LINEAR彗星(252P) 深夜の南の空高くに10等級

 アメリカ マサチューセッツ工科大学付属リンカーン研究所の地球接近小惑星(LINEAR = Lincoln Laboratory Near-Earth Asteroid Research)プロジェクトチームが、2000年4月7日に発見した彗星(252P)が、3月22日に地球に約0.036AUまで大接近しました。この彗星は、他の多くの周期彗星と同じく、約5.3年の周期で木星と太陽のまわりを周る楕円軌道を持っていますが、過去の軌道を遡ると、たびたび地球や火星・木星に接近してその軌道を変えていることがわかっています。このLINEAR彗星(252P)の最接近の直前に地球に接近したPANSTARRS彗星(C/2016 BA14)も、この彗星から分離したものではないかと考えられています。
 今回の地球への接近と前後して、3月中旬ごろから「肉眼でも見えた」という報告が南半球の観測者から上がるようになりました。日本でも3月下旬ごろから見え始めていたのですが、月明の影響やお天気によりなかなか見ることができず、ようやく今朝見ることができました。肉眼で見ることはできませんでしたが、FH-842RF双眼鏡では簡単にその存在を確認できました。写真では容易に写り、へびつかい座の球状星団M14と並んでよい眺めになりました。中心の核の部分の明るさはあまり明るくないのですが、その周りを取り巻くイオンによる緑色の光が強く、地球に接近したことによりそれが強調されて明るく見えているのかもしれません。
 2016年4月6日のLINEAR彗星(252P)
セレストロンNexstar Evolution-J + PV102E61屈折望遠鏡
APS-Cミラーレスデジカメ
30秒露出 埼玉県堂平山
 現在、彗星は地球から約0.11AU・太陽から約1.0AUの位置にありますが、この後急速に地球から遠ざかっていきます。これから劇的な変化は起こらないかもしれませんが、まだしばらくは双眼鏡や望遠鏡で見ることができる明るさを維持します。是非注目していきましょう。

(2016年4月6日)

 しばらく間が空きましたが、機材テストで富士山に行ったついでに、写真に撮ってみました。まだ地球から約0.3AU・太陽から約1.3AUと比較的近いところにいるのですが、イオンの活動がだいぶ収まったようで、当初の明るさに戻ったようです。この写真からは、中心部は10等程度のようです。残念ながら、双眼鏡では存在は確認できませんでした。ただ、写真に撮るとまだまだ青いイオンに包まれた様子をみることができます。
 16年後の2032年3月ごろ、再び地球に接近することになりますが、そのときにはどんな姿見せてくれるでしょうか?。

(2016年5月13日)

 2016年5月13日のLINEAR彗星(252P)
セレストロンNexstar Evolution-J + PV102E61屈折望遠鏡
APS-Cミラーレスデジカメ
30秒露出 富士山須走口五合目

●5月16日〜6月5日の午前1時00分ごろの南の空高く


カラー版


プリントアウト用

 このファインディングチャートは東京での深夜1時00分ごろの南の空を見上げた図です。大阪では約20分後・福岡では約40分後がほぼ同じ空になります。これより早い時間や遅い時間に見るときには、チャートを見えている星と対照するように回転して使用してください。チャートには4等星までの星を載せています。日付のある水色の●が、その日の彗星の位置を示します。地球からは少しずつ遠ざかっていくため、4日おきの位置を書き込んでいます。
 LINEAE彗星(252P)は、3月15日に太陽に・続いて3月22日に地球に最接近し、現在は地球からも太陽からも遠ざかって行きます。この時期彗星はへびつかい座をゆっくり移動していて、深夜1時ごろの空で最も高いところに見えます。今週〜来週は月明の影響があるため、あまり観望には適しませんが、再来週以後、月が昇ってくる前に狙えば、見つけることができるでしょう。彗星の明るさは、10等とかなり暗くなっていますが、写真には比較的写りやすいようです。

 彗星を見つけるときは、下に掲載した当社オリジナル双眼鏡など、なるべく視野の広く(倍率の低く)口径の大きな双眼鏡や、2インチ広視界アイピース焦点距離の長いアイピースを使って倍率を低くした望遠鏡で探してください。望遠鏡の場合は、天体自動導入装置があると大変便利です。

 天体自動導入望遠鏡をお持ちの方は、右の座標を入力すると自動導入ができます。

●Meade AutoStarおよびAutoStar IIの場合
Object→User Object→addで座標を入力してデータを追加してから、その追加したデータを「Select」すると自動導入します。

●Meade AutoStar III(LSシリーズ)の場合
Objectモード(天体の選択モード)でコントローラの一番下にある「MODE」キーを押して現在の座標を表示してから「GOTO」キーを押し、目標の座標を入力してから「ENTER」キーを押すと、目標の座標を自動導入します。

●Sky-Watcher SynScan(日本語版)の場合
カタログの選択モードでユーザーキー(9キー)を押し、「座標の入力」を選択→「1)RA-Dec」で1キーを押して座標入力→任意の番号に保存してから、その番号のデータを「座標の取得」で呼び出し、確認キーを押して自動導入します。

●NexStar+(日本語版)の場合
Menuキー(7キー)を押して、「マニュアルにて赤経 赤緯を設定・移動」を選択して座標を入力し、Enterキーを押して自動導入します。

●NexStar Evolution・COSMOS 90 Wifiの場合
Celestron SkyPortalのSearchからComet→252P(LINEAR)[ABC順に並んでいます]を選び「Goto」をタップすると自動導入します。

LINEAR彗星(252P)の座標
(日本時間1時00分)

日付 赤経(R.A.) 赤緯(Dec.)
5/16 17h01m.7 +08゜53'
5/17 17h00m.6 +08゜49'
5/18 16h59m.5 +08゜45'
5/19 16h59m.4 +08゜38'
5/20 16h57m.4 +08゜34'
5/21 16h56m.3 +08゜28'
5/22 16h55m.3 +08゜21'
5/23 16h54m.3 +08゜14'
5/24 16h53m.3 +08゜07'
5/25 16h52m.3 +07゜59'
5/26 16h51m.3 +07゜50'
5/27 16h50m.4 +07゜42'
5/28 16h49m.5 +07゜33'
5/29 16h48m.6 +07゜23'
5/30 16h47m.7 +07゜13'
5/31 16h46m.8 +07゜03'
6/1 16h46m.0 +06゜53'
6/2 16h45m.2 +06゜43'
6/3 16h44m.4 +06゜32'
6/4 16h43m.7 +06゜20'
6/5 16h43m.0 +06゜09'

LINEAR彗星(252P)軌道要素

近日点通過 = 2016/03/15.27214(TT)
近日点距離 = 0.9960739 AU
近日点引数 = 343.31582
昇交点黄経 = 190.95202 (2000.0)
軌道傾斜角 = 10.42328
離心率 = 0.9960739
(Ephemeris from M.P.E.C. 2016-F43  Culculated by G. V. Williams )

●このコーナーより商品をお申し込みの場合、代金のお支払いはクレジットカードでの決済または代金引換・銀行振込・郵便振替・コンビニ決済(NP後払い)・ショッピングクレジット(分割払い)がお選びいただけます。はじめてご利用の方や、決済方法など詳しいことをお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。

彗星の観望に最適な当社オリジナル双眼鏡ラインナップ

独自の新設計で10倍50mmで従来の7倍50mmと同等の視野を確保。天体観測から昼間の風景まで、広い視野ですっきりした像が得られる自信作!。
スターゲイズオリジナル FZ-RFL双眼鏡
10倍50mm  \8,640
8倍40mm  \7,920
明るく広い視野が得られ天体観察に最適な7倍50mmのスペックで、天体観測から昼間の風景まで幅広くお使いいただける双眼鏡です。

新しい「標準双眼鏡」を目指して、1ランク上の明るさとコントラストとコンパクト設計を兼ね備えた意欲作!

簡単アンケートにご協力下さい

 このページの内容は おもしろかった ふつう おもしろくなかった
  ためになった ふつう ためにならなかった
  わかりやすかった ふつう わかりにくかった
 この彗星を 見たいと思う わからない 見ないと思う
 望遠鏡や双眼鏡を 望遠鏡を持っている 双眼鏡をもっている どちらも持っている
  どちらも持っていない    
 ひとことどうぞ

このボタンを押しても、あなたの個人情報などは送信されません


最近の天文現象・新天体情報等へ戻る