土星食とは?
食欲の秋だからというわけではありませんが、先月の月食につづいて、今月も土星の「食」があります。ここでは、まず天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星を食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。
有名なところでは、「日食」や「月食」があります。日食は、地球上から見かけ上太陽の方向に月が入り込んでくることによって、太陽が月に隠される現象ですね。月食は、太陽の光によって照らされている月が、地球の陰の中に入ることによって見えなくなる現象です。これらは、宇宙空間での位置関係が相互に直線上に並ぶことによって起こります。
一方、「星食」と呼ばれる現象があります。別名「掩蔽」(えんぺい)とも呼ばれるこの現象は、日食と同じ仕組みで月がその向こう側にある星を隠す現象を言います。もっと広い意味では、月以外の太陽系の天体にも適応されます。ですから、惑星や小惑星などによる「掩蔽」もあるわけですね。今回は土星が月に隠されるというわけです。
月は毎日位置を変えますから、その時間ごとに少しずつ天空上を動いています。その時に、その後ろ側にある星たちが月によって隠されるわけです。さらに、「接食」という掩蔽のスペシャル版のような現象もあります。接食については、1994年のスピカの接食をご覧ください。
いつ、どう見えるのでしょう?
今回の土星食は,10/16の夜明け前3:00ごろから起こります。満月の月ですから、前日の日が沈むと同時に東の空から昇ってきます。昇ってきたときは、すぐ左下に土星が見えているはずです。それが、時間とともにだんだん近づいていく様子から見てみましょう。
月に隠される時間は、月のどこに隠されるのかが変わるため、地球上の場所によって異なります。月に隠されるのは3:36〜3:42ごろ・月の裏側を通って再び出てくるのが4:32〜4:37です(概ね、南に行くほど遅い時間に隠れ、早い時間に出現します)。明け方の現象のため、地球の自転の関係で、西にある地方ほど月が高いところに見えるので、観測しやすくなります。
月が細いときの掩蔽は肉眼でも楽しめるのですが、今回は月が満月すぎということで、肉眼では土星が隠れる瞬間はみることができないと思います。月が細く、1等星などの明るい星が隠される食では、肉眼でも「ふっ」と星が隠れる瞬間を楽しむことができます。今回は、輪の開いた土星が徐々に月に隠れる様子を、天体望遠鏡で見てみましょう。
望遠鏡は、小口径の望遠鏡でも充分楽しめます。土星の輪は8cmくらいの屈折望遠鏡からはっきりと確認できるようになります。大きければ大きな望遠鏡ほど、土星の細かい模様や輪にある隙間「カッシーニの間隙」を見ることができるようになります。
←ビクセン ボイジャー80C 8cm屈折経緯台
土星食記念特価 \43,800
土星を焦点距離の短いアイピース(50倍以上がおすすめ 望遠鏡の口径(mm)と同じくらいの倍率(15cmなら150倍)で見るのが理想)で観測して追いかけていけば、月が近づいてきて隠される様子を連続してみることができるでしょう。倍率が高くなるので、赤道儀式でなおかつモータードライヴがついているものがおすすめです。もちろん、Meade LX200のような自動追尾可能な経緯台もOKです。
Meade LX200-20 自動導入コンピュータ内蔵望遠鏡 →
20cmシュミットカセグレン式 \398,000
最近の天文現象・新天体情報等へ戻る