残念ながらこの事務所がある埼玉では、当日天候が悪く月食を見ることができませんでした。次回の月食は、2010年1月1日の未明に、西の空の月がわずかに欠ける部分月食があり、皆既月食は2010年12月21日に、部分食の状態の月が東の空から昇り、そのあと皆既となる月食があります。


 夏休みも終わりに近づいた8月17日(日)の早朝(8月16日(土)の夜)の西の空で、昨年8月28日の皆既月食以来約1年ぶりとなる月食が見られます。
左写真:2007年8月28日の皆既月食の様子

●月食はどうしておこるの?

 月食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。

 有名なところでは、「日食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の前に月が入り込んでくることによって、太陽が月に直接隠される現象です。太陽と月と地球上での見る場所の位置関係により、太陽全体が隠されるものを皆既日食・見かけ上太陽の中に月がすっぽり収まってしまい、リング状に太陽の光が見える金環日食・太陽の一部だけが月に隠される部分日食の3種類があり、最近日本で見られた現象では、2004年10月14日に部分日食が見られました。
 一方「月食」は、太陽の光によって照らされている月が、地球の影の中に入ることによって見えなくなる現象です。日食とは違って、直接月を何かの天体が隠しているわけではありません。しかし、ちょっと視点を変えると、月から見たときに、太陽が地球によって遮られている状態、つまり月での日食が起こっていると考えられるわけです。
 これらの「食」は、宇宙空間での天体の位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、より遠方にある天体が隠されることを差しています。月食の場合は、太陽・地球・月の順に直線に並んだときに起こり、日食の場合は、太陽・月・地球の順に並んだ時に起こることになります。

 なぜ、このように天体と天体が一直線上に並び、日食や月食が起こるのでしょうか?。その理由は月の公転が大きく関係します。月は地球のまわりを約一カ月かけて一周しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。
 その天球上を移動している月が、ちょうど太陽の反対側を通過するときに月食が起こります。ですから、月食は必ず満月の日に起こります。また、月食の中でも「皆既月食」と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。

 前回日本で見られた月食は昨年8月28日の皆既月食で、約1年ぶりとなります。

2008年8月17日(日)の月食の主な現象の時刻(日本時間)

半影食のはじまり

3時23分
※下記参照 札幌の月没 4時43分
東京の月没 5時3分
大阪の月没 5時22分
福岡の月没 5時45分
那覇の月没 6時5分

本影食のはじまり

4時36分
月が地球の影に入りはじめる

食の最大(81.3%)

6時10分
月が地球の影に最も入り込む

本影食のおわり

7時44分
月全体が地球の影から抜ける

半影食のおわり

8時57分
※下記参照
※半影食とは、太陽の光の一部だけが地球に遮られることにより、月が少し暗くなる影のことを言います。肉眼でははっきりとわからないかもしれませんが、望遠鏡でフィルターなどをかけて月の光を少し暗くしてみると、一部が薄暗くなっているのがわかります。

●今回の月食について

 今回の月食は、日本からは明け方西に傾いた月が太陽に隠されはじめ、月食の途中で西の空に沈んでいってしまう「月没帯食」となります。

 今回の月食の起こる時間は上の表の通りです。右の画像は福岡での月の欠け方のシミュレーション画像です。他の地方でも、時間と欠けかたはほとんどおなじように見られますが、福岡より東の地方では、この時間より早く月が沈んでしまいます上の表の右に各地での月没の時刻を書いてありますので、参考にしてください。

●どこで、どうやって見える?

 今回の月食は、月が欠けたまま西の空に沈んでしまうので、なるべく長く月食を見るためには、西の空が地平線近くまで開けた場所で観測すると良いでしょう。木立の少ない山の上や海岸はもちろん、南西側に大きく開けたマンションのベランダなどからも見ることができるはずです。



福岡での月食の起こる様子のシミュレーション
より東の地方では、この図より少し低い空で現象が起こります。

 月食は、肉眼でも十分に楽しめる現象ですが、双眼鏡や望遠鏡を使うと、欠けはじめる直前の月の縁の様子など、微細な変化を楽しむことができます。当社オンラインショッピングSummer Sale!2008では、月食の観測にも最適な双眼鏡や望遠鏡を揃えております。是非この機会にお買い求めいただき、宇宙で繰り広げられる天体ドラマを、ご自身の目でごゆっくりお楽しみください。
 また、満月ごろの月は、大口径の望遠鏡で見ると非常にまぶしいため、ムーングラスを使って減光すると、長時間継続して観測することができます。各望遠鏡のオプションとして用意されていますので、この機会に是非お求めください。


月食観察に最適な双眼鏡・望遠鏡はこちら

双眼鏡や望遠鏡を使って見たときの月食の見え方のシミュレーション

FZ-750GFP等7倍クラスの双眼鏡で見た場合

ETX90PE等、50倍の望遠鏡で見た場合

●おまけ● 月の近くにいる海王星を見てみよう!

 今回月食が起こる月のすぐ近くに、私たちの太陽系の中で現在解っている最も遠い惑星である海王星が見えています。海王星は8等級と肉眼では見ることができませんが、天体望遠鏡を使えば小口径でもその姿を確認することができます。
 今回は月食中の月のすぐ南側に見えています。望遠鏡を使えば見つかるはずですが、月が視野の中にあるとまぶしくて目が順応してしまい、暗い海王星を見つけることができません。望遠鏡の視野から月がでるように調節して、少し南側を探してみてください。

 右の図は今回の月食がはじまるころの、月と海王星の位置関係(地平座標)です。印刷用の画像もこちらに用意しています。プリントアウトして持ち出して、探してみてください。


月食中の海王星の位置 クリックすると拡大画像になります
図中には9等星までの星の位置をプロットしています
緑の数字はSAO星表での明るさを示します
海王星は7.8等ですので、これらの星のほとんどより明るく見えるはずです

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