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10月下旬に入ってから、太陽の活動が活発になっています
太陽は、約11年の周期で活動が盛んになったり衰えたりします。その周期のピークは2000年前後にあり、その後少しずつ減衰傾向にありますが、ここ数日巨大な黒点の出現など、活動を活発化させています。
太陽の活動は、地球上の私たちの生活にも大きく関わります。太陽の活動が活発になると、太陽から放出された「宇宙線」と呼ばれる大量の粒子の影響で地磁気の異常が発生したり、テレビやラジオの電波を妨害したりします。また、南極や北極で見られるオーロラが、活発に出現したりします。
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写真左
10月26日に撮影した太陽面
Meade
LX200GPS-25+金属皮膜太陽フィルター使用
台風の影響で気流が悪く、あまり良い画像ではありませんが・・・。 |
●太陽観測衛星の画像も見てみよう!
太陽観測衛星SOHO(The Solar and Heliospheric Observatory)は、アメリカNASAとヨーロッパ天文連合ESAが共同で打ち上げたもので、地球と太陽の重力が釣り合う「ラグランジュ点」と呼ばれるところを、地球と同じ周期で公転しながら、太陽を観測している人工衛星(というより人工惑星というほうが正しい?)です。アメリカ・ヨーロッパの各研究期間が開発した機材が搭載されていて、SOHOのHomePageでリアルタイムに観測された画像が写し出されています。
◆SOHO The Solar and Heliospheric
Observatory
http://sohowww.nascom.nasa.gov/
上記のURLで表示されるトップページ左のDATAの中にある"Latest
Images"をクリックし、中央左よりにある"Near
real time images"すると、最新の画像を見ることができます。是非インターネットで太陽の姿を確かめてみてください!。
この画像のうち、上にある4枚の画像は、EIT(Extreme ultraviolet Imaging Telescope=極紫外線観測望遠鏡)による画像です。名前の通り、私達が通常観察する紫外線よりずっとずっと波長の短い紫外線を観測するものです。この波長の光は地上では大気によって拡散されてしまってほとんど観測することができません。それが宇宙から太陽を観測することによって可能になったわけです。
具体的には、鉄とヘリウムの吸収線がこの波長にあり、171Å(オングストローム)と195Å・284Åの3種類が鉄で、304Åがヘリウムになります。EITのそれぞれの数値はこの波長を現しています。
太陽は原子核融合反応によりそのエネルギーを発生していますので、その融合が進んで行くと地球上で言うところのヘリウムになり、さらに鉄になり、さらに重金属になり・・・という反応を繰り返しています。その様子をこの
吸収線を観測することにより捉えることができるわけです。当然ヘリウムによる活動が最も活発になるので、非常に大きな変化を見ることができるわけです。
※オングストロームは主に光の波長をあらわす長さの単位です。主にアメリカで一般に使われている3桁区切りのメートル法とは異なるため、アメリカでは3桁区切りのnm(ナノメータ)で波長を現すこともあります。1nm
= 1-9m(1のマイナス9乗)で、1Åは1-10m(1のマイナス10乗)です。
また、下の画像のうち右の2枚は、太陽から放出されるコロナの様子を撮影するLASCO((Large Angle and
Spectrometric Coronagraph=広角分光コロナグラフ)の画像です。青い画像ののLASCO C3が最も広い範囲を撮影していて、赤い画像のLASCO
C2はそのさらに内側の太陽に近いところを撮影したものです。どちらも、中央の円盤の部分は明る過ぎる太陽が写りこまないように隠している部分です。
これらの画像の下にある"REAL TIME MOVIES"から、LASCO
C2およびC3の画像をみると、激しく吹き出すコロナの背景に星空が動いていく(実際には地球が動いている)のを見ることができますが、よくみるとその星空の動きと逆に動く明るい星が1つあることに気付くはずです。これがちょうど太陽の反対側に回り込んでいる水星の姿です。
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