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◆当日の画像 岡山県岡山市にて撮影

●Hα線静止画合成連続画像
CORONADO P.S.T. + 1/2インチCCDカメラにて撮影

第1接蝕〜第2接蝕
(20秒おき 31.6MB)

第3接蝕〜第4接蝕
(20秒おき 33.2MB)

全過程ダイジェスト
(約5分おき 44.2MB)
●可視光画像
Meade ETX-90鏡筒 + 金属皮膜太陽フィルター + APS-C一眼レフカメラ 温度変化でピントがずれてしまいました...

7:27

10:29

13:30
●一眼レフカメラの望遠レンズで撮影
300mmF4 + 1.7倍テレコンバーター + 小型望遠鏡・双眼鏡用太陽観測フィルター + APS-C一眼レフカメラ

9:59

11:19

13:09

 今回の金星の太陽面通過は、2004年のときに天候が悪くて見られなかったため、もし天候が悪ければ遠征する覚悟で最初から臨んでいました。ちょっと天気が悪いくらいなら、富士山五合目まで行けばなんとかなると思っていたのですが、3日前になって、あらまぁ、台風ですよ・・・。 
 この時点で関東ではかなり厳しいことが予想できたので、まずは確率的に最も晴れが望める北海道遠征を計画したのですが、気象データを収集していくと、どうも沿海州からの雲が6日にかかりそうな気がする。一方、台風の西側には、大陸から乾燥した空気が入り込んでいて、特に北西側は水蒸気の少ない大きな晴天域がある。ただ、その後方からは梅雨前線を作る低気圧になる雲も見える。あまり西に行き過ぎても曇るかも・・・。問題は台風の速度。速度が遅ければ九州がベスト。速ければ中国・四国?。一応九州行きを想定した計画も作りつつ、前日夜に車で西進する方向で、あとは気象データとにらめっこ・・・。 
 前日午後、台風の動きが少し速かったため、岡山・広島あたりが風向き的に雲がいちばんできにくい場所になりそうだ。夜通し高速を走り、早朝に岡山に到着して撮影しました。 撮影場所ではツバメが子育ての真っ最中で、上記のHα線連続画像のダイジェスト版にも、1コマだけゲストとして登場しています(笑)。
 今回、連続撮影に備えてドイツ型赤道儀を使用して撮影しているため、Hα線連続画像と望遠鏡を使った可視光画像では常時上が北の状態になっており、下のシミュレーション画像とは異なり太陽に対してほぼ直線に移動しています。望遠レンズで撮影した写真は、地上から見上げた状態で撮影していますので、下のシミュレーション画像と同じ位置に金星が写っています。望遠鏡を使った可視光画像では、撮影中にピント位置が移動してしまったり、望遠鏡が上を向きはじめた南中前に、チップ上にゴミが落ちてしまっているのに気づかないまま撮影してしまいました(苦笑)。

 次回の金星の太陽面通過は、下記にも書いたとおり105年後ですが、水星の太陽面通過は2016年5月9日と2019年11月11日にどちらもヨーロッパ・アフリカを中心に見られます。日本ではその次の2032年11月13日に見られます。


 2012年6月6日(水)白昼、8年ぶりとなる金星の太陽面通過(日面通過)が見られます。前回2004年6月8日は、残念ながら北海道の一部を除いて全国的に雲に覆われ、雲間から見える太陽に真っ黒な金星をなんとか見られただけでしたが、さらに遡ると日本では1874(明治7)年12月9日以来、138年ぶりの現象となります。そして次回起こるのは、105年後の2117年12月11日になります。


 金星の太陽面通過は、太陽・金星・地球が一直線上に並び、見かけ上太陽の手前に金星が入り込んでくることにより、太陽面に金星が黒く現れる現象です。位置関係としては、金星の代わりに月が入り込む日食と同じですが、月は地球のまわりを約1カ月かかってまわっているのに対して、金星は地球と一緒に太陽のまわりをまわっていて、約19カ月ごとに地球の内側を通過していきますから、起こる確率は日食に対して単純計算で約1/19となる、たいへんめずらしい天文現象です。

 2003年5月7日には、金星のさらに内側をまわる水星が同様に太陽面を通過していく水星の太陽面通過も見られました。その様子はこちらのページで紹介しています。

今回の金星の太陽面通過が起こるしくみ
灰・黄・緑・赤の線はそれぞれ水星・金星・地球・火星の軌道
太陽と各惑星の大きさは解りやすいように大きくしてあります
太陽面通過は、地球の軌道面と内惑星の軌道面が交差する昇交点・降交点付近で起こります
水星は5月9日前後と11月11日前後 金星は6月8日前後と12月10日前後

●コラム● 地球を知るには宇宙を見よ。文明開化と天文現象の意外な関係

 明治初期、長らく鎖国を続けてきた日本にも、海外からいろいろな文明や文化がもたらされはじめました。明治5年にはそれまで使用されてきた暦(こよみ)が、太陰暦から太陽暦に変わったことなど、天文の分野でも大きな変化があったころです。

 明治7年、海外から見ればまさに「期待のニッポン」で金星の太陽面通過が起こるということで、当時外国人の多く居留していた横浜・神戸・長崎に、海外から観測隊が日本にやってきました。当時、日本でも天体観測を行っていた人はいましたが、西洋式による天体観測は行われておらず、この観測は日本の天文史上に残る歴史的な天体観測となったといえます。この観測により、島国だった日本の地球上での位置が、より正確に測定されたことは非常に重要な出来事です。これを記念して、それぞれの観測地点には記念碑などが建てられています。お近くの方は、以下のページを参考に是非足を運ばれてはいかがでしょうか。

 ★横浜市紅葉ヶ丘 金星太陽面経過観測記念碑(横浜市西区HomePageより)
 ★神戸市諏訪山公園 金星台 ビーナスブリッジ 金星観測記念碑(神戸市HomePageより)
 ★長崎市金比羅山(長崎市HomePageより)

◆もうひとつおまけ : 行進曲「金星の太陽面通過」

 上記の1874年12月9日の8年後となる1882年12月6日にも、ヨーロッパやアメリカで金星の太陽面通過が見られました。アメリカの行進曲の作曲家として有名なジョン フィリップ スーザが、その翌年、1878年に亡くなった物理学者のジョゼフ ヘンリーの銅像の除幕式の行進曲として作曲を依頼された曲に、"Transit of Venus march"というタイトルをつけています。この曲は、長年演奏される機会がなかったのですが、2004年の金星の太陽面通過を前にしてアメリカ国会図書館で楽譜が発見され、その楽譜を元に2003年にヴァージニア陸軍軍楽隊によって再演されています。

アメリカ国会図書館 Transit of Venus (Performing Arts Encyclopedia, The Library of Congress)
http://lcweb2.loc.gov/diglib/ihas/html/venus/venus-home.html (スコアやパート譜も見ることができます)

ヴァージニア陸軍軍楽隊による再演(MPEG3音源)
http://lcweb2.loc.gov/natlib/ihas/service/transit/200002625/0001.mp3

●今回はどう見えるの?

 今回の金星の太陽面通過は、6月6日の朝、太陽が東の空に高く昇った7時10分ごろから起こります。金星の太陽面通過は、地球の周りを周っている月によって起こる日食に比べると、ずっと遠いところで起こっている現象ですので、日食のように地球上の場所による見えかたの差はほとんどありません。それでも、わずかながらも現象が起こる時間に差があります。今回の各地での太陽面通過の時刻は下の表の通りです。

2012年6月6日の金星の太陽面通過の主な現象の時刻(日本時間)

地名

太陽面に一部が入る

太陽面に全部が入る

太陽面の一番内側を通過

太陽面に一部が出る

太陽面に全部が出る

札幌

07:10:03ごろ

07:27:37ごろ

10:29:22ごろ

13:30:26ごろ

13:47:52ごろ

仙台

07:10:36ごろ

07:28:11ごろ

10:29:31ごろ

13:30:06ごろ

13:47:32ごろ

東京

07:10:53ごろ

07:28:29ごろ

10:29:39ごろ

13:29:59ごろ

13:47:26ごろ

大阪

07:10:59ごろ

07:28:36ごろ

10:29:54ごろ

13:30:14ごろ

13:47:40ごろ

福岡

07:11:04ごろ

07:28:41ごろ

10:30:13ごろ

13:30:34ごろ

13:47:58ごろ

鹿児島

07:11:17ごろ

07:28:55ごろ

10:30:16ごろ

13:30:25ごろ

13:47:50ごろ

那覇

07:11:49ごろ

07:29:30ごろ

10:30:37ごろ

13:30:21ごろ

13:47:46ごろ


今回の金星の太陽面通過の東京での様子
画像の上が天頂になります
東京では11:40に南中を迎えるため、
この画像ではその前後で通過方向が変わるように見えます。

 今回は、見かけ上比較的太陽の中心に近いところを通過していくため、太陽面を通過している時間も6時間以上と長く、日本では太陽面通過の全経過を見ることができます。

 金星の太陽面通過では、太陽面にある黒点白班など、太陽の模様の中を金星がゆっくりと動いていく様子を観察することができます。一見、太陽面を通過している金星は黒点と見間違えてしまいますが、良く見てみると輪郭がはっきりした「丸」として見えるため、黒点とは明らかに違うことがわかります。

 左の図はその様子をシミュレーションしたものです。今回の金星の太陽面通過時、太陽は金星までの距離より約3.5倍遠く(地球から金星まで0.2887AU)にありますが、金星の直径は12,100kmと地球とほぼ同じ大きさですから、太陽がいかに大きな天体であるかがわかります。是非実際に目でみて確かめてみてください。

●金星の太陽面通過を安全に楽しむには・・・

 太陽は、光の速さで8分の距離にあるとはいえ、原子力発電所の数億倍の規模のエネルギーを発している巨大な核融合炉でもあります。太陽からは様々なエネルギーが私たちの地球に降り注いでいますが、その中には私たち人間に有害な放射線も含まれています。ですから、肉眼でそのまま見ることは大変危険です。まして望遠鏡を使って直接のぞくのはもってのほかです。肉眼で直接太陽を見ることは、失明の危険もありますので絶対にしないでください。

●コラム● 太陽を直接見ることの危険性

 私たち人間は、通常は日中の太陽をわざわざ凝視することはありません。太陽を直視すれば「まぶしい」という本能的な回避行動が働いて、太陽から目をそむけるはずです。それは、人間の生まれもって持つ防御本能と考えられます。
 しかし、その本能を抑えて見続けた場合どうなるのでしょうか?。2008年にブラジルのロンドリナという街で行われた宗教的儀式で、真昼の太陽をフィルター等の保護具を用いずに肉眼で長時間直視した24人に、網膜の一部や黄班が変性したり浮腫が発生し、視力が低下する等の症状が現れたと報告されています。この48
の眼(24人×両眼)のうち43の眼に何らかの障害が起こり、約6ヶ月間の治療により40の眼はほぼ元通りの視力に戻りましたが、残る3つの眼は視野の中に暗点が残ってしまったとのことでした。(ブラジル 科学電子ライブラリー SciELO "Occurrence of solar retinopathy after religious ritual in Londrina, Parana, Brazil"より)

 このような症状は太陽網膜症(Solar retinopathy)と呼ばれ、20世紀はじめごろから症例が記録されています。実はこれまでも、日食の観測をして太陽網膜症になったという症例が世界中で多数報告されており、裸眼で太陽を見たときに許容される曝露時間は、空の高いところにあるときには0.8秒以内という計算もあります。これらの長年の臨床結果を元にヨーロッパでは、太陽からの人間の眼に有害な光や放射線を反射・吸収する機能を備えた、安全に太陽を見るためのフィルターの国際規格が作られています。この規格に適合するフィルターを適切な方法で使用すれば、基本的に安全に太陽を見ることができます。

 では、どのようにして太陽を観察すれば良いのでしょうか?。ここでは、その方法をいくつか紹介していきましょう。

 金星の太陽面通過を見るために最も安全な方法は、直接太陽を目で見るのではなく、太陽の光を何かに投射して、それを観察する方法です。太陽からのエネルギーを直接目で受けることが無いため、安全に太陽面を見ることができます。

 日食の場合は、太陽が大きく欠けるためピンホール法と呼ばれる投射法でも見ることができますが、太陽の像がピンホールの直径分ぼけてしまい、金星の太陽面通過は日食に比べると金星の姿が小さいため、長い筒を用意するなど、少し大掛かりな装置が必要になります。

 屈折式天体望遠鏡では、接眼部に太陽投影板を取り付けることで、太陽を大きく拡大して投影することができます。この方法なら、太陽面を通過していく金星をはっきりと確認することができます。

 また、やはり投射されたものではなく自分の目で確かめたいという気持ちが出るのも当然のことと思います。そこで、太陽からの人間の目に有害な光や放射線をカットして、肉眼で太陽の光を安全に見ることができるようにしたフィルターが用意されています。この方法なら、直接太陽から来る光を安全な光に変えて肉眼で見ることができるため、ピンホール法のようにぼけた像にならず、鮮明な太陽を見ることができます。

 また、太陽面の観測には望遠鏡や双眼鏡を使って倍率を上げて見た方が、欠けはじめや欠け終わりのわずかな欠け具合や、時間とともに変化していく金星の動きを楽しく見ることができます。そのために、望遠鏡や双眼鏡と併用して安全に使用できるフィルターも用意されています。

 さらに、これらのフィルターを使えば、カメラやデジカメ・ビデオカメラでの撮影も楽しめます。時間とともに変化して行く様子をデジカメやビデオカメラで連続撮影すれば、動画として楽しむこともできます。

 もちろん、望遠鏡にカメラやデジカメ・ビデオカメラなどを取りつけて撮影することもできます。月や惑星を撮影するときに使用しているカメラアダプタ等がそのまま使用できますから、この機会に是非チャレンジしてみてはいかがでしょう。

 当社オンラインショッピングでは、太陽観測を安全に楽しんでいただける太陽観測用のフィルター等を用意しています。このページで紹介しているフィルターは全て金星の太陽面通過の観測にそのままご使用いただけます。この機会に是非お求めください。

商品は十分在庫をご用意しておりますが、現象の日時が近づくと、注文が殺到し品切れになることもあります。ご注文はお早めにお願い致します。

 このように、安全なフィルターなどを取りつけて太陽観測を行うことは、決してむずかしいことではありません。是非この機会に太陽観測にチャレンジしてみてはいかがでしょう。使用方法に十分注意して安全に太陽観測をお楽しみください。

●コラム● ススをつけたガラスではだめなの?

 15年ほど前までは、太陽の光を減光するために、ろうそく等でガラスに煤(すす)をつけて、太陽の光を減光して見ていました。また、写真用ネガフィルムの感光部分を使用したり、黒いプラスチックの下敷きを使っていたこともありました。

 しかし、これらの方法では、私たちが眼で見ることができる「可視光」を安全なレベルまで遮断することができても、太陽からの有害な光線や放射線は十分に遮断することができず眼に届いてしまうため、とても危険な方法であることがわかっています。太陽を直接見るためのフィルタの規格がヨーロッパで作られたのも、このような危険な方法により太陽を見て、太陽網膜症になることを避けるためです。

 規格に適合したフィルターを使用して太陽を見れば、基本的には安全に太陽面を楽しむことができます。しかし、使用方法を誤ると太陽網膜症になる可能性もあります。このようなことにならないために、以下の点にも注意してください。

●フィルターを使っても、3分以上凝視しない
 太陽に限らず、光や熱などのエネルギーを発しているものを長時間凝視することは、眼への負担が多くなります。太陽面の変化を注意深く見ようとするがためにどうしてもじっと注視してしまいがちですが、太陽を見上げる時間はなるべく短時間で済ませ、小刻みに眼を休ませるようにしてください。

●フィルターをつけはずしするときには、必ず太陽から目をそむける
 太陽観察用のフィルターの濃度は、昼間の風景でもほとんど見えないほど濃いため、ついつけはずしするときに太陽の方を向いたまましてしまいがちです。必ず太陽のほうを向く前にフィルターをつけ、はずすときも太陽から目をそむけてからはずすようにしましょう。

●曇り空や低空でも危険
 普段、朝日が昇ってくるときや夕日が沈むときには、大気による減光によりまぶしくないため、直接太陽の光を見てしまいますが、この場合もやはり長時間見続けると太陽網膜症になる危険があります。あまり長く見つめないようにしましょう。また曇り空の時は、フィルターをかけてしまうと太陽の像が見えない場合がありますが、雲の流れで急に太陽が現れるときに大きな危険があります。できるだけフィルターをかけたままで見るようにしてください。

●カメラを通して見る場合
 ビデオカメラやデジカメなど、カメラのモニターで画像を確認する一眼レフタイプではないカメラの場合は、直接眼で太陽の光を受けることは無いため、眼への危険はありません。但し、カメラ本体を保護するために、フィルターは必ず取り付けてから太陽に向けてください。また、カメラを太陽に向けるときに、ついつい裸眼で太陽を見てしまうことがあります。カメラ本体の周辺に紙などで覆いをつけるなどして、直接太陽を見ないように工夫をすると良いでしょう。
 また、一眼レフタイプのカメラの場合は、直接太陽の光が眼に入ってくることになりますので、太陽に向ける前に必ずフィルターを取り付け、3分以上連続して見続けないように注意してください。

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