚をコンポジット
300mmF4レンズ開放 フジ800Ace使用
撮影地:静岡県土肥町 達磨山
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C/2002 V1 彗星 軌道要素
近日点通過 = 2003/02/18.29632 (TT)
近日点距離 = 0.0992690 AU
近日点引数 = 152.16680
昇交点黄経 = 64.08780 (2000.0)
軌道傾斜角 = 81.72076
離心率 = 0.992690
周期 = 約40,000年
(Calcurated Brian G. Marsden from MPEC 2003-C03)
■彗星のファインディングチャート
●2月18日の日の出直前の東の空(6:30)
近日点通過時の彗星は、−2等程度まで明るくなることを予想され、日の出直前の東の空で見えるかもしれません。彗星が昇ってきてから太陽が昇るまでは30分ほどしかありません。地平線近くまで東の空の開けた場所で彗星を探してみてください。わし座のアルタイルから、そのまままっすぐ地平線に落としたあたりから彗星が昇ってくるはずです。はくちょう座のデネブ・金星・水星も位置を確認するのに好都合の位置にあります。これらの星の位置とチャートを参考に双眼鏡などを使って彗星を見つけてください。
彗星の座標(日本時間6時30分の位置) |
日付 |
赤経(R.A.) |
赤緯(Dec.) |
2/18 |
21h42m.1 |
-09゜24' |
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天体自動導入望遠鏡をお使いの方は、左の表から、各日付の座標を入力してください。時間による差はほとんど考慮しなくてもOKです。もし視野をのぞいて彗星が見つからない場合は、その周囲を探してみてください。
●Meade オートスターの場合
テンタイ→ユーザーテンタイ→ツイカで右の座標を入力してから、その追加したデータを「センタク」して自動導入
※タイヨウケイ→スイセイ(コメット)で軌道要素を入力する方法では、正確な位置を計算できません。上の方法でその日ごとに入力してください。
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