栃木県宇都宮市のアマチュア天文家 鈴木 雅之氏は、7月25日と27日、ヨーロッパ天文連合ESAとアメリカNASAなどが打ち上げた太陽観測衛星SOHOに搭載しているSWAN(Solar Wind Anisotropies=太陽風原子逆回帰現象)の観測画像から、7月13日〜27日にかけて彗星が出現しているのを発見しました。
SWAN画像から求められた位置をアメリカニューメキシコ州クラウドクロフトのアラン・ヘール(A. Hale)氏(ヘール・ボップ彗星の発見者)と、オーストラリア リーディクリークのJ.
ブロートン(J. Broughton)氏が捜索し、エリダヌス座付近に9.5等の彗星を確認しました。この彗星は国際天文連合(IAU 本部ベルギー)により、名称未定のまま(C/2002
O6)として登録されました。発見者が鈴木氏になるかSOHOになるかは、これから検討されるものと思われます。
その後の世界各国からの観測によりこの彗星の軌道が計算され、現在地球に非常に近いところを移動中で、8月9日に地球に0.26AUまで近づいたあと、9月9日に太陽に最も近付くことがわかりました。地球に非常に近いため、大きく広がった状態で非常に早い速度で北東に進んでいます。双眼鏡など視野の広い光学系では6等程度で見えているようです。是非皆さんも観測してみてください。
8月8日朝に当社ベランダからミヤウチSCS60iで眼視観測してみましたが、薄雲がありなんとか肉眼でオリオン座のベラトリクスが確認できる程度の空の状況で、彗星の存在をはっきりと確認できました。空の条件の良いところでは、もっと彗星らしく見えるのではないでしょうか?。
C/2002 O6 彗星 暫定軌道要素(放物線)
近日点通過 = 2002/09/09.418 (TT)
近日点距離 = 0.49467 AU
近日点引数 = 78.703
昇交点黄経 = 330.959 (2000.0)
軌道傾斜角 = 58.666
(Calcurated Brian G. Marsden from MPEC 2002-P10)
■彗星のファインディングチャート
彗星は現在、オリオン座からふたご座にかけて移動していますので、明け方の東の空にみることができます。なるべく東の空が地平線近くまで開けている場所で観測してください。どの星図もクリックするとプリントアウトできる大きさになります。このチャートは午前3時ごろの東の空の様子を現しています。
彗星を見つけるときは、なるべく視野の広い(倍率の低い)双眼鏡や望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、彗星はファインダーでも十分見つけられる明るさですから、チャートを参考にその周囲を探してみてください。
●8月8日〜8月17日の明け方の東の空(3:00)
彗星は2時ごろ東の地平線から現れます。比較的明るい星の多い領域を通過していますので、チャートの星を実際の視野と照らし合わせながら彗星の位置を確認してください。特に彗星と地球との距離が近いため、かなり大きく広がっている可能性があります。なるべく倍率の低い光学系で探したほうが見つけやすいでしょう。
8月8日は、オリオン座の右肩の星ベラトリクスのすぐ近くに見えますので、すぐ確認できると思います。また、8月15日はふたご座のカストルをかすめていきます。
彗星の座標(日本時間午前3時の位置) |
日付 |
赤経(R.A.) |
赤緯(Dec.) |
8/8 |
05h23m.5 |
+07゜33' |
8/9 |
05h41m.2 |
+11゜41' |
8/10 |
05h59m.6 |
+15゜46' |
8/11 |
06h18m.6 |
+19゜40' |
8/12 |
06h37m.9 |
+23゜19' |
8/13 |
06h57m.1 |
+26゜36' |
8/14 |
07h16m.2 |
+29゜30' |
8/15 |
07h34m.7 |
+31゜59' |
|
天体自動導入望遠鏡をお使いの方は、左の表から、各日付の座標を入力してください。時間による差はほとんど考慮しなくてもOKです。もし視野をのぞいて彗星が見つからない場合は、その周囲を探してみてください。
●Meade オートスターの場合
テンタイ→ユーザーテンタイ→ツイカで右の座標を入力してから、その追加したデータを「センタク」して自動導入
※タイヨウケイ→スイセイ(コメット)で軌道要素を入力する方法では、正確な位置を計算できません。上の方法でその日ごとに入力してください。
|
|