アメリカ オハイオ州立大学天文学部が、主に系外銀河に出現する超新星の検出を目的として進められているASAS-SN(All-Sky Automated Survey for Supernovae)プロジェクトが、チリのセロトロロ天文台に設置した口径14cm望遠鏡で、7月19日にくじら座付近を撮影した画像に移動する彗星のような天体があるのを検出しました。
この発見を受け、同日オーストラリア北部ケアンズ在住のアマチュア天文家ジョセフ ブリマカム(Joseph Brimacombe)氏が発見位置を望遠鏡で見てみたところ、彗星があることを眼視観測で確認し、その後世界各国の天文台でも確認され、この天体は新彗星としての確定符号C/2017 O1(2017年7月後半に発見された1番目の彗星)がつけられました。
7月24日までの観測データから、現在彗星は約1.9AUの距離にあることがわかり、10月14日ごろに太陽に約1.5AUまで接近することがわかりました。さらに、太陽に近づくのと同時に地球にも約0.7AU程度まで最接近し、日本からは深夜の天頂近くに見ることができます。
但し、まだ距離が遠く観測期間も短いため、正確な軌道は求められていません。また、世界各国の確認観測では、11.9等から16.0等と明るさにばらつきがあり、現時点ではこの彗星がどの程度の大きさがあるかはわかりませんが、現在見えている明るさと軌道から単純に予想した場合、6等程度と肉眼でも見えるほどに明るくなるかもしれません。
比較的明るい天体のため、セミプロやアマチュアからの観測報告が多く入っており、イタリアのアマチュア天文家Rolando Ligustri氏が、オーストラリアのサイディングスプリングに設置されている遠隔操作望遠鏡プロジェクトiTelescoppe.netの50cm反射望遠鏡で撮影した画像をこちらで公開しています。また日本では、埼玉県上尾市の門田 健一さんが、25cm反射望遠鏡とCCDによる観測で12等と報告しています。
(2017年7月25日 16:30) |
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近日点通過まで1ヶ月を切り、明るく見えているという報告もあったため、晴れ間をついて山に登ってみました。強い風と薄雲で解像度の低い写真になってしまいましたが、なんとか撮影できました。この写真からみた感じでは10等程度でしょうか?。思ったより明るくなっていない感じです。まだ近日点通過まで3週間ありますので、引き続き注目していきましょう。
(2017年9月21日 11:00) |
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C/2017 O1(ASASSN)彗星 軌道要素
近日点通過 = 2017/10/14.78316 (TT)
近日点距離 = 1.498724 AU
近日点引数 = 20.90654
昇交点黄経 = 25.81119 (2000.0)
軌道傾斜角 = 39.84962
離心率 = 0.9966887
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(Ephemeris from M.P.E.C. 2017-S57 Culculated by G. V. Williams ) |