日本では7年ぶりの木星食 8月16日(木)の明け方の空で見える! 星食のお話をする前に、天文現象で言う「食」についてお話しておきましょう。文字通り、天体が「食べられる」現象のことをいいます。もちろん、誰かが星をパクパク食べてしまうわけではないので、何らかの自然現象が起きるわけです。 有名なところでは、「日食」や「月食」があります。日食は、地球からの見かけ上太陽の方向に月が入り込んでくることによって、太陽が月に隠される現象ですね。月食は、太陽の光によって照らされている月が、地球の陰の中に入ることによって見えなくなる現象です。これらの「食」は、宇宙空間での位置関係が相互に直線上に並ぶことによって、遠方にある天体が隠されることを差しています。今年は先日7月5日に部分月食が日本で見られました。 |
20cmシュミットカセグレン望遠鏡で撮影した木星 |
一方、「星食」と呼ばれる現象があります。別名「掩蔽」(えんぺい)とも呼ばれるこの現象は、日食と同じ仕組みで月がその向こう側にある星を隠す現象を言います。もっと広い意味では、月以外の太陽系の天体にも適応されます。ですから、惑星や小惑星などにより、それより遠くにある星を隠してしまう「掩蔽」もあるわけですね。 月は地球のまわりを約一カ月かけて公転しています。それは地球上から見ると、天球上を少しずつ移動しているように見えることになります。ですから、その日・その時間で月の見える場所は少しずつ違っているわけです。 天球上を移動している月と見かけ上同じ位置に他の星が重なる場合に、月による「星食」がおきます。月がその星の前を通過することにより、星が隠される現象です。月のどの場所に隠されるかにもよりますが、長くて1時間くらい隠れている時間があります。 |
一方、木星は約12年で太陽のまわりを一周する惑星で、毎年黄道(天球上の太陽の通り道)上の星座を1つずつ移動してゆきます。今年はふたご座付近にいて、7月中旬から明け方の東の空で見ることができるようになってきました。この木星と月が、それぞれ天球上を動いていく中で偶然重なり合うことによって、「木星食」が起こります。日本では、前回は1994年12月30日に昼間の月に隠される現象が見られました。さらに、今回のように夜の月に隠されるような肉眼でも見ることができる現象となると、1983年4月30日の明け方まで遡ることになります。それだけ、珍しい現象と言えますね。 |
●肉眼や双眼鏡でご覧になる方は、月の裏側から木星が出現する直前の3:50ごろから、じっと月を凝視しながらその変化を観察してみましょう。月からしずくがこぼれたように、木星が現れるところを見ることができるはずです。 ●天体望遠鏡でご覧になる方は、2:30ごろから木星を視野に入れて、衛星の位置や木星表面の模様などを確かめておきましょう。だんだん月が木星に近づいてくると、月の明るさで木星が見にくくなってきますので、10cm以上の口径の望遠鏡ではちょっと高めの倍率にして月の一部が見えるくらいにすると、月の裏側に入リ込む様子もじっくり見ることができるはずです。 |
木星本体が月に隠れるほか、ガリレオ衛星が隠れる様子も楽しめます |
星食をはじめとした「食」は、とてもライヴ感覚のある天文現象なので、一度見てみるととても感動するものです。皆さんも是非見てみて欲しいと思います。 次に日本で木星食が見られるのは、2009年2月23日に昼間の月に隠される現象が見られます。しかし、今回のように肉眼でも見ることができる夜の月に隠される現象は、2034年10月26日までありません!。是非この機会に貴重なこの現象をあなたの目で確かめて見てください。 |
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